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心に残る出会い145 ピンピンコロリを実現できたYさん

2021年12月26日  

昨日は、昼も風が強かったのですが、夕方からぐっと寒くなりました。
天気予報どおりですね。
今日も寒い予報です、気をつけましょう。

 

さて、毎月 最終日曜日は 心に残る出会いです。

Yさんは92歳。
認知症となり、自宅生活が出来なくなったため、有料老人ホームに入居されておりました。
これまで担当していたクリニックが 在宅診療から撤退することになり、そのあとの担当医を当院に依頼があり、ホームで私たちのはじめての出会いです。

Yさんは、認知症の治療がはじまって6年が経過しており、もの忘れは非常に激しくなっておりました。
デイサービスから帰った直後でも、「どこにも外出なんか してませんよ」。
それで困ることはなく、おだやかな方で つねにニコニコされておりました。
壁には イケメンの若い歌手グループの写真が貼ってあり、イケメン大好き。
子供の頃から日本舞踊を習い、女学校ではコーラスをやっていた、ということで歌や踊りが大好き。
公民館のコーラスグループの活動を楽しみにしておりましたし、ホームで踊りを披露されたこともあったそうです。
部屋の中には 大きなトトロのぬいぐるみ。
お孫さんからプレゼントされたものらしかったです。
言われてみると体型がトトロそっくり?!

困ったこととしては、収集癖がみられたこと、です。
トイレでトイレットペーパーを使用したあと、 毎回 使っていないペーパーをぐるぐる巻いて 部屋に持ち帰り、部屋のあちこちにため込んでおられました。
このほかにも、お茶を飲んだ後の空きボトルを 部屋に置くところがないほど ため込んでおられました。
その後 数年たち、認知症がさらに一段と進行するにつれ、収集癖はみられなくなりました。

Yさんは、安定した状態が続いておりました。
服用している薬は、血圧、頻尿、認知症の薬と、湿疹の外用薬のみ。
血圧のコントロールも良好でした。
ある日の訪問診療では、
「何か食べたい物がありますか?」
「明太子。長崎出身だから」
「いいですよ、面会も再開になったし、御家族に差し入れに持ってきてもらっていいですよ。
どこか行ってみたい所、ありますか?」
「東京。むかし高円寺に住んでいたから」
「なるほど。今はコロナ落ち着いて来ているので、東京に行くのも大丈夫ですよ。
今度、子供さんに相談してみては。」
そういう会話をおこなったのでした。

その2日後。
倒れているところをホームの職員に発見され、ただちに救急車で病院に運ばれましたが
大動脈瘤の破裂で 1時間後に 亡くなられたのでした。
まさにピンピンコロリ、でした。

Yさん、コロナが下火になってきたので、明太子も東京旅行も、実現できそうだったのに 残念でしたね。
コロナで中止になっていたコーラス活動が もうちょっと早く再開されればよかったですね。

 

【解説】
ピンピンコロリと逝きたい、という方は多いです。
でも、医療は進歩していますので、簡単には ポックリ逝けないことが多いのです。
命は助かったが障害は残り、障害とともに何年も生きることのほうが 今は普通です。
Yさんのような状況が 幸せかどうかは別として、本当に珍しいケースです。
たしかに、ある意味で うらやましい状況かもしれませんね。

ピンピンコロリが理想なの、と言われる方が多いですので、
本年の最後は、ピンピンコロリのケースを御紹介しました。

 

当院ブログの読者のなかで、
「心に残る出会い」が一番いいね、と言われる方も多いです。
それしか読まれない方もおられるようです。
そういう方にとっては、今日が本年最後です。今年も1年、ありがとうございました。
来年は 新しい楽しみが見つけられる年になりますように。
(コロナの影響で、もう 「元通り」になることはない、と思っています。
ですから、「早く元に戻ればいいですね」とは 言えませんし、言いません。
新しい社会を いっしょに作っていきましょう!)

 

今週の花

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広島ブログ

さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん [2022年版]コロナで注目!在宅医療ガイド
朝日新聞ムック 2021/10/14
在宅看取り実績のある診療所 全国リスト1518
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=23195
当院は広島県3位の在宅看取り実績です。

 

【業務連絡】医師募集。 内科・外科・総合診療科・緩和ケア科に限りません。
新型コロナ対応をきっかけに
「医療の在り方」、「医療の目指すべきもの」について
考えを深めた方・考えを改めた方も多いと思います。
もし
「今は東京や大阪(等)で働いているが、地元広島に帰って働きたい」
とか
「病院勤務医よりも もっと患者に寄り添いたい」
「今の病院の勤務形態では 体を壊してしまうのではないか」
「これだけ命を張って働いているのに、むくわれないというのは、病院というのはおかしいのではないか」
など考えはじめた医師の方は どうぞ当院に御連絡ください。
ただし若い医師を優先させていただきます、30歳代・40歳代の人がありがたいです。
「給料よりも 生きがい・働きがい」を求めている方、よろしくお願いいたします。
(「給料優先」という方は、イナカの病院なら「過疎地手当」が上乗せされますし、
医師求人サイトで探されると「高級優遇」のところは見つかると思います。
ただし、高級優遇で求人するということは、やりがいはない職場だ(やり手がいない)ということです。)
広島はコンパクトな街で、衣食住、そして働くにも子育てにも いい所だと太鼓判押せますよ。
当ブログを御覧になり、院長の理念に賛同された方、どうぞ御連絡よろしくお願い申し上げます。

在宅診療は楽しいですし、やりがいありますよ!

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