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COPDと肺癌

2012年09月20日  
中村仁一先生の講演会では
手話通訳の方に 先生の横に立っていただき、
同時通訳で手話通訳をしていただきました。
めったにない話題でしょうから、手話は大変だったでしょうね。
でも、
手話通訳を見ながら話を聞いたら
とてもよく理解できた、
という感想をいただいたりしております。

次回以降の講演会でも
ぜひ手話通訳をお願いしたいと思っております。

さて、
COPDという名前、だいぶ知られてきたと思いますが、
いかがでしょうか?
COPDとは慢性閉塞性肺疾患 のことですが、
肺気腫や慢性気管支炎を合わせた概念です。
別名タバコ病、タバコ肺と呼ばれます。
本日のお勉強はCOPDと肺癌のお話。

三越6階の喫茶で、抹茶ソフトクリーム
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★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

本日のお勉強
COPD診断と治療の進歩
合併症(全身併存症) 肺癌
日本内科学会雑誌 2012年6月号
自治医科大学呼吸器内科学 坂東 政司 先生ほか
要点
COPDは喫煙とは独立した肺癌危険因子の一つであり、
COPD患者の肺癌合併リスクはCOPD非合併喫煙者の3-4倍である。
肺癌死亡数は男性1位、女性2位、
COPD死亡数は男性7位である。
肺癌はCOPD死亡率死因の16.5~38%程度である。
COPD合併肺癌は、高齢・低肺機能・心血管疾患の合併、低栄養などにより
全身状態が不良である。
COPD合併肺癌を早期発見・早期治療をおこなうためには
COPD自体を早期に発見することがきわめて重要である。
***

COPDは、肺機能が低下していく疾患です。
その状態で癌が発見されたとして、
手術は肺を切り取るわけですから
肺機能が良い人しか手術は適用になりません。
もし無理して手術して低肺機能となれば
ちょっとの動作でも息苦しくなり、日常生活がおくれませんので
無理して手術ということは出来ないのです。
手術後、退院できないまま亡くなられる方もおられるので
本人や家族がいくら手術を希望されても、
出来ないものは出来ません。

手術後に、間質性肺炎が一気に悪化する人もいます。
残った肺に肺炎がおこれば、命にかかわる事態です。
どういう人が術後の間質性肺炎をおこしやすく、
どういう人は起こしにくいのか、
まだ解明されていません。

同様に、
肺機能が悪いので手術ではなく放射線治療を
というのも簡単にはいきません。
放射線による放射線肺炎というのもあるからです。

つまり、癌を見つけても手術も放射線も出来ない、
ということになる可能性がCOPD患者には高いのです。

では抗がん剤はどうか、というと
抗がん剤だけでは肺癌を完治させるだけのパワーがないことが多く、
抗がん剤による間質性肺炎も可能性があります。
また栄養状態、全身状態が悪ければ、抗がん剤も使用ができません。

というわけでCOPD患者には
癌に対する主要な治療法が適用できないことも多いのです。

COPDにならないようにするには 禁煙です。
一日でも早く禁煙をすること、それが大事です。
COPDが進行してくると
少し動いただけ(例:トイレ)で息苦しくなりますので、
非常に苦しく悲惨な状況となってきます。
数ある病気の中でも一番苦しい病気と言ってよいと思います。
禁煙しましょう!

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