心にのこる出会い164 聴診器をいやがったMさん
カープですが。
デビッドソン選手、一皮むけましたかね。
このまま好調維持を期待しましょう。
今日は黒原投手です、応援しましょう!
さて、
毎月 最終日曜日は 心に残る出会いです。
Mさんは81歳。
あるとき飲酒して転倒、頭部を打撲し、頭蓋内に血腫が生じました。
治療を受けたのですが、歩行障害、高次脳機能障害が残り、自宅生活は不能。
高齢者集合住宅で生活されることになったのでした。
精神科への通院治療が必要でしたが、しだいに通院を拒否するようになりました。
3人がかりでないと通院の車に乗せることができなくなりました。
ここで通院はあきらめ、ケアマネージャを通じて当院に訪問診療の依頼がはいったのでした。
その高齢者集合住宅で私たちの初めての出会いです。
Mさんには喘息があることも わかっていました。
喘息の状態を知るには 聴診器で呼吸音を聴くことが基本です。
しかし、初診時 Mさんは 聴診器を当てさせてくれませんでした。
血液検査はずっと拒否で もう10年くらい できていない、とのことでした。
Mさんはとても短気で気分屋。
機嫌のよい時でないと 診察をさせてくれません。
関係性を築くため、つかず離れず、少し距離を保ちながら かかわりを続けていくこととしました。
ある暑い夏の日、訪問看護さんが いつもより「露出の多い」服装で訪問に来たことがあり、
それ以来 Mさんは その看護師をすっかり気に入り、
彼女の言うことは何でも聞く、という状況になっておりました。
バイタルチェック(血圧や脈拍などの基本的な計測)は 訪問看護さんにお任せです。
私たちも 「敵ではない」という距離感でかかわり続け、
カゼひいて、しんどくなった時や、 喘息発作で苦しくなった時などは
さすがに聴診器を当てさせてくれるようには なっていったのでした。
それでも採血だけは拒否されて。
「血液検査したいので、少し血液を採らせてくださいませんか?」
「どれくらい取るのか?」
「およそ10mlくらいです」
「そんなに取られちゃ大変だ。取った分は入れてもらわにゃ困る。」
ある時、高い熱が出ました。
Mさんに 入院希望はなく、飲み薬で加療することとなりました。
ところが翌日 さらに高熱となり、痰がらみとなったのでした。
看護師が吸引してみると、食物残渣(食べ物のカス)が 引けます。
知らないうちに誤嚥していたようです。
Mさんも息苦しくなっており、入院を希望されたのでした。
入院した病院で、1週間後、Mさんは肺炎で お亡くなりになったのでした。
Mさん、採血がきらいだった、ということは
聴診器で診察するというのは もしかして「痛いことをされるのか、怖い」ということだったんですかね?
「痛いことはしませんよ」と言ってあげたら 胸の音を聞かせてくれたんでしょうかねえ??
【解説】
医療の介入を拒否される高齢者、というのは 珍しくありません。
とくに認知症の方のなかには、一定の比率で 拒否の方がおられます。
つかず、離れず、「ちょっとずつ顔をおぼえてもらう」という関わりをすることも多いです。
なかには 関係作りに何年もかかる人もおられます。
あせらず じっくり。
とはいえ、その間に急変して亡くなられる方も いないわけではないので、なかなかむずかしいところです。
在宅チームのなかで 誰か一人でも 関係構築ができる人がいれば
その人を中心に みんなで情報を共有していけば いいですね!
昨日は ますゐ に 行きました。
サービスとんかつ が 9月1日から値上げです。
430円になります。
その前に、と いうことで 多くのお客さんで大行列でした(18時すぎ)。
もちろん ほとんどの人が サービスとんかつです。
揚げたてですので おいしいですよね。
【業務連絡】医師募集。内科・外科・総合診療科・緩和ケア科に限りません。
新型コロナ対応をきっかけに
「医療の在り方」、「医療の目指すべきもの」について
考えを深めた方・考えを改めた方も多いと思います。
もし
「今は東京や大阪(等)で働いているが、地元広島に帰って働きたい」
とか
「病院勤務医よりも もっと患者に寄り添いたい」
「今の病院の勤務形態では 体を壊してしまうのではないか」
「これだけ命を張って働いているのに、むくわれないというのは、病院というのはおかしいのではないか」
など考えはじめた医師の方は どうぞ当院に御連絡ください。
「給料よりも 生きがい・働きがい」を求めている方、よろしくお願いいたします。
(「給料優先」という方は、イナカの病院なら「過疎地手当」が上乗せされますし、
医師求人サイトで探されると「高給優遇」のところは見つかると思います。
ただし、高給優遇で求人するということは、キツい職場、あるいは やりがいは少ない職場だ(やり手がいない)という覚悟は必要です。)
広島はコンパクトな街で、衣食住、そして働くにも子育てにも いい所だと太鼓判押せますよ。
当ブログを御覧になり、院長の理念に賛同された方、どうぞ御連絡よろしくお願い申し上げます。
在宅診療は楽しいですし、在宅緩和ケアは やりがいありますよ!
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