ブログ

緩和ケア医 本日のお勉強

2009年03月5日 , 

日本肺癌学会 「肺癌」2008年12月
大場岳彦先生(東京医科歯科大学)ほか の症例報告

肺小細胞癌は肝臓に転移することも多く、肝臓転移が命取りとなることは珍しくありません。この段階では、全身化学療法が無効となっていることが大半で、なすすべなく悪化していくこととなります。
多発肝臓転移に対し、肝動注化学療法が検討されることも少なく、じっさいに大場先生のケースでも最初に試みた肝動注療法は奏功しませんでしたが、あきらめず次の薬で試みたところPR(癌が縮小)が得られ、再発後生存期間は66週であった、というものです。
一般的な再発後生存期間は40週程度とされている、ということで、全身化学療法に抵抗性の場合には肝動注化学療法を治療選択肢として考慮してよいかもしれない、という提案ですね。

まだ若くて体力があるにもかかわらず全身化学療法が効かない、
肺機能や肝機能はまだ保たれている、
どうやら肝転移が命取りになりそうだ、
という場合に限られそうです。

実際に適用となるケースはほとんどない、と言えるかもしれません。
肝動注化学療法が適用できるケースそのものが少ないし、
最初の肝動注化学療法が効果ない場合には
全身状態がどんどん悪化していくため、
次の薬で肝動注化学療法をもう一度試みよう、
という状況になることは、ほぼないであろうと思われます。

肺癌、とくに小細胞癌の場合には、
最初の治療、それも一回目の治療が すべてを決していくのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です