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心に残る出会い13 乳がんのYさん

2010年07月25日  

Yさんは83歳。
20年ほど前にS病院で大腸癌を手術し、
その後2回の肝臓転移も手術で乗り越えてきました。
そのうちに乳癌がみつかり手術。
その後の肺転移も手術し、
抗がん剤などの治療を受けていたのですが、
骨転移もおこし、次第に通院がむずかしくなってきました。
その時、主治医の先生は、家の近くの病院に変わりなさい、と。

紹介先のN病院の先生も困ったのでしょう、
しばらく抗がん剤やホルモン治療したのちに、
次第に効果がなくなってきて、
K病院ホスピスの予約を取りなさい、と。
Yさんは、あちらの病院、こちらの病院に見放された
という印象を受けてしまいました。

予約はしたけれども、今はホスピスに入るほどの状態ではありません。
とりあえず痛みを何とかしなくちゃいけない、ということで
当院に依頼がありました。

骨転移については、現在はよい薬があります。
ゾメタという注射です。
この薬で、かなり痛みを抑えることができるようになってきました。
しかし、副作用に顎骨壊死(がっこつえし=顎の骨がダメージを受ける)というのがあります。
Yさんもすでに顎骨壊死をおこしていました。
もはやゾメタは使えなくなっていたのでした。
骨転移の痛みと、顎骨壊死の痛み。
食事をするのも痛いのですから、これが問題でした。

病院では、オピオイド内服(医療用麻薬)は使用されていましたが
臨時使用の薬(レスキューと言います)は処方されていませんでした。
そこで、まずはオピオイドの調整です。
痛みの時間帯、強さなどを考えて
中心となるオピオイドの種類と量、服用する時刻を決め、
その上でレスキューの種類と量を決め、細かく調整していくのです。
骨の痛みに対しては、他にも薬を選んで使用していきます。
これで何とか在宅療養を続けることができました。

Yさんの家は大家族でした。
ちょうどその時期、Yさん家では
同居のお孫さん(Yさんの孫)が臨月をむかえていました。
このため、お嫁さん(Yさんの息子さんの妻)が一人で
Yさんの看病、お孫さんの世話、ひ孫の面倒など
一家の家事を全部まとめて引き受けないといけない状況でした。
さすがに疲れた~、これ以上はもうダメ~、と
お嫁さんが当院でぐちって帰られることもありました。
(ストレスや負担を相談したり、はき出す場があることも
在宅療養を続けるためには大切なことです。)

Yさんは時々高熱が出ることがありました。
腎盂腎炎など感染症をときどき起こしていたのです。
そのつど抗生物質点滴などで乗り切ってきていました。
ある日、また高熱が出ました。
この時はお孫さんが出産・退院したばかりで、
お嫁さんの負担がもう限界だという状況を知っていましたので
本人、家族とも相談のうえ、
ホスピスに連絡して緊急入院させてもらう手配をとりました。
Yさんの御家族は、みんな精一杯がんばっておられました。
看病する側が疲労で倒れたりしないように、
「レスパイト入院」という考え方があるのです。

でも、Yさんの場合はレスパイト入院では終わりませんでした。
ホスピス入院後に病状が急速に悪化したのです。
Yさんはそのままホスピスで亡くなられました。

もみじまんじゅう味のラムネ
買ったけど、まだ味わっていません。
飲んだ人(娘)の感想では、却下、だそうですが。
P1120811.JPG
★新型インフルエンザ情報
沖縄でインフル患者が3週連続増、流行指標上回る
Yahooニュース 7月23日15時38分配信 医療介護CBニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100723-00000003-cbn-soci

福井県と沖縄県で流行している、というのが先週でのお話。
福井のほうは流行は下火になったそうです。
沖縄は増加しています。
夏休みに沖縄旅行を計画している人(とくに小児)は
インフルエンザワクチンを接種しておいたほうがよいかもしれません。
今年のワクチンは10月頃でないと出来てきませんが、
昨年の国産ワクチンは使用可能です。

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