緩和ケア医 本日のお勉強 ヒッププロテクター
特集:転倒・転落をめぐって
ヒッププロテクターの骨折予防効果
日本医師会雑誌 2009年2月
国立長寿医療センター 原田敦先生
要点
ヒッププロテクターの骨折予防の有効性は、
当初考えられていたものより限定的であることがわかってきた。
介護施設生活者には効果が期待できるが、
在宅者には無効である。
高齢者が転倒し骨折することは珍しくありません。
全身状態が悪ければ手術もできず寝たきりとなり、
寝たきりとなれば 認知症が進行したり、いずれ肺炎で命をおとすことになるので骨折予防は非常に重要です。
とくに病院や施設に入院・入所してからの数日以内での転倒が
多く、この時期には充分な注意が必要です。
とはいえ、どんなに注意していても生活環境が変われば
高齢者・認知症の方は転倒骨折の危険は避けられません。
そこでヒッププロテクターが脚光を浴びたわけですが、
ヒッププロテクターの役割は、この時期だけのものにすぎない、
ということですね。
在宅では役に立たない。
私どもは、病院でできる治療は全部在宅で可能である、と
思っています。
生活環境をできるだけ変えない、ということが
本人にとって幸せなことが多く、
高齢者医療には在宅医療が非常に大切だと考えます。
生活環境が変わらないのであれば、そもそもヒッププロテクターの
出番はないのだ、とも言えそうです。