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老人ホームに医師が毎日行く時代に?

2014年03月20日  

今朝も山は見えません。
黄砂ですね。
昨日も喘息発作をおこした方が何名も受診されました。
ステロイド吸入を少し増やしておきましょう。

さて、
今回の診療報酬(医療費)改定で
老人ホームには医師が行かない時代になるかも、
という話を御紹介させていただいておりました。
老人ホームなどの施設の診療報酬が1/4に激減する改定になったのです。
ところが
3月5日に厚生労働省から通知が出まして。
「1/4にならない条件」の例示がされました。
厚生労働省がこういった例示をすることは極めて異例で、
「今後 施設の医療はこのように行いなさい」、という
強いメッセージであると多くの医師は受け止めております。
医療介護福祉の業界の方々は
厚生労働省ホームページで御確認ください。
平成26年度診療報酬改定説明(医科、本体)64ページ
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf

同一日に、同一施設の患者を複数診療した場合には
4月からは1か月の医療費がほぼ1/4になる。
これが原則です。
これは既報としてお知らせしたとおりです。
その例外として
・癌末期状態の患者は除く。
・死亡30日前にさかのぼって除く。
これは、まだ理解しやすい除外条件です。
施設であっても癌末期患者や看取りには手間暇はかかるでしょう、ということです。
ところが
他にも除外条件が提示されておりまして。
1日に1名しか訪問診療していない場合には
その患者については医療費(管理料)は1/4にならず、
従来通りの医療費計算になる、という条件です。

つまり、ですね。
仮に18名入所の認知症グループホームがあった、とします。
(1ユニット9名という設定がされています。
2ユニットの施設であれば定員18名ということです。)
2週間に1回だけ医師が来て、全員を診察して帰るとします。
この場合には全員が従来の1/4の医療費となります。
ところが
1日1名だけの訪問診療とすれば
その患者はこれまでと同じ医療費計算でよい。
月初めの月曜日に全員を診察したとして、
続く火曜~金曜まで、1日1名ずつ診察(合計4名)、
翌週は月曜から金曜まで1日1名ずつ診察(合計5名)
これで2週間で合計9名を1日1名診察ルールで診察したことになります。
で、
第3週も月曜日に全員を診察し、
その後は月~金で1名ずつ対応したとすると
3・4週の合計で、やはり9名を1日1名診察ルールで診察できます。
こうすれば4週間合計で18名が、1/4減算の対象にならないことになります。
2ユニットまでの施設であれば、こういう診察方法で可能です。

ちょっと こずるいやり方のように思われますが
わざわざ厚生労働省がこの方式を提示してきています。
厚生労働省は
「施設の患者をまとめて月2回だけ診るのではなく
もっと毎日のように、こまめに顔を出しなさい」、
そういうメッセージを出した、というわけです。
こまめに顔を出せば従来どおりの診療報酬だし、
こまめに顔を出さない医師については1/4に下げましょう、と。

こういう通知となりましたので
施設によっては、毎日医師が少しだけ顔を出す、
そういう状況になってくるかもしれません。
まあ、施設側とすれば、医師が毎日のように来てくれれば
何かと相談もしやすく、安心ではありますね。

ひとつだけ問題点があって、
2ユニットよりも定員の多い施設で問題が出ます。
たとえば30名定員の施設の場合、
上記1日1名診療ルールでおこなえば
18名は従来通り(厳密に言えば、従来よりもわずかに高くなります)の医療費、
残り12名は従来の1/4の医療費となります。
同じ施設に入所しているのに、
なぜAさんとBさんで医療費が4倍も違うのか?
私がなぜBさんの4倍の医療費を払わなければいけないのか?
それを患者・家族に納得してもらうことは困難でしょう。

医療費の支払いは安い方がいいに決まっていますよね。
そうなると
私も安い方でいいです、という人ばかりになるでしょうから
結局、安い方(従来の1/4)で全員そろってしまう可能性が高いです。
今後、新たに癌がみつかり、末期状態になった方であっても、
いったん1/4の金額の医療費を経験してしまった後では
「これまでどおり安い方でお願いします」
ということにもなるでしょう。
それと、
死亡されると30日さかのぼって除外、という規定については
死亡された後から
「先月お支払いただいた医療費ですが、1か月さかのぼって訂正で4倍の値段になります」
と 追加請求することも、これも事実上不可能でしょう。
やはり1/4の費用に落ち着いてしまう可能性が高い。

例外規定は絵に描いた餅になるかもしれません。
そうであれば、施設での看取りや夜間休日対応は もうやーめた、
というところが出てきそうです。
やっぱり
老人ホームに医師は行かない時代、になるのかもしれないです。

たかの橋 新長亭 カープ応援レッドアイ
キリン一番搾り + トマトジュースです。
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