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心に残る出会い80 緩和ケア病棟でなく自宅を選ばれたHさん

2016年05月1日  

毎月、最終日曜日は心に残る出会いです。
今回は、1週間遅れでスミマセン。

Hさんは76歳。
2年前に肺の小細胞癌と診断されました。
化学療法が非常によく効きました。
このため全脳照射が追加されました。
(肺小細胞癌は脳転移をおこすことが多いので、
抗がん剤がよく効いて 長期闘病が可能だと思われる場合には
全脳照射をおこなうのが標準治療です。)
しかしそのあと、肺転移、副腎転移なども出現してきました。
抗がん剤治療をおこないましたが食欲低下がひどいため、治療は終了となりました。

放射線治療の影響もあり、足の力が入りにくく、また認知症症状も出始めていました。
病院への通院は困難になりました。
できるだけ家ですごしたい、最期はS病院の緩和ケア病棟に申込してある。
ということで
当院に訪問診療の依頼があり、私たちのはじめての出会いです。

歩行はフラフラして、ときに転倒することもありましたが
比較的 落ち着いた時間が続きました。
御家族は 日中は仕事で不在になりますので
御家族が不在の時の室内での転倒が心配な問題点でしたが、
訪問看護とも協力し、家ですごしていけました。
「どうしても行きたい」、という場所への旅行も 無事に行ってこられました。

半年がすぎ、食欲が次第に落ち始め
ついには ほとんど食べられなくなってきました。
入院を希望されますか、緩和ケア病棟に連絡とりましょうか?

本人は、
「苦しいこともない、痛いこともない、
そりゃあ家がええ!」

御家族で相談され、
安らかに過ごせているし、本人もそう言うし、
これなら 緩和ケア病棟ではなく、このままずっと 最期まで家で。

その4日後、Hさんは自宅で安らかにお亡くなりになりました。


入院を希望されるか、最期まで家を希望されるか。
最後の選択をする時期は 亡くなられる1週間前頃のことが多いです。
最期は緩和ケア病棟で、と 漠然と希望される方も多いのですが
それは 「最期は痛いだろう、苦しいだろう」、と思っておられるからでしょう。
苦しくなく、痛くなければ そのまま自宅で、と決断される方も多いです。

癌の最期は自宅では無理に決まっているだろうから 緩和ケア病棟で、
というわけでもないのです。
在宅チームの、緩和ケアの力量による部分も 大きいのです。

Hさん、亡くなられる前の日に 自宅で御家族全員に会えて よかったですね。


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