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がん医療のネットワーク

2011年03月11日  

医療は、一人だけではできません。
ひとつの病院だけでもできません。
ネットワークが必要なんです。
役割分担、と言い換えてもいいかもしれません。

がん診療のネットワークの整備がすすんできています。
一部のがんでは、地域連携パス と呼ばれる
診療連携プログラムが動き始めています。
本日のお勉強は、地域連携パスについて。

そごう本館の 波奈。毛がに。
この時期だけのメニューのようです。
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★インフルエンザ情報
今週になりB型激減、A型が再度増えています。
たまたまなのか、A型流行がぶりかえすのか。
今年の流行は例年とはずいぶん違っていて、予測ができません・・・。

本日のお勉強
がん医療の連携と地域連携クリニカルパスの利用
座談会
広島医学 2011年1月号
広島赤十字・原爆病院 有田健一 先生ほか
要点
乳癌、肺癌の医療ネットワークに参加している施設の座談会をおこなった。
乳癌では、内分泌療法以降のパスは作成され運用が開始されている。
肺癌では、IA期などについて準備中である。
パスを用いた医療連携とそこでおこなわれる医療こそが安心できる医療なのだということを患者が理解し納得できることが大切である。
かかりつけ連携先(診療所など)が一般医の場合と専門医の場合とで、患者との関係が異なる可能性があるので、細かい配慮は必要である。
がん医療の均てん化、医療連携ネットワーク、地域連携クリニカルパスなど現在おこなわれているがん医療全般にわたる啓発と広報に力を注がなければならない。

学術雑誌にも座談会が掲載されることはありますが、
出席者が4-5名程度のことが多いです。
今回は非常に多くの出席者(19名)による座談会で
原稿に落とすのが大変だったろうと思います。

大病院は、患者が集中しすぎて困っています。
がんの手術後の患者であっても、CTなどの精密検査は
年間数回しか ふつうは必要ありません。
定期的な診察と血液検査だけならば、一般のクリニックでも十分可能です。
血液検査の項目、重点的にみる診察項目さえ共有されていればよいのです。
また、
がん患者であってもカゼひいたり下痢したりすることもあります。
血圧が高かったり、血糖が高かったりする人もあります。
そういう時に、なにもかも大病院を受診する必要はなく
近所のかかりつけ医でみてもらえばいいのです。

そういうわけで
最初の治療(手術や抗がん剤など)、および精密検査は大病院でおこない、
そのスケジュールを決めておく。
たとえば ○月○日にCT、×月にはMRI、というように。
それ以外のふだんの受診はかかりつけ医でおこなえば
診療の質も保たれるし、外来で長く待つこともない。
大病院の医師も 長い長い外来勤務時間から解放され
入院患者や手術患者に全力を挙げて取り組めるようになります。
治療方針などについて、じっくり時間をかけて説明することも出来るようになります。
いいことづくめなんですね。

私は大病院でないと不安だ、
という人がいれば、このシステムは効率的に動きません。
大病院と縁が切れるわけではない、
スケジュールに沿って精密検査をおこなうので診療のレベルが落ちることはない、
ということを繰り返し広報して理解していただくことが必要なのです。

でも
効果的な広報が出来ている、とは言えませんね。
どうやって取り組んでいくか、です。

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