心に残る出会い8 方言の強かったIさん
Iさんは78歳。
近隣県の漁師町で、かまぼこ工場に勤めていました。
体調が悪くなったので、広島の娘さん一家に同居することになりました。
そして精密検査を受けたところ、肺癌、しかも相当進行していました。
抗癌剤治療をおこなわず、在宅(娘さんの家)で生活することを選択されました。
そこから当院に診療の依頼です。
最初は外来通院できていたのですが、
みるみる衰弱がすすみ、外来通院が困難となり訪問診療となってきました。
Iさんは、漁師町育ちの人によくある「無口で口べた」の人でした。
ぼそぼそっと話されるのですが、これがまた方言が強い。
ふつうの方でしたら、会話を聞き取り理解するのがむつかしかったかもしれません。
何度も聞き返す必要がある場面もありそうなくらいでした。
ところが、
私(緩和ケア医)は魚釣りが趣味で、
これまであちこちの漁師さんとも おつきあいしてきました。
こういった漁師特有の話し方、方言など ほとんど苦になりません。
Iさんの言うこと、言いたいことが、よく理解できたのです。
このためIさんに、すっかり信頼していただけたのでした。
Iさんは結局最期まで入院を希望されず、在宅のままでお亡くなりになりました。
今思うと、
きっとIさんは 大きな病院の医師や看護師さんに
同じ事を何回も聞き返されたり言い直しさせられたりしていたんだろうなあ、
というように思います。
どうして自分の言うことをわかってくれないのかなあ、と
Iさんは そう思っていたかもしれません。
趣味(釣り)が役に立ったなあ、と
ちょっとうれしく、でもちょっと複雑な気持ち、を思い出します。
写真は並木通りの一番北のロータリー。
年末の広島ドリミネーションとは、ライトが変わりましたかね。
気のせいでしょうか。
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