空間除菌剤、使用中止を
ひさびさのニセ医学ネタです。
首ぶら下げ式の除菌剤、やけど続発…重傷例も
読売新聞 2月18日(月)22時45分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130218-00001389-yom-soci
***一部引用
インフルエンザの予防用などとして首にぶら下げて使う携帯型の除菌剤でやけどを負う事故が今月に入って6件続いているとして、消費者庁は18日、「ダイトクコーポレーション」(金沢市)が販売する空間除菌剤「ウイルスプロテクター」について直ちに使用を中止するよう注意喚起した。
漂白剤として使用する次亜塩素酸ナトリウムの錠剤が袋に入っており、汗などで溶けて皮膚に触れ、やけどの被害が出ているという。今月2日には、千葉県の幼児が胸に1か月以上のやけどをした。
***引用終わり
ええと、ですね。
インフルエンザウィルスというのは
飛沫感染です。
咳やくしゃみで飛び散るしぶきに付着したウィルスが
感染をおこすのですね。
口や鼻から体に入るのです。
首からぶら下げた除菌剤が
口や鼻からの吸入の防止に
役立つはずがないではありませんか。
鼻や口に装着してやけどした、
という使用法ならともかく
(それは非常に重症になりますので絶対にやってはダメ)、
胸をやけどした、という使い方で
インフルエンザに効果なんて あるはずないです。
それよりも
次亜塩素酸ナトリウムを身に着ける、ということで
毒ガスを吸入するハメになるのではないか、と思います。
場合によっては薬剤性の肺炎などをおこしたかも。
やけどした方にはお気の毒な話ですが、
もっとひどい被害が生じていたかも、と思います。
効果は期待できない、
しかも危険な薬品の使用方法である、という
2重にインチキな危険商品だと思います。
消費者庁、すばやい対応はナイスでした。
厚生労働省が近く、同社に自主回収を指導する予定とのことです。
購入した人は、ぜったいに使用しないようにしてください。
なお、
医師や薬剤師の立場から言うと
「空間の消毒」というのは基本的に無理、
というのが常識です。
陽圧室か層流(ラミナーフロー)を装備した部屋で
高性能フィルター装備でないと無理です。
この装備でも完全な消毒や除菌は困難でしょう。
何千万円単位のお話です。
数百円の投資で、空間除菌なんてそんなオイシイ話はないのですね。
また
除菌というのは細菌のことであって
ウィルスのことではない、ということも
常識として知っておいて欲しいです。
ウィルスを防ぐ除菌剤 という謳い文句そのものが
もう自己矛盾しているのです。
そういう宣伝を見たら「アヤシイ」、
こいつは菌とウィルスの区別がついていない、と
直観的に思ってください。
理屈なんか、必要はありません、
その直感が身を守ります。
今回の商品は中国製です。
健康に関する商品では
中国製は避け国産商品を選ぶ、
という判断方法も実際的と思います。
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