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東北に医学部新設

2013年11月30日  

寒いですね。
今日は朝から自宅での看取りがありまして。
その道中、太陽が当たっていれば暖かい。
太陽のありがたさをあらためて実感した朝でした。

さて、
復興支援として医学部新設、というニュース。
即効性はなく、永続性も疑問で
失政に終わるとみています。

東北に医学部、15年春にも=復興支援で1校限定―文科省
時事通信 11月29日(金)10時10分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131129-00000030-jij-soci

医師不足、ということが言われていて
ならば医師を養成・増員すればいいじゃないか、
ということになるのですが、
それだけでは解決しません。

どういうことか、というと
「地元に残る医師」を養成しなければいけないのです。
卒業すれば、全国どこの病院で研修を受けることも出来ますし、
研修のあとは全国どこの病院等に勤務することも出来ます。
東北に新設された医学部の卒業生が
東北でそのまま働き続けるとは限らないのです。
奨学金制度があって
地域で既定の年数 医師として働けば
返済を免除する、などという制度は今も出来ています。
広島大学にもあります。
「地域枠」と呼ばれるものですが、
卒業と同時に奨学金を一括返済すれば自由の身になれますので
実効性がどれほどあるか、は今後の実績次第というところです。

東北のために医師養成、という目的であれば、
「地域限定の医師免許」という新しい制度を作れば解決します。
教員など、自治体採用の制度になっている例がありますので
けっして不可能なことではないと思います。

それと
医師が東北で
(あるいは全国の「医師不足地域」で、と読み替えてもいいですが)
働きやすい環境を整備する、
ということも重要なことです。
過酷な労働現場からは逃げ出してしまい、
それを無理やり止めることは出来ません。
たとえば
妊娠出産を契機に現場から退く医師もいますが
産休育休制度の充実、
院内保育所など子連れでも働ける環境を用意すれば
医師として働き続けることが出来るようになります。
60歳定年、65歳定年という一律の制度をやめて
70歳とか75歳でも働き続けることが出来るようにすれば
高齢医師の活用ができます。
もちろん
高齢医師に過酷な当直勤務は無理。
当直というのは、本来 睡眠をとれるくらい「ゆるやかな」拘束勤務で
あるべきなのです。
地域全体で
夜間休日のコンビニ受診はしない、
軽症であれば翌日朝まで待って受診する、
在宅や施設での看取りを増やし、看取り往診は翌朝まで待つ、
などといった「地域医療を守る受診」を
地域全体で考え、徹底していくことが医療崩壊を防ぎます。

ほかにもありますね、
医師がイナカを離れ都会へ移るのは
「子供の教育」を考えると・・・、
というのも大きな理由の一つです。
イナカにいても都会に負けない教育環境である、
この地からでも東大や医学部にいける学力が身に着く、
という環境を用意すれば医師は定着するでしょう。

医学部を新設し、病院を作れば
東北の医療環境は改善され復興に役立つ、
というのは幻想です。

まだまだ言い足りません。
医学部新設ではなく、現存する医学部の地域枠を拡大すれば
問題解決はかなり容易なはずなのです。
医学部新設して、養成した医師が前線で働けるようになるころには
東北では人口そのものが減少してきて
医師を必要とする状況になっていない可能性も高い。
そういう時系列での見地からの話など。
医学部を新設しよう! というのは
景気のいい「土建屋政治」としか見えません。
が、長くなるので
今日はこれくらいで。

今週の花
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★インフルエンザ情報
全国で流行がはじまっています。
インフル患者急増、各地で学級閉鎖相次ぐ-東京の一部や北海道で「流行入り」
医療介護CBニュース 11月29日(金)18時35分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131129-00000002-cbn-soci

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