レセプト(診療報酬)オンライン請求義務化で医療崩壊加速
みなさんは診療所や病院を受診すれば、
支払いについては窓口で支払って終わりですね。
でも、各医療機関は、それでは終わりません。
みなさんが支払うのは、医療費の1~3割の自己負担分です。
医療機関は、残りの7~9割の費用について、
健康保険組合などへ、費用の請求をする必要があるのです。
これをレセプト請求と呼びます。
翌月の月初めに、1ヶ月分まとめて計算し請求しないといけません。
ですから以前は、月初めには医療事務のパートさんを何人も雇用し
徹夜状態で請求書を作成していたものでした。
レセプトコンピュータが導入されて徹夜状態からは解放されましたが、
それでも数日かかって処理し膨大な枚数の紙を打ち出す必要がありました。
もともとコンピュータで処理しているわけですから、
この機械をインターネットなどの回線に接続してオンライン請求にすれば
紙で打ち出すムダな手間暇はなくなる、というのは
自然な発想だと思います。
当院はオンライン請求そのものには賛成です。
昨日は研修会に出席しており時間がありませんでしたので
本日夜にオンライン請求おこなう予定です。(毎月5~10日が受け付け期間です)
しかし、「オンライン請求の義務化」 となると話は別。
国の方針で、診療所(レセプトコンピュータ有)では、
平成22年4月からオンライン請求への移行が義務づけられているのです。
現在、レセコン(レセプトコンピュータ)を導入していない
医療機関も、まだ1割程度ある、とされています。
オンライン請求をおこなうシステム構築については、
レセコン会社の言い値では100~200万円程度の費用が必要です。
(すでにレセコンがある場合の費用。無からの導入では300~500万円)
この費用は、国が負担してくれるわけではありません。
医療機関の自己負担です。
医師が皆パソコンを上手に使いこなせるわけではありません。
高齢者にとっては、困難なことだと思われます。
このため、過疎地で細々と地域を支えてきた高齢の開業医などは
オンライン請求義務化をきっかけに廃業する、とアンケートに答えています。
無理もありません。パソコンに、さわったこともないのですから。
およそ8%程度の開業医、とくに過疎地の開業医が廃業する意向のようです。
それでなくても過疎地の医療は崩壊寸前(場所によってはすでに崩壊)です。
ここで地域の医師が廃業すれば、あとに残されるのは荒涼とした医療砂漠。
負担を強いられるのは、住民なのです。
何もこの時期に「オンライン請求義務化」する必要はありません!!