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抗がん剤と咳

2012年06月15日  
マエケン、さすがですね。
序盤に打線が得点すれば、余裕です。
今年も最多勝などタイトルとってもらいましょう。

昨日は市に行ったり
在宅療養支援診療所の連携カンファレンスをおこなったり
講演会に出席したり、忙しい1日でした。
このお話はまた後日に。

本日のお勉強は抗がん剤による肺障害

博多 磯ぎよし さつまあげ3姉妹
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★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

本日のお勉強
経気管支肺生検が診断に有用であったTS-1による薬剤性肺障害の1例
日本呼吸器学会雑誌 2011年12月号
日本医科大学武蔵小杉病院内科 伊藤 俊輔 先生ほか
要点
胃癌にTS-1,レンチナンを投与されていた。
呼吸困難や咳嗽が出現、
レントゲンではスリガラス陰影を認めた。
経気管支肺生検にて薬剤性肺障害が示唆され
薬剤リンパ球刺激試験でTS-1のみが陽性であった。
ステロイドは使用せずTS-1使用中止のみで改善した。
***

TS-1というのは内服の抗がん剤で、
肺腺癌や胃癌など多くの癌に使用されるようになっています。
副作用は比較的少ないのですが
26万人以上に使用されたうち
76件(0.0287%)の間質性肺炎が報告されています。
抗がん剤使用中に咳など生じた場合に
まずカゼ薬で様子を見ることはかまいませんが
2日たっても改善しないようなら受診が必要でしょう。
長くがまんを続けないようにして下さい。

TS-1はリンパ球刺激試験で偽陽性が出やすいようですので
なかなか診断はむずかしい薬のようです。
文献として広島大学呼吸器内科の論文も引用されています。
広島大学は薬剤性肺障害にしっかり取り組んでいる大学の一つなんですよ。

もう一つ、
レンチナンという薬が、テガフール経口(TS-1も含まれる)との併用で
生存期間の延長とQOL向上が期待できる、として
TS-1と併用されることが多いとの考察がありました。
レンチナンはシイタケからの抽出物で
1984年から販売されています。
週2回または週1回の注射で使用します。
こんな古いタイプの抗腫瘍薬が、
TS-1の普及とともに復権しているのですね。
ちょっと半分ずっこけるような内容でした。

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