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胃ろうでは誤嚥性肺炎は予防できない

2012年09月12日  
9月17日開催の
「自然死」という「大往生」
中村仁一先生公開講演会
ですが、
非常に多くの申込みをいただき、ありがとうございます。
大きな部屋を確保したのですが
定員に達しましたので参加受付は締切、終了しました。
月曜日までに申し込まれた方は大丈夫です。
なお、
当日は自由席です。
遅く来場された方は2階席となりますので
御了承ください。

肺炎が死亡原因の3位に上がってきています。
脳血管疾患が4位に。
2011年の人口動態統計にて、3位と4位が入れ替わったのです。
1位 悪性新生物(=悪性腫瘍)
2位 心血管疾患
3位 肺炎
4位 脳血管疾患
上位3つは間違えなく言えるように、と
これまで看護学校などで教えてきていました。
肺炎が3位、覚えておきましょう。

肺炎死亡が増えてきたのは
高齢社会がすすんできたことを反映しています。
90歳以上に限れば、肺炎が死因1位なのです。
高齢者の肺炎では、「誤嚥」が重要なポイントです。
単純な「細菌性肺炎」ではないのですね。
誤嚥性肺炎は再発も繰り返します。
一度誤嚥性肺炎をおこす状態になった高齢者は
いずれ再発を繰り返し、
最後の命とりにもなる、ということなのです。

医療・介護関連肺炎ガイドラインというのがあります。
日本呼吸器学会がまとめたものです。
このガイドラインでは、
施設などにいる(老衰、寿命の)患者さんが、肺炎になったからといって(人工呼吸を含む)強力な治療を行うべきなのかどうか。医療に対する倫理観、患者さんや家族との関係も重視し、ガイドラインを参考に、主治医が倫理的に考え治療すべきである、と明記されています。

いわば、肺炎のターミナルケアを、いかに行うか。

医療・介護関連肺炎(NHCAP:nursing and healthcare-associated pneumonia)という概念。
その定義は、以下のいずれかに該当する患者の肺炎です。
・長期療養病床または介護施設に入所
・90日以内に病院を退院した
・介護*を必要とする高齢者、身体障害者
・通院にて継続的に血管内治療**を受けている

* 介護…身の回りのことしかできず日中の50%以上をベッドで過ごす
**血管内治療…透析・抗菌薬・化学療法・免疫抑制薬など

このガイドラインの中で、
胃瘻についても述べられています。
***
医療・介護関連肺炎ガイドライン
第8章
誤嚥性肺炎
・誤嚥性肺炎の予防として、嚥下反射改善剤は有効性が期待できるが、
胃瘻造設は薦められない。
***

週間医学会新聞の座談会では
「社会的には,肺炎予防策としてPEG(経皮的内視鏡胃瘻造設術)が選択されることが若干ありますが,それは不適切だと明確に示すべきです。」
という発言もされています。

週間医学界新聞2011年9月5日号
【座談会】
超高齢社会における医療・介護関連肺炎へのアプローチ
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02943_01

「食べられないから胃ろうを考えましょうか?」
という選択は成立するかもしれませんが、
「誤嚥性肺炎を繰り返しますから胃ろうにしましょうか?」
という選択は明らかに不適切である、
ということなのです。

呼吸器学会の定めたガイドラインですから
呼吸器の医師のほぼ全員、このことは知っています。
ほかの分野を専門とする医師のなかには
誤嚥性肺炎の予防に胃瘻が有効でないことを知らない方も
まだおられるかもしれませんが、
死因3位、肺炎に関連するガイドラインですから
近いうちに共通認識になってくると思います。

どういう状況にあり
どういうことを目標・目的に胃ろうを作るのか、
それをしっかり考えましょう。

パセーラ6階ミスホア サイゴンビール
珍しいですね。
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★インフルエンザ情報
東京で早くも学級閉鎖が出ています。A型です。
インフルエンザ:墨田・横川小で学級閉鎖 今季都内で初 /東京
毎日新聞 9月7日(金)10時56分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120907-00000019-mailo-l13

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