科学的な態度を養う
今日も山はかすんでいます。
遠くの山は全く見えません
黄砂が来ております。
PM2.5は本日午後から「多い」予測です。
呼吸器疾患のある方は、不要不急の外出は控えましょう。
黄砂は20日いっぱい、御用心ください。
気象庁黄砂情報は当ブログ右側欄にリンク張ってありますので
ときどきチェックしてみてください。
大学院の選抜結果があちこちから聞こえてくるようになりました。
大学院に進学される方、がんばってくださいね。
さて、
小保方さんに関連して。
大学卒(学士)と大学院(博士)、どうちがうのでしょう?
私は修士課程のことはわかりませんので
博士課程のことで書きますので、その点は御了承ください。
大学院で実験や論文に取り組んだ経験のない医師にとって、
書いてある論文の信憑性、
参考文献に引用してある論文・書物の信頼性、
そういうものを判断することは 難しいです。
大学生までの間は、他の人の言っていること、書いてあることを
素直に理解し覚え込んでいくのが「秀才」です。
受験秀才、という表現もありますね。
大学の卒論でも、あちこちの文献やネットから引き写してきて
それで論文完成、というケースが増えているようです。
この段階では基本的には「他人の言っていること(書いていること)」を疑っていません。
小保方さんの博士論文では
最初の方法論のあたりが20ページもコピペだった、と指摘されています。
学生の卒論レベルならば、これでも許されることもあるでしょう。
(ただし、出典を明記し引用している場合に限りますが)
ところが、大学院というのは、そうではありません。
人の言っていること、書いてあることを まず疑ってかかります。
「批判的吟味」、と呼ばれる態度、これを身につけるのです。
その上で、
必要なことについては自分で実験を組んで確かめ、
情報の信頼性を判断する能力を磨くトレーニングを4-5年かけて積むのです。
これまで誰も言わなかったことを突き止め発表して、
そこではじめて博士号をもらうのです。
こうして独り立ちした研究者として認められるのです。
「人を信用しない」、という
なんだか、人間性には問題があるような感じがしないわけでもありますが
でも 大学院の研究、博士論文というのは そんなものです。
人の言っていることを追認・追実験するだけでは
けっして博士号はもらえないのです。
その点、
小保方さんは、従来の常識を覆す結果を発表されています。
その点は非常に素晴らしい。
もし本当であれば。
しかし、
当方は小保方さんの成果については
専門家の検証を待ちましょう、という表現になります。
実はまぐれの失敗実験ではなかったのか、
(使用した材料に不備があったのではないか等)、
そもそも虚偽の結果発表ではなかったのか、という
そういう疑いはずっと持っておりますもので。
ヒマな方は2月9日の当ブログを御覧ください。
大学卒(学士)と大学院(博士)、その差はいろいろな場面で歴然と出てきます。
たとえば新発売の薬のデータ。
製薬メーカーがいろいろ「良いデータ」を印刷したチラシを持って
宣伝してきます。
批判的吟味のできない医師は、そのデータをうのみにするしかありません。
でも、
自分で研究したり論文を書いたりした経験のある医師であれば
研究のデザインは? (対象、対照薬、方法、解析など)
結果の解釈は?
これまで報告されている内容との整合性は?
などなど、
必ず自分の頭で吟味をおこないます。
製薬メーカーからの説明をそのまま受け入れ評価をすることはありません。
製薬会社からすると
やりにくいイヤな医者、になっていることでしょう。
学会発表だって、学会誌の論文だって、
これ信じがたいな、ここに問題ありだよな~
とか
わざとこのポイントに触れないで発表しやがったな~
というものがちょこちょこあるのです。
自分の手の内の全てをさらけ出すことはしない、
というのは
全ての研究者がおこなっていることです。
自分でもやってきたことですから
他人の研究発表でもよくわかるんですよ。
疑心暗鬼はお互いさま、の世界なのです。
まあ、でも、
ネイチャー・サイエンス級の雑誌に投稿する論文なり
自分の博士論文で
以前の画像を「うっかり」使用してしまった、とか
「論文の下書きがそのまま出てしまった」、とか、
そういう話は信じることは出来ません。
そういう重要な論文については
何十回も何百回も読み返し推敲を繰り返します。
画像が不備だと思えば、
何十日もかけ、何十回でも実験を繰り返します。
「うっかり」というのはありえないのです。
明白に「故意」なんですよ。
電気泳動の写真の中央のレーンを切り貼りしている部分も指摘されました。
本人も切り貼りは認めたようです。
電気泳動では、陰性コントロールと陽性コントロールがあって、
その並びに試料のデータが来て、いろいろな判断をします。
切り貼りしたのでは何の意味もなしません。
これを「やってはいけないとは知らなかった」
という説明は通りません。
大学生でも、そんなことはやってはいけないと知っています。
少なくともこの部分については「ねつ造判定」で間違いないです。
故意なんですよ。
論文取り下げが妥当だと判断しています。
まあ、そういうわけで
進学先、就職先に迷った場合、
もし余裕があるのならば
大学院を経験することをおすすめします。
真偽を見つめる目が養成されます。
今では社会人でも大学院に行けますよ。(社会人大学院制度)
たかの橋新長亭 特選牛カルビ
★インフルエンザ情報
広島市では17日付で7校、18日付で1校の学年学級閉鎖が報告されています。
まだまだ御用心ください。