ブログ

緩和ケア医 本日のお勉強

2009年03月29日  
日本内科学会雑誌 平成21年2月臨時増刊号
人類の叡智を幸せにつなぐ内科学 : 2型糖尿病の現状と課題
東北大学 岡 芳知 先生

要旨
糖尿病の多くは2型糖尿病です。
ひとつの考え方として、
1型糖尿病というのは、インスリンを分泌する膵β細胞の数が減り、
最終的にはゼロとなる疾患=インスリン注射が絶対必要。
対する2型糖尿病は膵β細胞の機能の異常、というものがありました。
数の異常 と 機能の異常 という考え方です。
ところが、2型糖尿病でも、膵β細胞の数の減少が大きく関わっている
ということが次第に明らかになってきました。

血糖を下げるホルモンは、インスリンだけです。
インスリンを分泌する膵β細胞が減ってしまうのでは、
インスリン産生量が不足してくるのは当然のことです。
この段階では、2型糖尿病であっても食事療法・運動療法だけでは不十分だ、
ということになりますね、インスリン注射が必要なのです。

糖尿病患者さんの中には、インスリン注射を非常に嫌う方がおられます。
コントロールが悪くなっても、「もう少し食事運動でがんばるから
インスリン注射だけは勘弁してくれ」 とおっしゃるのです。
インスリン注射は毎日のことだし、痛いし、誰もやりたくはありません。
その気持ちはわかります。
しかし、これまで食事・運動にすでに取り組んできた人が、
「さらにがんばる」、といっても 大きな効果は期待できません。
膵β細胞が減った状態では、インスリンを補充しないと改善は見込めません。
血糖コントロールが悪い状態で長期間経過するよりも、
早い段階でインスリン注射を導入し、コントロールを長期間良好に保つことが
あとあとの合併症を防ぐために非常に大切なことなのです。
今では、1日1回のインスリン注射も開発されています。
痛みの少ない、細い細い注射針も開発されています。
血糖コントロールが悪い方は、インスリン治療をぜひ御検討ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です