心に残る出会い124 新型コロナの後押しで御自宅に帰ったKさん
毎月 最終日曜日は 心に残る出会いです。
今回は 新型コロナ関連の状況の紹介をかねて、最近の動向をお知らせします。
Kさんは83歳。
子供さんたちは みんな独立し、御自宅で夫婦二人暮らしでした。
1年ほど前にKさんに肺癌がみつかりましたが、すでに転移もたくさんおこしており、
手術や放射線治療は出来ません。
抗癌剤治療については 希望されませんでした。
次第に腎臓が悪くなり、食事もあまりとれなくなってきました。
入院して透析開始、となりました。
しかし、透析中に血圧がストンと低下してしまいます。
もうこれ以上の透析継続は困難です。
ちょうど この頃、新型コロナ感染症の警戒がはじまってきました。
老人施設や病院は 「基本的に面会禁止」、となったのです。
御本人は 自宅に帰りたい、と何度も訴えられました。
これ以上、病院にいても 積極的な治療は望めません。
なにより、御家族の面会が制限されています。
そこで夫が決断されました。
見舞いもろくに出来ないのでは かわいそうだ。
家に連れて帰ってやりたい。
残された時間はありません。
当院が在宅医として声をかけられ、訪問看護ステーションもそろい、
緊急で退院前カンファレンスをおこなって その日に退院です。
退院前の病室で、私たちのはじめての出会いです。
Kさんは、顔色は悪く、眉間にシワを寄せた状態で横になっておられました。
では退院後に御自宅でまたお会いしましょう。
子供さん達も御自宅で勢揃いです。
御自宅に帰る判断は 間に合いました。
Kさんは 穏やかな表情になっておられました。
それからしばらくして Kさんはお亡くなりになりました。
最期は苦しそうな息ではなかった、とのことでした。
Kさん、家に帰れて よかったですね。
御家族に囲まれてすごせて 本当によかったと思いますよ。
【解説】
新型コロナ感染症の影響で、施設や病院は 面会禁止のところが 多いです。
御家族は洗濯物の受け渡しだけ、という話も聞いています。
御家族が面会できても、ほんの短時間だけにしてください、という所もあります。
御本人にとっては、家族がそばにいないと心細く、入院・入所生活はつらいことでしょう。
新型コロナに感染し、隔離されてしまった人は それこそ面会謝絶です。
ニュースによると、イタリアでは、病院で 家族に会えず一人きりで死んでいく、という状況になっているのだそうです。
面会もろくに出来ないのであれば、ということで、家に帰る、家に連れて帰る、という選択をされる本人・御家族が じつはたくさんおられます。
当院に、そういう在宅主治医の依頼が たくさんあるのです。
平時でしたら、もう少し入院してから帰りましょう、というケースもあるだろうと思うのです。
新型コロナ騒動をきっかけに、「本当に大事なことは何か」を
考えるきっかけになっている方がおられる、ということなのだと思います。
新型コロナが 在宅医療の後押しをしている、という見方も 出来るのかもしれません。
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手洗い咳エチケット、よろしくお願いいたします。
それと
熱、咳や下痢のある人は
高齢者施設や病院などにお見舞いには行かないよう お願いいたします。
多くの高齢者施設は 現在 面会停止中です。御理解ください。
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広島県【県民の皆様へ】
・次のいずれかに該当する方は、相談窓口に御相談ください。
●相談窓口に御相談いただく目安
・風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方(解熱剤を飲み続けなければならない方も同様)
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方
●なお、以下のような方は重症化しやすいため、この状態が2日程度続く場合には、早めに御相談ください。
・高齢者
・糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方や透析を受けている方
・免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
・妊婦の方
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/2019-ncov/
新型コロナウィルス感染症についての
厚生労働省の電話相談窓口0120-565653 9時から21時まで
広島市電話相談窓口
平日8:30から17時まで
中区は中保健センター 504-2528
このほか、それぞれお住まいの区あてに。
それ以外の時間帯(夜間・土日祝日)082-241-4566
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