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心に残る出会い119 家族はいない、と言っていたSさん

2019年10月27日  

野村投手、カープ残留、よかったですね。
来年は10勝、安仁屋算なら15勝を期待したいですね、応援しましょう!

 

さて、毎月 最終日曜日は心に残る出会いです。

Sさんは75歳。
一人暮らしでした。
急にフラツキと認知症症状が出現し、病院に入院となりました。
精密検査の結果、肺癌の脳転移と判明したのでした。
肺癌専門医のいる病院に転院し、治療開始です。
まず脳転移に対しては放射線治療をおこない、
つぎに抗癌剤(分子標的薬)の点滴治療、胸痛にはオピオイド(医療用麻薬)です。
ところが、食欲もなくなり、動きが次第に不自由になってきました。

いかにも悪いタイミングだったのですが、
丁度この頃 生活保護費の見直しがおこなわれ住居費が減額となり
これまで住んでいたアパートには住めなくなり転居せざるをえなくなりました。
新しいアパートの部屋は エレベータのない2階だったのです。
体力が低下していたSさんは、一人で階段昇降は出来ません。
通院が出来なくなったので、ケアマネージャ・訪問看護を通じての依頼にて
当院の訪問診療が開始となったのでした。
御自宅のベッドで 私たちのはじめての出会いです。

 

治療の効果があり、癌による痛みも軽減していくだろう、と予測し、
オピオイドは早期に中止の判断をおこないました。
すると次第に食欲は回復し、栄養補助缶併用にて
何とか自宅生活の継続が出来ました。

分子標的薬の効果そのものはあり、癌も、転移も小さくなりました。
最近の分子標的薬はすばらしいですね、しばらく安定した状態が続きます。
が、これは長くは続きません。
元の病変だけではなく、皮膚にも多数の転移が出現してきました。
抗癌剤が変更され、Sさんは 再度 食欲が全くなくなってしまいました。
入院で加療が継続されたのですが、高度の白血球減少など副作用もひどく、抗癌剤の効果もないことが判明したため 抗癌剤治療は終了となったのでした。

 

季節は冬。もう少しで年末年始のお休みになる、という時期です。
在宅患者さんにとっては、この時期が一番 問題になります。
デイサービスを利用することで食事と入浴をしていたり、
ヘルパーさんがはいることで食事の準備ができて
それでようやく在宅生活を維持できている人、というのも多いのですが
年末年始に デイサービスが休みになったり、ヘルパー派遣が出来ない状況になってしまう事業所もあるのです。
でも、こうしたサービスが利用できなくては、在宅で生きていくことは出来ません。
家族がいれば、食事など何とかお願いできる場合もあるのですが、御家族のいないSさんにとって それは出来ない話でした。
そこで年末年始のサービスを どう組み立てていくか、生活を維持していくか、が ケアマネージャさんの腕の見せ所です。
Sさんの場合は進行肺癌の状態で食欲のない時期が続き、体力を消耗しています。
通常の介護施設ではなく、病院に入院しておいたほうが安心かもしれません。
そこで
Sさんは 某病院の地域包括ケア病床に リハビリを兼ねて年末年始に入院する算段がとられていました。
しかしSさんの病状は予想よりかなり急激に悪化していきます。
年末年始の入院予約よりも ずいぶん前に入院することとなりました。
そのままSさんは 正月を迎えることなく、お亡くなりになりました。

Sさん、年末年始でなければ そのまま最期まで家で、というのも 可能だったかもしれないのですが、そこは残念だったですね。

 

【解説】
生活保護費が変更(減額)になって、これまでの住所に住み続けることが出来なくなり
転居を余儀なくされる方もおられました。
エレベーターのないアパートの上層階に引っ越すしかなかった方もおられます。
エレベーターさえあれば 近所に買い物に外出したり、場合によっては近所の医院に通院も出来るかもしれないのに、エレベータがないばかりに 部屋から出ることが出来ない生活となってしまうのです。
自立を支援する、という観点からは もうちょっとどうにかならんものかなあ・・・、と思うことも けっこうあるのです。

また、年末年始の介護サービスをどうするのか、も問題です。
デイサービス事業所だって、ヘルパーさんだって、正月くらいは休みたいですよね。
それはわかります。
でも、サービスが途切れれば生きていけない人もいるのです。
どうすればいいでしょうか・・・?
一つのモデルとして、の 案ですけども、
たとえば年末年始の医療は 広島市立舟入病院が一手に担います。
医師でいうならば 開業医や勤務医が 舟入病院に臨時に勤務をおこなうことで運用しています。
同じようなセンターを 介護分野でも出来ないものでしょうか。
市立のデイサービスセンターを臨時開設したり、ヘルパーステーションを臨時開設し、
そこに 「働きたい人」を集めて運用する。
もちろん、どこかに委託するのでもかまいません。
さまざまな理由で 「高給をくれるなら年末年始でも働きたい、働いてもいいよ」という介護職員も
たくさんおられるのではないか、と思うのです。
年末年始でも安心して家で暮らせる仕組み、これは絶対に必要だと思っております。
サービスが途切れる期間があっては 生きていけないんです。
この提案を 市あるいは県で どなたか検討してみてくれませんかねー。

 

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