癌が消えた、ということ
昨日も夜まで仕事でした。
ケアマネを通じ往診依頼があり、患者さんのお宅で はじめてお会いした方。
初診での往診、というのは、情報がないと難しいですが、事前に情報があれば可能なこともあります。
ケアマネージャに御相談ください。
訪問看護さんと訪問時間を合わせての初診往診でした。
また、
近日退院するのだが、在宅では どのようなことが想定され、どのような準備を整えておけばよいだろうか、
という 在宅カンファレンスもありました。
今は病院での「退院前カンファ」の開催が コロナのため難しい状況です。
在宅チームと御家族だけで 退院準備をすすめていくためのカンファ、というのも おこなわれております。
そのほか新型コロナの検査やら診察・治療やらで 忙しい一日でした。
さて。
癌が消えた、なんていうニュースを見ると、本当にがっかりします。
そのお金で 家族と温泉に行ったり、おいしい物を食べればいいじゃない、と思うんですよ。
西郷輝彦さん 語っていた「奇跡は起こります」 半年前に豪州からTVリモート出演し力強い言葉
スポニチアネックス 2022年2月21日
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/02/21/kiji/20220221s00041000246000c.html
西郷輝彦さん死去「1回160万円」前立腺がん海外高額治療でも…
FRIDAY 2022年02月21日
https://friday.kodansha.co.jp/article/230887
西郷輝彦さん、豪州での日本未承認治療でがん消えるも腫瘍マーカー大幅増に首かしげていた
日刊スポーツ 2022年2月21日
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202202210000493.html
がん治療についての小話に、似た印象ですね。
「癌の手術は成功しました、ただ本人は亡くなりました」、というヤツ。
癌の画像診断は、いろいろあります。
それぞれについて、性能に限界があります。
たとえばCT検査ですと、1cmくらいの大きさがあれば 指摘できるでしょう。
でも それより小さいサイズであれば 指摘できない可能性が高くなります。
5㎜の癌がたくさん存在していても 検査で一つも指摘出来ない可能性はあるのです。
「CT検査したが 癌は指摘できなかった」、 ということと 「癌はなかった、癌が消えた」 というのは 別なんです。
冠言葉に 「何月何日の、この検査では」 というのが つくんですよ。
指摘できなかった、とは言うが、消えた とは 医師は言わないんですよ。
ですから、
癌が消えた、奇跡だ、と喜んだというのは ま、そういうことです。
消えてはいないんですよ。奇跡でもない。
癌を完治させるだけのパワーを持たない治療法・治療量であっても、一時的に癌を少し小さくするくらいのパワーは発揮できることがあるんです。
「標準治療」という言葉が 誤解を生むのではないか、と前から指摘しております。
標準、でダメなら 上や特上があるんじゃないのか、と 思ってしまいますよね。
でも、標準治療に選ばれていない治療は、下、下の下、お話にならない、というレベルなんです。
標準治療ではなく、最善治療 と呼び名を変えたほうがいいんじゃないでしょうか。
そうしたら
(海外の)効果のない自費治療に飛びつくような人は 減るんじゃないでしょうか。
なぜ緩和ケア医が こうした「ニセ医学」に 厳しく批判的なのか?
それは
効きもしないナンチャラ細胞療法とか、ナニナニ免疫療法という ニセ医学に行っていた人が
最期は 苦しいので緩和ケアを依頼してくるのです。
アチラの世界で見捨てられて、行き場がなくなって 現代医学の世界に戻ってくる。
ちょっと言い過ぎかもしれませんが、無責任なニセ医学の尻拭いを 緩和ケア医はおこなっているんです。
ですから
高額な金だけとって、「あとは知らない」というニセ医学・ニセ医学医師を 非常に腹立たしく思っているんです。
そして
そういう悲しい世界に落ち込む人が 少しでも減ればいいなあ、と思っているんです。
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