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心にのこる出会い164 聴診器をいやがったMさん

2023年08月27日  

カープですが。
デビッドソン選手、一皮むけましたかね。
このまま好調維持を期待しましょう。
今日は黒原投手です、応援しましょう!

 

さて、
毎月 最終日曜日は 心に残る出会いです。

Mさんは81歳。
あるとき飲酒して転倒、頭部を打撲し、頭蓋内に血腫が生じました。
治療を受けたのですが、歩行障害、高次脳機能障害が残り、自宅生活は不能。
高齢者集合住宅で生活されることになったのでした。
精神科への通院治療が必要でしたが、しだいに通院を拒否するようになりました。
3人がかりでないと通院の車に乗せることができなくなりました。
ここで通院はあきらめ、ケアマネージャを通じて当院に訪問診療の依頼がはいったのでした。
その高齢者集合住宅で私たちの初めての出会いです。

Mさんには喘息があることも わかっていました。
喘息の状態を知るには 聴診器で呼吸音を聴くことが基本です。
しかし、初診時 Mさんは 聴診器を当てさせてくれませんでした。
血液検査はずっと拒否で もう10年くらい できていない、とのことでした。

Mさんはとても短気で気分屋。
機嫌のよい時でないと 診察をさせてくれません。
関係性を築くため、つかず離れず、少し距離を保ちながら かかわりを続けていくこととしました。

ある暑い夏の日、訪問看護さんが  いつもより「露出の多い」服装で訪問に来たことがあり、
それ以来 Mさんは その看護師をすっかり気に入り、
彼女の言うことは何でも聞く、という状況になっておりました。
バイタルチェック(血圧や脈拍などの基本的な計測)は 訪問看護さんにお任せです。

私たちも 「敵ではない」という距離感でかかわり続け、
カゼひいて、しんどくなった時や、 喘息発作で苦しくなった時などは
さすがに聴診器を当てさせてくれるようには なっていったのでした。

それでも採血だけは拒否されて。
「血液検査したいので、少し血液を採らせてくださいませんか?」
「どれくらい取るのか?」
「およそ10mlくらいです」
「そんなに取られちゃ大変だ。取った分は入れてもらわにゃ困る。」

ある時、高い熱が出ました。
Mさんに 入院希望はなく、飲み薬で加療することとなりました。
ところが翌日 さらに高熱となり、痰がらみとなったのでした。
看護師が吸引してみると、食物残渣(食べ物のカス)が 引けます。
知らないうちに誤嚥していたようです。
Mさんも息苦しくなっており、入院を希望されたのでした。

入院した病院で、1週間後、Mさんは肺炎で お亡くなりになったのでした。
Mさん、採血がきらいだった、ということは
聴診器で診察するというのは もしかして「痛いことをされるのか、怖い」ということだったんですかね?
「痛いことはしませんよ」と言ってあげたら 胸の音を聞かせてくれたんでしょうかねえ??

 

【解説】
医療の介入を拒否される高齢者、というのは 珍しくありません。
とくに認知症の方のなかには、一定の比率で 拒否の方がおられます。
つかず、離れず、「ちょっとずつ顔をおぼえてもらう」という関わりをすることも多いです。
なかには 関係作りに何年もかかる人もおられます。
あせらず じっくり。
とはいえ、その間に急変して亡くなられる方も いないわけではないので、なかなかむずかしいところです。

在宅チームのなかで 誰か一人でも 関係構築ができる人がいれば
その人を中心に みんなで情報を共有していけば いいですね!

 

昨日は ますゐ に 行きました。
サービスとんかつ が 9月1日から値上げです。
430円になります。
その前に、と いうことで 多くのお客さんで大行列でした(18時すぎ)。
もちろん ほとんどの人が サービスとんかつです。
揚げたてですので おいしいですよね。

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広島ブログ  

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