有効だった症例を積み重ねてもダメ
昨日は、この夏でただ1日だけ、息子とそのいとこたちが全員広島にいる日で
食事会をおこないました。
本日からまた各地に散っていきます。
私は学生時代から法医学教室でネズミの実験や飼育などしていましたので
盆や正月はとんぼ帰りでした。
ネズミに日本酒を飲ませる実験などをさせてもらっていたのです。
盆に帰省しない年もありました。
生き物の世話をしていると連続した休みは取れません。
それが当たり前、だと思ってきました。
今思うと、それは親不孝だったのかな・・・。
子供達、いとこ達の活躍話を聞くのは、とってもうれしく楽しいものです。
「ホメオパシー」トラブルも 日本助産師会が実態調査
朝日新聞がホメオパシー問題を続けて取り上げています。
asahi.com 2010年8月5日4時34分
http://www.asahi.com/health/news/TKY201008040482.html
今回は社会部の記事だそうです。
問題があるぞ、ということに記者さんたちが気づいてきたようで
今後 ニセ医学問題に進展があることを期待しています。
助産師側がどのような弁論をするのか注目していますが、
第一回公判は助産師側は全員欠席したそうです。
代替医療やニセ医学の問題に取り組んでいると、
「私は効いた」
とか
「効いた人を知っている」
とか
「効いたという人の体験談が載っている」
と反論してくる人があります。
でも、これではダメなんですよ。
個人の体験談をいくら集めてもダメなんです。
効いた体験談、というのは、専属ライターによるでっちあげ記事のことが多い、
というのはNHK番組でも紹介されていました。
単行本一冊が全部ウソ記事、ということもありえるのです。
私は効いた、という例を出すことについては
私は看護学校や専門学校で、以下のような問題を出すことがあります。
例題:Aさんはインフルエンザに感染したが、
とくに薬を飲まずに5日間で治ってしまった。
薬は飲んでいないが、米や水は食べたり飲んだりしている。
では、広島の米がインフルエンザに効く、
広島の水がインフルエンザに効く、
と言ってよいか?
(状況に応じ、米や水ではなく、針灸治療だったり、ビタミンだったり
問題の中に出てくる「物」を替えて出題しています)
カゼやインフルエンザは、放っておいても治癒するものなのです。
(一部に重症となり入院を要する状況になる人もありますが)。
治っていく時期に、「たまたま」食べたり飲んだりしたものがあれば
「それで治った」、と言い張ることは可能です。
広島市民100万人がそれぞれ
私は広島の米を食べてインフルエンザが治った、
私は薬を飲まず広島の水を飲んでインフルエンザが治った、
と主張することは可能なのです。
でも、
東京や大阪の人たちもインフルエンザは治っています。
東京や大阪の人が広島の米や水を買い求めて治ったわけではありません。
広島の米や水で治った、という人よりも
広島の米や水を使わずに治った、という人のほうがはるかに多いことは明らかです。
以上のように、
「私は××で○○を治した」、
という体験談が仮に100万人分あったとしても
それだけでは全く意味のない情報なのです。
科学的に、統計学的に検討された結果でなければ
効くと言うことはできないのです。
効くという証明にはならないのです。
体験談には、くれぐれも御用心ください。
こういうのは
「体験談商法」 に分類されるインチキ商法の手口です。
交通科学館の特別展 開催中、9月5日まで
クワハラ BMX
映画「ET」(1982)
ETを前かごに乗せて・・・。
★新型インフルエンザ情報
医師限定のインフルエンザ関連MLに参加しています。
毎週、全国のインフルエンザ発生情報がはいってきます。
昨年の本日、当院ではじめて新型インフルエンザ(2009A/H1N1)を報告しています。
こんな暑いさなかだったのですね。
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