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肉の生食と消化管感染症

2013年03月9日  

黄砂と花粉に御用心を
花粉症患者の受診がピークとなっています。
しっかり治療しているはずなのに
症状がすっきりしない高齢者の方に
いろいろ聞いてみると
天気がいいので洗濯物は外に干していた、とのこと。
この時期は室内干しにするよう説明しました。
出来るだけ外出しない、
もし外出する場合には服装にも注意をしてください。

昨日はニュースを見ようとしてテレビをつけたら
WBC台湾戦、競っているいいゲームをしていました。
そのまま最後まで見てしまいました。
すばらしいゲームでした。
うーん、勝ってよかった!
テレビを見ていて心配したのは
23時半すぎまで試合をやって、
はたして観客は家に帰れるのかな、と。
広島じゃ無理でしょうね、東京はさすがですねえ。

本日のお勉強は
肉の生食と消化管感染症
です。

3月3日の夕食は三越地下 寿司福のひな祭り寿司
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★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

本日のお勉強
肉の生食と消化管感染症
日本内科学会雑誌2012年11月
国立感染症研究所細菌第一部第一室 寺嶋 淳 先生
要点
近年は牛豚馬鶏などの食肉を生食する消費者が増加し、感染症・食中毒がしばしば発生するようになっている。
内閣府の食品安全委員会の2007年調査では、鶏肉または牛肉を生食または生に近い状態で食べる機会があると20%以上の人が回答した。
豚肉については鶏肉・牛肉よりも低いものの数%の人が生食していた。
2009年、東京都がおこなったweb調査では
直近3ヶ月内に食肉を生で食べたことがある人は約40%、
20代に限れば実に53%の人が食べたと報告されている。

細菌による食中毒でいうと
鶏肉は製品のカンピロバクター汚染率が6-7割と高い。
食中毒統計では、原因判明事例の40%が鶏肉料理であり、
その約50%が鶏刺し・鶏レバー刺しなどの鶏肉生食または加熱不十分と考えられる。

最近、馬肉や豚レバーの寄生虫による食中毒が増えている。
市販馬肉のシスト汚染率(=寄生虫汚染率)は88%である。
2010年6月から首都圏で国産豚によるアジア条虫症が多発したが、
発症者には豚レバー刺し等の摂食歴があった。

結論
食中毒を防ぐには生肉や加熱不十分な肉料理は食べないことが重要である。
***

豚肉を生で食べる、という人が数%いる、ということに
驚きました。
豚は病気をたくさん持っています。
そのなかでも寄生虫は「非常に有名」だと
私は思っていたのです。
だから、豚は生では食べないのが常識である、と。
豚肉だけは芯までしっかり火を通せ、と
親から繰り返し教えられてきました。

20歳代で肉の生食をする率が高い、というのも困ったデータです。
何でもかんでも「ゆとり教育」のせいにするな、と言われそうですが
ゆとり教育世代というのは
「安全に生きていくための知識の伝達」に失敗した世代、
と言っていいデータなのではないでしょうか。

この世代が親になれば
きっと子供にも生肉を食べさせることでしょう。
え?生肉食べてどこが悪いの?店で売っているし、
なんて言って。
体力の弱い子供と老人、妊婦が、食中毒の犠牲者になるのです。

肉の生食をしないこと、ということを
「生きていくための常識」として
若い世代に教え続けていく必要があると思います。

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