昨日も 夜空は晴れませんでしたね。
金星がぼやけて短時間見えただけで、他の星は見えませんでした。
さて、
毎月 最終日曜日は 心にのこる出会いです。
Sさんは70歳。
一人暮らしで、御家族は離れた場所に住んでいます。
慢性胃炎などで 市中心部の病院に通っていたのですが、
時間もかかるし、ということで 当院に紹介となり、
当院の外来に通院がはじまりました。
おしゃれで、お化粧も欠かさない人でした。
しかし、転倒し、上腕骨骨折をおこし入院。
以後は 別な医院に通院されていたようで、 当院への通院は長く途絶えておりました。
ある冬の日、 ケアマネージャさんからSOSです。
90歳になったSさん、デイサービスでも自宅でも 食べなくなってきている。
もう部屋から出ることが出来ないので訪問診療でみてほしい、と。
今かかっている医師は 高齢で体調もすぐれず、
往診・訪問診療に対応してもらえない。
もうそろそろ訪問診療医に切り替えましょう、と言っていたところだった、とのこと。
御自宅に往診してみると。
南向きの日当たり良好な部屋で、おまけに西向きでもあり、西日もずっと当たります。
暖房を入れなくても 昼は暖かい よい部屋です。
Sさんは ベッドで寝るか、こたつにすわるか、どちらかでの生活でした。
あとは 壁伝いにトイレに行くだけ。
認知症がかなり高度になっており、ひとりで食事をして 水分を飲む、ということが出来ません。
食事は見守り、うながしが必要でしたが、これには時間がかかります。
介護ヘルパーも 長い時間 家にとどまることは出来ません。
食事とお茶をセットして家を離れるしかない状態で、
水分がじゅうぶんに摂れないSさんは脱水気味となっていました。
当面の脱水には 訪問看護さんの連日の点滴で 状態がおちついて。
さて、今後はどうしましょう。
ヘルパーさんが1日3回はいって介護できればいいのだけれど、点数が足りない。
御家族も含めて相談です。
デイサービスを週3回利用し、その他の日は訪問介護が1日2回。
ベッドサイドに 簡単に手で食べられるものと飲み物を用意
調子良ければ自分で食べる
食べられなくても仕方ない
食事介助しても食べられなければ仕方ない。
割り切っていくことになりました。
しばらくは、おちついた日々がつづきました。
が、5月も下旬になるにつれ 「部屋の暑さ」が問題になってきました。
エアコンはあるが、リモコンが見つからない。
ケアマネージャさんに家捜ししてもらい、リモコンは見つかりました。
7月にはいり、猛暑が続きます。
南西向きの部屋は 「暑くてやりきれない」状況となります。
あるとき、エアコンの切れた部屋で ぐったりしているSさんが発見されました。
またまた連日の点滴が開始です。
エアコンのスイッチを切ったのは、どうやら御家族のようでした。
夜に様子を見に来て、エアコンのスイッチを 夜にタイマーで切れる設定にして帰ったそうでした。
でも Sさんは 自分でエアコンのスイッチを入れることは できません。
もうエアコンのスイッチを切らないよう 御家族にお願いをしたのでした。
その数日後。
またエアコンのスイッチが切れていて。
嘔吐もしており、今度は入院が必要なレベルの熱中症です。
救急で入院をしていただきました。
Sさんは その後 食事を摂れるようには 回復しませんでした。
退院はかなわず、 病院でお亡くなりになったのでした。
Sさん、南向きの日当たり良好な部屋というのが こんな結果になるとはねえ・・・。
【解説】
熱中症は 命にかかわります。
屋外で仕事や運動をしている人ばかりが熱中症になるのではありません。
高齢者は 屋内で 熱中症になるのです。
昔は いまほどの猛暑日というのは少なく、
また昔の日本家屋は 風が通る建物だったので
「夏でもエアコンは使ったことがない」という高齢者が たくさんいます。
でも、今と昔では 気温も違うし、
建物も 気密、断熱。
風がとおらず、 エアコンがないと 非常に高温になる場合があるのです。
本人がエアコンのリモコンを切ってしまう場合には
ケアマネージャさんに依頼して リモコンを隠してしまうケースもあります。
そうでないと 命にかかわるのです。
電気代が心配だ、お金がない、
そのため夜にはエアコンを切ってしまう、というのは
私たちには どうすることも 出来ません。
せめて扇風機は回しておいてね、と お願いするくらいです。
「南向き、日当たり良好」というのが いいとは限らない・・・です。
昨日は 竹原市 第20回 憧憬の道 に行ってきました。
https://nwtakehara.com/shoukei/img/map2024.pdf
普明閣ももねこ様ライトアップ
立派なカメラを抱えた若い男性が おおぜい来ておりました。
竹灯りが 幻想的で きれいです。
ただ、人が多くて 撮影はなかなか難しい・・・。
垰下牛など 食べ物のブースもいくつも出ています。
お好み焼き ゆきちゃん提供 の 垰下牛焼肉と タコ飯。
フィナーレには花火も上がるそうですよ。
よろしければクリックお願いします。はげみになります。
1月17日、私どもの本が出ました。
紀伊国屋WEB
在宅緩和ケア医が出会った「最期は自宅で」30の逝き方 – 光文社新書
髙橋浩一
価格 ¥924(本体¥840)
光文社(2024/01/17発売) 電子書籍もあります
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784334101992
公民館、集会所などでの講演など、お引き受けいたします。
日程次第です、御相談ください。
【業務連絡】医師募集。内科・外科・総合診療科・緩和ケア科に限りません。
新型コロナ対応をきっかけに
「医療の在り方」、「医療の目指すべきもの」について
考えを深めた方・考えを改めた方も多いと思います。
もし
「今は東京や大阪(等)で働いているが、地元広島に帰って働きたい」
とか
「病院勤務医よりも もっと患者に寄り添いたい」
「今の病院の勤務形態では 体を壊してしまうのではないか」
「これだけがんばって働いているのに、むくわれないというのは、病院というのはおかしいのではないか」
など考えはじめた医師の方は どうぞ当院に御連絡ください。
「給料よりも 生きがい・働きがい」を求めている方、よろしくお願いいたします。
(「給料優先」という方は、イナカの病院なら「過疎地手当」が上乗せされますし、
医師求人サイトで探されると「高給優遇」のところは見つかると思います。
ただし、高給優遇で求人するということは、キツい職場、あるいは やりがいは少ない職場だ(やり手がいない)という覚悟は必要です。)
広島はコンパクトな街で、衣食住、そして働くにも子育てにも いい所だと太鼓判押せますよ。
当ブログを御覧になり、院長の理念に賛同された方、どうぞ御連絡よろしくお願い申し上げます。
在宅診療は楽しいですし、在宅緩和ケアは やりがいありますよ!
【おまけ】
当院には釣り部も出来ました。
カープ、サンフレファンの医師のかた、
および 釣り好きな医師の方、
当院に就職すれば いいことありますよ。