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癌で死ぬ、というのも悪くない

2012年09月7日  
中日、強いですね。
初回や6回など、中田を捉えるチャンスはあったのですけどね。
さあ、今日からは横浜戦。
切り替えて貯金シリーズといたしましょう。

さて、癌で死ぬ、ということに関して。
高齢者にとって、癌で死ぬ、というのは
けっして悪い話ばかりではないと思います。
若い人が癌で死ぬのは悲しいことですし、
癌と戦う人はしっかり戦えばよろしいのであって、
ここでは高齢者の癌のお話です。

癌では、ある程度 余命の計算が成り立ちます。
すぐには死なない。時間があるのです。
その残された時間の間に
仕事や作品を完成させることもできます。
家族や友人に別れを告げ、感謝の言葉を伝える時間的余裕があります。
各地の友人を訪ねて回ったり、生前葬をおこなう人もいます。
これまで行きたくて行けなかった場所への旅行など企画することができます。
痛みや苦しみがないよう、緩和ケアが支えてくれます。
自宅や施設など、住み慣れた環境でそのまま最期まで生活できます。

癌で若くして死なないために必要なのは
早期発見・早期治療であり、
つまりは癌検診です。
いつも私は
「癌検診を受けましょう」、と呼びかけています。

では、
癌で死ぬのも悪くない、とするなら、
いつ癌検診を受けるのをやめればいいでしょうか?
そういう話は
何か提唱されているでしょうか?

これについても、基準が示されている癌もあるのです。

Guidance Statement 4:
ACP recommends that clinicians stop screening for colorectal cancer in adults over the age of 75 years or in adults with a life expectancy of less than 10 years.
大腸癌のスクリーニングは75歳以上、
または余命10年以上が期待できない場合は
中止することを推奨する。
(ACPというのは、アメリカ内科学会、というようなイメージです。)

出典は以下。英語です。
Screening for Colorectal Cancer: A Guidance Statement From the American College of Physicians
http://annals.org/article.aspx?articleid=1090701#ACPBestPracticeAdvice

日本人とアメリカ人の平均寿命には差があるので
この年齢をそのまま日本に当てはめることはどうか、
という話にはなりますが、
また日本とアメリカでは健康保険制度なども違うのですが、
それでも参考にはなるでしょう。
ある程度の高齢になれば大腸癌検診を受ける意義はあまりない
と考えていいと思われます。

老人ホームに入所されている方は
年齢や持病、余命からすると、
ほぼ全員、大腸癌検診を受ける必要はないと考えられます。
実際に今、施設入所中の大腸癌末期の高齢者を担当していますが、
痛みも苦しみもなくすごされています。
御家族や、入所の仲間とのお別れの時間も十分に持てました。
癌で死ぬのも悪くないな、と思ってしまう経過です。

高齢になったら癌検診は受けない。
そういう選択肢も成立しますね。
そのようなお話を、中村仁一先生の講演を聞きながら
いっしょに考えてみませんか?

当院のグリーンカーテン。
スカーレットオハラという品種で、小さ目の花ですがとてもきれいです。
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★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

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「自然死」という「大往生」 中村仁一先生公開講演会

大往生したけりゃ医療とかかわるな
~自然死のすすめ~(幻冬舎新書)の著者、
中村仁一医師の市民公開講演会を開催します。

日時:平成24年9月17日(月、祝)
開場13時、講演13:30-15:30
会場:広島国際会議場 地下2階ダリア
講師:老人ホーム「同和園」附属診療所所長 中村仁一医師
講演:人生の最期は手術や医療処置をせず
「自然死」という「大往生」
参加費:無料
申込方法:9月14日までに
氏名(複数可)、代表者連絡先(電話など)を明記して
「在宅・施設医療ネットワーク広島」事務局あて
FAX:082-241-6856 (折口内科医院)
またはメール info@origuchi-naika.jp  で

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