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心に残る出会い 148 満身創痍だったMさん

2022年03月27日  

カープ、連日の大量得点、いいですね!
今日は遠藤投手です、応援しましょう!

 

さて、毎月 最終日曜日は 心に残る出会いです。

Mさんは73歳
病気のデパート、満身創痍の状態でした。
脳動脈瘤でクリッピング、不整脈でペースメーカー、胃癌で胃全摘、食道癌で放射線化学療法・・・。
喫煙者でもあり、肺気腫もありました。
肺気腫のため、病院通院はしんどくなり、病院の呼吸器内科担当医から Mさん御自宅の近所である当院に紹介され、私たちのはじめての出会いです。
その後の肺気腫治療(吸入、内服薬)を 当院が担当することとなりました。

これだけ大きな病気をいくつもすれば、「禁煙しましょう」と病院では言われますし、
「禁煙しよう」と 本人が禁煙に踏み出すことも多いのです。
しかしMさんは 「喫煙は もう食事のようなものとなっており、やめる気は全くない」と言われるのでした。

タバコは、発がんリスクを高めます。
胃癌・食道癌の追跡中に ある腫瘍マーカーが高くなり、
PET検査をおこなったところ 肺癌が見つかったのでした。
本人は病院と相談し、放射線単独で治療をおこないました。
それでもMさんは たばこをやめません。
その後、皮膚癌もみつかり、切除されました。

さらにその4年後、また新たな肺癌が見つかりました。
放射線治療を過去におこなった場所については、重複する放射線治療は出来ません。
肺機能が悪い、というリスクはあるのですが、手術を選択されました。
手術後は 少し動いただけで息切れがひどく、食事もあまりたくさん食べられなくなり、
Mさんは 体重も減り、あまり活発に動けなくなってきたのでした。

さらにその3年後。
腹部リンパ節の増大などが認められ、生検したところ 肺癌の転移と判明したのでした。
転移については 抗癌剤治療をおこなうか、おこなわないか、という選択肢です。
食事量が十分でなく、あまり活発に動けない状態ですので 抗癌剤はおこなわない、という選択肢もあったのですが、Mさんは 抗癌剤を選択されました。

入院して抗癌剤を点滴します。
そうすると食欲、体力がガクッと落ち、2-3週間かけて回復してきたら また入院、抗癌剤。
それを何回か繰り返してきましたが、とうとうMさんは 病院で亡くなられたのでした。

Mさん、いろんな病気があるのに よくがんばってこられましたね。

 

【解説】
がんと戦う、という方は多いです。
体力的に きびしい状況となっても、それでもまだ戦う、という方もおられます。
それはそれで、ひとつの生き方、ではあるのです。

そんなにしてまで「がんと戦う」、というのであれば
がんと戦うその前に タバコと戦っておられたら よかったのに、と思うんです。

もちろん、Mさんが胃癌や食道癌、あるいは肺気腫になった時点で禁煙していても、その後 肺癌にならなかったか どうか、というのは これは誰にもわからないことなんですけれども。

 

禁煙治療について
現在、禁煙補助薬「チャンピックス(R)」は 出荷されておらず入手できません。
ニコチンの貼り薬も、入手できません。
つまり、現在は 「健康保険適用の禁煙治療」は 受けることが出来ません。
この秋頃には この状況は解消されるのではないか、と期待はされておりますが。
それまでの間、もし禁煙したいと思われたなら、自力でのチャレンジをお願いいたします。

禁煙治療が再開できる時がきたら、当ブログで お知らせいたします。

 

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