心に残る出会い18 食道癌のOさん
Oさんは84歳。
5年前に咽頭癌の放射線治療を受けています。
治療のせいで匂いや味がわからなくなり、口の渇きにも悩まされていました。
食事がおいしくない、楽しくない。
本人にとっては、非常につらい状況だったそうです。
ある日、食べたものを嘔吐するようになってきました。
再発・転移かな、と思って検査したのですが、そうではなく
新たに出現した食道癌でした。
しかも、ふつうの食道癌ではなく、基底細胞癌という非常にまれな癌で
今後どういう経過をとるのか、報告が少なすぎて予測ができない。
抗がん剤や放射線による治療が効くかどうかもわからないタイプの癌でした。
(治療への反応が悪く、進行は非常に早く予後不良、という報告が多いようでした。)
拠点病院の先生おふたりから別々に2回にわたる詳しい説明を受けて
本人と御家族が下した結論は
「入院も治療もしない」
というものでした。
前は体力があったが、今はもう治療を受ける体力がない、
治療を受ける自信がない、ということのようでした。
その後は自宅で療養です。
食べたい物、食べやすい物を時間をかけて少しずつ。
痛みが出てきたので麻薬も使用しました。
食事量が急に落ちた夏には短期間 点滴もおこないました。
K病院の緩和ケア病棟の先生にも一度診察を受け
希望すれば緩和ケア病棟への入院もできる状況は整えていましたが、
結局 最期まで自宅ですごすことを選択されました。
御家族や、ペットのいる家で、
好きな物をすこしずつ食べる生活を続け、
Oさんは自宅で亡くなられました。
写真は先代院長 折口清寿あてに一昨日届いた広島市長からの感謝状。
新球場建設のため、寄付をしていたそうです。
折口清寿は今年この世を去りましたが、
家族として こういった感謝状をいただくと、うれしく思います。
故人が、少しでも世の中の役に立っていると思えば、救われる思いがいたします。
来年からもできるだけ新球場に足を運ぼう、カープを応援しよう、
と思いました。
そうすればきっと故人も喜ぶでしょうから。
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