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心に残る出会い105 カッコイイが信条のMさん

2018年05月27日  

毎月、最終日曜日は心に残る出会いです。

Mさんは88歳。
自動車関連工場でずっと働いてきた方でした。
腕の良い技術者で、定年退職後もあちこちの工場から指導を頼まれるほどだったそうです。

そのMさんが、血液の病気になってしまいました。
その病気は、かなりの確率で急性白血病になっていきます。
Mさんも、急性白血病となってしまったのでした。
治療は一度はうまくいきました。
しかし再燃し、こんどは治療にうまく反応してくれません。
きつい抗癌剤の治療です。
白血球が減り無菌室での生活。
赤血球や血小板も減り、
毎日のように輸血や血小板輸血をおこなうような状況でした。

しかし、薬も次第に効果がなくなります。
もうこれ以上は・・・、という状況になり
Mさんの強い希望で自宅に帰ることになりました。
退院の前日、病院での退院前カンファレンスで私たちのはじめての出会いです。

退院して自宅に戻られました。
何が一番したいですか?
「チャンバラが見たい。」
Mさんはケーブルテレビを契約しており、時代劇チャンネルを見るのを楽しみにされておりました。

食欲はまったくありません。
何か食べたい物はありませんか?
「何もない。」
Mさんは呉の出身で、ときどき いが餅を買ってきてもらって食べたことはあるそうですが
今は何も食べたい物が思い浮かびません。
口にできるのは巻き寿司1個、スイカ1切れ くらいです。

無治療の白血病ですから
熱が出たり、鼻出血や血便など出血したりするのではないか、と
心配しておりました。
高熱になると 体がしんどいですから。
しかし皮下出血が少し出た程度で、熱などはなく経過することができました。

退院した直後には お孫さんなどみんな集まって にぎやかに食事会もできました。
亡くなられる数日前には 遠方のお姉さんも来てくれ、会うことが出来ました。
そしてMさんは御自宅で静かにお亡くなりになりました。

死亡診断のあとの御自宅で奥さんや娘さんに聞いた話では、
Mさんはカッコイイが信条で、入れ歯をはずした顔を妻に見せたことはなかったそうです。
どの服を着せてあげようかね?
奥さんや娘さんが たんすの服を選んでおられました。
本当にカッコイイ人だったんですよ、と。

Mさん、家での生活は、心配したような苦しい状況が出なくてよかったですね。

***
どんな状況であっても
御本人が「家に帰りたい」、と思えば それは可能です。
それを支える訪問診療医、訪問看護、ヘルパー、福祉用具(介護用ベッドなど)、入浴サービスなど
在宅チームはがんばりますよ!
ケアマネージャさんなどに御自分の希望を伝え御相談ください。
相談先がよくわからなければ当院に御相談ください。

最近食べた和菓子
御菓子処高木
抹茶水ようかん、蕨(わらび)まん 5月31日までです。
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★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

コンサートのお知らせです。

ピース・アーチ・ひろしま 平和発信コンサート
~音楽は平和を運ぶ 昭和20年代の若者たち~
2018年5月27日(日)14時開演
広島平和記念公園内 原爆ドーム対岸
ピアノ:萩原麻未
合唱:広島インターナショナルスクール
平和を運ぶ合唱団
主催:NPO法人 音楽は平和を運ぶ
鑑賞無料
http://music-peace.jp/concert.html

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