県内で33校が学級閉鎖・学年閉鎖中
インフルエンザ、流行中です。
広島市では、東区温品小学校、安佐南区大塚小学校で
新たに学級閉鎖が出ています。広島市内は計8校。
広島県はホームページの更新が遅いのが困ります。
25校の学級閉鎖を一度に発表しました(広島市は除く)。
このうち学年閉鎖が7校です。
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/57/1251713658857.html
本格的流行期にはいっています。
うがい手洗いマスク咳エチケット、
よろしくお願いいたします。
本日のお勉強は、
わが国からの胃癌撲滅をめざす具体的戦略。
どこの部分にどれだけお金をかければ
どれだけの効果があるか、
費用対効果を明示されています。
何も対策をしなければ
2020年には胃がん死亡者が年間7万人、
胃がんの国民医療費が年間5000億円になります。
財政のきびしい日本だからこそ、
「病気になってから治療する」 のではなく、
「病気にならないように予防医療に投資する」ことが
大切なことなのです。
治療費より予防費のようが かなりかなり安いのです。
今手を打つことが必要なんですよ。
本日のお勉強
わが国からの胃癌撲滅をめざす具体的戦略
日本内科学会雑誌 2011年9月号
北海道大学消化器内科 浅香 正博 先生
要点
わが国の胃癌の95%以上がヘリコバクタ・ピロリ感染により発症することが
明らかになってきた。
これまで胃癌対策は早期発見・早期治療が柱であったが、
間接バリウム撮影検診は役に立っていない。
感染が発癌の原因であるので、肝癌や子宮頚癌と同じように
感染を断つという方針に転じる必要がある。
ピロリ除菌をおこなえば胃癌の発症が1/3に減ることも明らかになっている。
しかし除菌だけでは全ての胃癌を防げるわけではない。
そこで
50歳以上の全員にピロリ抗体と血清ペプシノゲン測定を行うことを提案する。
どちらか陽性であれば除菌をおこない、
その後は内視鏡で経過観察する(保険診療、状態により1~5年に1回)。
わが国では毎年新たに10.7万人が胃癌に罹患しているので
5年間で37万人以上の胃癌発生を抑えることができる。
わが国では年間5万人が胃癌で死亡しており
5年間で16万人の命が助かる計算になる。
金額を計算してみると
ペプシノゲン測定とピロリ抗体検査は、1名あたり1300円。
50歳以上が5400万人で、検査費用約700億円かかる。
除菌対象4266万人で、除菌費用約4700億円となる。
これに対し胃癌患者の治療費は
内視鏡手術、外科手術、化学療法で毎年2915億円かかっている。
このうち化学療法は今は患者1名あたり年間70万円だが、
大腸癌のように分子標的薬が導入されれば年間200万円になる。
50歳以上の全員が胃癌検査・除菌を実施すれば
胃癌治療の医療費は年間2000億円減らすことができ、
検診・除菌の費用は2~3年間で元が取れる。
5年後には約6000億円の経済効果となる。
半数が検査・除菌を受けただけでも10年後には胃癌は著減していく。
もし何も対策をしなければ
団塊世代が胃癌発生ピークをむかえる2020年には
胃癌患者死亡数は年間7万人、
胃癌の治療費は年間5000億円を超える可能性がある。
また医療費のみではなく
患者死亡による生産性喪失など経済的損失は1兆4000億円になる。
***
非常に具体的な提案で、
金額の計算も提示されており、興味深いです。
禁煙指導にあたっている医師や保健師などは
似たような試算を知っています。
タバコによる収入は年間2兆8000億円程度、
しかしタバコ病による医療費などで損失は毎年5兆6000億円。
喫煙者はタバコ税で国に貢献している、という話はオオウソで
タバコは1箱1000円にしてちょうどくらい、
そうなると禁煙者が増え癌患者や動脈硬化患者が減り
財政的にも非常によい話である、
という試算は だいぶ前から主張されていますが
いまだに実現されていません。
首相など大物政治家に喫煙者がいれば話は進みませんね。
肝臓癌対策として肝炎ウィルス検査、インターフェロン治療などがおこなわれ
子宮頚癌対策としてHPVワクチンの公費負担がおこなわれています。
胃癌についても
ピロリ感染を断つということが基本になります。
胃がん撲滅戦略、ぜひ実現してほしいものです。
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