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災害現場で重症者の治療はするな、の法則

今回の東北大震災で、宮城県からの発表だったと思いますが
酸素療法、透析治療の資材が不足している、
という報道がありました。
当院を担当している在宅酸素療法の担当者は
いそぎ被災地に派遣されていっています。

災害現場の病院(あるいはそれに近い病院)では透析はするな、
というのが鉄則です。
血液透析には、電気と水を大量に必要とするのです。
被災地、とくに地震の場合だと、水・電気などの供給が不安定なので
はやく被災地以外に移送すべきなのです。
さいわいなことに透析治療は毎日必要なわけではありませんので
移送する余裕があることが多いのです。

酸素療法でも同様のことが言えます。
酸素濃縮器は停電だと動きません。
停電が続き、予備の酸素ボンベがなくなれば終わり、という状況では
被災地から一刻も早く移送させたほうが安全なのです。
計画停電の地域についても
停電期間中だけでも一時的に入院するという選択肢、
(病院には酸素配管もあり自家発電装置もあります)、
あるいは停電のない安全な地域に一時避難するという選択肢もあります。
ずっと同じ場所(在宅)で治療しなければいけない、ということではないのです。

本日のお勉強は、在宅酸素療法に加湿器は不要、というお話。

そごう本館の 波奈。えびチリ
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★インフルエンザ情報
3月14日付け、広島市では15校で学級閉鎖が出ています。
数は減ってきませんね、まだまだ用心が必要です。

本日のお勉強
吸着式酸素濃縮器に組み込まれた加湿水が不要な加湿器の臨床的評価
日本呼吸器学会雑誌 2011年2月号
鳥取大学医学部 鰤岡 直人 先生ほか
要点
在宅酸素療法には吸着式酸素濃縮器が主に使用されている。
吸着式では水蒸気も除去するため酸素ガスは乾燥している。
近年、加湿水が不要な膜式加湿器が開発され、それを装着した酸素濃縮器も使用がはじまっている。
膜式加湿器では酸素2リットル/分の流量では室内気の85%に加湿が可能である。
壁配管の酸素を鼻カニュレで吸入していた17名中5名が慢性的な鼻腔乾燥感を訴えていた。
その5名に膜型加湿器を使用したところ3名で改善した。
加湿水の交換が不要で、在宅酸素療法に有用である。

乾燥ガスによる鼻腔など気道粘膜の障害を防ぐため、
酸素吸入の時には加湿が必要である、
と昔は何の疑問もなく実施されていました。
入院ベッドの壁際にある酸素配管から加湿瓶をとおして酸素がボコボコいっている
という場面を思い出される方も多いでしょう。

でも、最近では、例のボコボコを見かけない人もあると思います。
加湿瓶のセットを忘れているわけではないのです。

現在では、鼻カニュレでの吸入の場合、
日本呼吸器学会ガイドラインでは3リットル/分まで
米国呼吸療法協会ガイドラインでは4リットルまで、
米国胸部学会ガイドラインでは5リットルまで
あえて酸素を加湿しなくてもよい、とされています。
少量の酸素であれば、あえて加湿する必要はない、ということになっているのですね。

病院の酸素だけではなく
在宅酸素の場合でも加湿瓶は不要になってきています。
加湿水を清潔に取り扱うことが とくに在宅では難しいのですね。
高齢者だと、入れ替え作業が困難だったりします。
そういう点でも、メンテナンスのいらない方式は良いですね。

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