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毒蛇から血圧降下剤

2011年02月21日  

先日、NHKためしてガッテン で
毒蛇から作られた血圧の薬が非常に良いのだ、
ということを放送したのだそうで。
それを見ていた患者さん数名から
その薬に替えてもらいたい、
3ヶ月(3週間)すれば高血圧が治る、と言っていた、
という相談がありました。

3ヶ月で高血圧が治るという、そういう魔法の薬はない、
私はその番組は見ていないので、
確認して次回受診時にお答えしましょう、としました。
NHKためしてガッテン
http://cgi4.nhk.or.jp/gatten/archive/program.cgi?p_id=P20110216

その薬は、利尿剤。
毒蛇から作られた薬かどうかは私は知りませんでしたが、
薬としては昔からあるものです。

番組ホームページから内容を要約すると
1:血管拡張作用の降圧剤だけを服用している人のなかには
血圧が充分下がらない人がいる。
2:その人たちに少量の利尿剤を追加すれば効果がある場合がある。
というものです。

この番組は、いくつかの日米の特殊事情を背景にしており
そういう意味では面白い内容ではあります。(これについては次回)

本日はまず、患者さんの誤解への回答から。
1:血管拡張作用のある薬だけで治療する時代ではなくなっています。
1種類で効果不十分ならば、他の作用の降圧剤を併用していきます。
今では、第一選択で使うことが多いのはACE阻害剤やARBといわれる降圧剤です。
このうちACE阻害剤は、「から咳」という副作用が多いため、
あまり積極的には最初からは使用しません。
ARBが処方されるケースが増えています。
とくに糖尿病+高血圧の人には、まずARBから入ります。
でも、狭心症のある人には血管拡張作用のある薬が主になります。
担当医は血圧だけを診ているのではなく、全身を診て判断しています。
薬について、担当医とよく相談してください。
(薬が増えることをいやがる人が結構多いのです)。

2:利尿剤は、「上乗せ」です。
利尿剤だけでいい、とは番組でも言っていませんし、
まして「高血圧が治る」とは言っていません。
番組では、利尿剤を上乗せすれば血圧が下がる、と言っています。
これまでの薬が不要になるとは言っていないのです。

視聴者である患者さんに誤解を与えるような番組に
疑問を感じます。
××で○○が治る、なんていう取り上げ方はおかしいです。
この取り上げ方では、ココアで・・・、とか、納豆で・・・とか
日本中に変なブームをおこし、そして消えていった番組と
本質的には何ら変わるものではないでしょう。
ためしてガッテンでは、血糖降下剤の時にも 疑問符だらけの番組を作りました。
副作用のない夢の薬、なんていうセンセーショナルな取り上げ方をして。
でも実際には副作用(低血糖)もあるし、使用できない患者条件もあったりしますので
番組放送後の医療現場は大いに迷惑したものです。

高血圧の番組を作るならば
・減塩の実践方法、
・野菜類・海藻類をしっかり摂ること、
・運動(1日1万歩)をすること
という基本を繰り返し徹底し強調する番組にすべきだろうと思います。
減塩が出来ていない人のほうが、はるかに多いのですから。

このままでは消えていった番組「あるある・・・」と
同じ運命をたどりそうに思います。

次回に続く。

今週の花 ガーベラなど
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