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糖尿病の新しい薬

2011年03月23日

震災では、いろいろな工場も被災しています。
まだ報道されていませんが
がん領域、緩和ケア領域で大切な薬も欠品になる可能性があるようです。

みんなが少しずつの処方にすれば、4月末と予想される在庫切れまでには
再出荷が何とか間に合う可能性があるそうです。
ですから、当院では当分の間 長期処方はおこなわないこととしますので
御協力をよろしくお願い申し上げます。

RCCラジオ 番組おすすめ全国グルメフェスティバル
風来坊の手羽先唐揚
今回は終わりましたが、被災地が復興していくのを助けるためには
現地の産品をみんなで購入してあげる、ということも大切なことになります。
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★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

3月9日(水)は、広島市中区医師会 学術講演会に出席しました。
講演:糖尿病治療におけるDPP-4阻害薬の位置づけ
講師:東京医科大学 内科学第3講座 小田原雅人 教授
要点
低血糖は生じにくいが、生じやすいのは65歳以上の高齢者。
他の血糖降下剤を使用している場合には、減量してから併用開始。
とくに薬の意義が高いと思われるのは
発症して間もない軽症の段階。
単独使用にて糖尿病が治ってしまう可能性も期待できる。
また、1日1回のインスリン注射との相性も非常に良い。

糖尿病については
「病気をコントロールする」
という表現になります。
薬や注射で血糖が正常になったからといって
「病気がなおった」 とは言えないのです。
(=止めれば元通りになってしまう)

ですから、
良好なコントロールが期待できる
というのと
治ることが期待できる
というのは 意味が違います。

治ることが期待できる、というのは、すごいことです。
でも、食事療法・運動療法をしないでよい、というわけではありませんよ。

食品の放射能汚染、東電の賠償は

2011年03月22日

本日は長文です、ごめんなさい。
正しい知識を身につけましょう。
知識のワクチン=正しい知識が自分や社会を守ります。

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くくる の たこ焼き。
本日までのようです。
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★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

福島原発事故で、風向きによって放射能物質が各地で観測されています。
福島では牛乳(原乳)が
茨城・群馬・福島・栃木県ではほうれん草などが、
千葉県旭市では 春菊が
基準値を超えており出荷停止となっています。
(その後 春菊は解除になっているようです、未確認)。

放射線量については、瞬間の値も問題ではありますが、
トータルで浴びた総量が問題になります。
この目的のためには たとえば医療関係者はガイガーカウンターを使うのではなく
フィルムバッジというもので個人個人の線量を管理しています。

今回は 内部被ばく が問題となっている話です。
Wikipediaなどもよくまとまっているそうです。
ほかにも各種の解説が出ています。
放射線による内部被ばくについて 岡山大学津田敏秀教授
http://smc-japan.sakura.ne.jp/?p=1310

現在の報告どおりであれば、
よく洗って、煮てアク抜きし湯を捨てれば、少量・短期の摂取なら安心です、
と言ってもよいくらいだと思いますが、
基準値が決められており 出荷停止で対応するしかないでしょう。
asahi.com 【Q&A】農作物から放射能、食べても平気?
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103200071.html

これとは別に、水道水から放射線物質が検出されたというニュース。
これは 非常に困ります。
でも、簡易水道のようですから、上から降ってくれば仕方ない。
この水は妊婦・小児の飲用・食用には使わない方がよさそうです。

原発に近いエリアについては、
妊娠可能女性、妊婦、こどもはできるだけ早く遠方に疎開してもらう、
ということを考えても、けして大げさではないかもしれません。

原発の立地が、
日本海や太平洋に面していれば
風向きによっては陸地に全く影響がないこともありえます。
排出物が全部 海の方向に行けば 当面の問題はないのです。

でも上関原発は、太平洋や日本海に面しているわけではありません。
どの方向の風であっても、必ず陸地があり人が住んでいるのです。
瀬戸内海に原発を作るなんていうバカなことはやってはいけない
ということが福島原発事故の教訓のひとつです。

かりに、測定されているのは人体にほぼ影響のない放射線量だ、
という情報を伝えたところで 不安は解消されず、風評被害はおこります。
この作物に限らず、県内産の他の産品も軒並み売れなくなってしまうのです。
地域から脱出する人が増え、脱出先では放射線量を測定されます。
震災の救援隊や救援物資も来なくなっています。
復興後も観光客は相当長期間にわたって激減するでしょう。

風評被害が出ないようにするのが一番ですが、でもこれが現実です。
農家のみなさん、消費者のみなさん、
近隣に原発が出来る、ということは
そういう覚悟をしなさい、ということなのです。
上関原発は、けして漁業者だけの問題ではないのです。
それよりも、節電したり地熱利用したり太陽光発電を普及させたりして
原発なんかなくても大丈夫、という社会にしませんか?

JAが補償要請、という記事。
重要と思いましたので全文引用します。
***
福島第一原発事故の影響で牛乳やホウレンソウから放射性物質が見つかった問題で、JAグループは20日、厚生労働省、農林水産省などの関係省庁と民主党、自民党に対して、出荷停止などの措置がとられた場合、国や東京電力が農家に万全の補償をするよう要請した。
要請文では、「生産現場から強い怒りと今後の生産・販売に対する懸念の声が上がっている」と指摘。風評被害で価格が下落した場合の補償も求めている。また、基準値を超える農畜産物が検出された場合、出荷を停止する地域や品目を限定して早急に周知すること、消費者への正確な情報提供、被災地の土壌の安全確保なども求めた。
東電は19日の会見で「損害賠償の申し出があれば、国と相談しながら準備したい」との考えを示している。
asahi.com  2011年3月20日18時54分
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103200165.html
***

ここで問題になるのは最後の一文。
損害補償は国と相談して、という部分です。
他の記事で紹介された話をまとめると、
東京電力は今回の損害賠償を支払うことはなく
全部国が(国民が)払うのだ、ということなのだそうです。

その内容を一部引用します。(注:法律の原文は私は確認していません)。
***
—-(原子力損害賠償補償契約に関する法律)—-
第三条(損害賠償)
政府が前条の契約(以下「補償契約」という。)により補償する損失は、次の各号に掲げる原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失(以下「補償損失」という。)とする。
一  地震又は噴火によって生じた原子力損害
(二項以下省略)
—————————————–
この原子力損害賠償補償契約での、政府が賠償負担する上限額は、一応1200億円と(原子力損害の賠償に関する法律、第7条1項)定められているそうです。

では、1200億円を超える損害が生じたときは、原子力事業者(東京電力)が負担するのかというと そうではない。
その場合は、国会の議決を経て、やはり政府が負担することになっています。
つまり税金を財源として賄うことであり、国民全員が等しく負担することとなります。
今回の福島原発の災害では十万人を超える住民の長期避難とか、事業経営や家計収入の中断などの莫大な損害をもたらしましたが、こうした被害者への損害補償は、全て国の税金で賄われることになります。
***

これが国策というものなのでしょう。
こんな大事故をおこしても電力会社はちっとも損害賠償する必要がない、というのです。

そんなことでは、経営陣は
安全管理をしよう、安全にお金をかけよう、という発想には
ならないのではないでしょうか。
こんな事故をおこせば会社はつぶれる、という状況でないと
電力会社は事故防止に真剣に取り組まないのではないでしょうか。

阪神大震災との違い

2011年03月21日

私は阪神淡路大震災のとき、医療支援チームとして現地に行っています。
その時と今回との大きな違いは
範囲が広いこと
津波で家屋が失われていること
だと思います。

神戸震災は直下型でした。
もちろん家屋が倒壊したり火災で焼失したものも多かったですが
でも無事だった家屋・ビルもたくさんありました。
私が派遣されたのは第三次医療支援チームで
被災から3週間目にはいったところでした。
その頃には、数駅ぶん歩けば電車は大阪に通じており、
大阪などは普段通りの日常生活でした。
毎朝、避難所から大阪に出勤している人もいました。
避難所には、電気水道さえ通じれば自宅に帰るという人もたくさんいました。
そうして、避難所の人数も減り始めていたのです。
地域の病院、診療所も機能を回復しはじめており
我々は避難所内の健康管理だけに専念することになりました。
もう3週目には支援体制の撤収を考える時期がきはじめていたのです。
同じ場所で、街の再建、生活の再建を考えることが可能な震災でした。

しかし、
今回は津波で街が破壊されました。
仮に電気が回復しても、帰る家がないのです。

万里の長城 と言われたくらいの防潮堤でもダメでした。
街を、どこに再建するのか、決めないといけません。
防潮堤を倍の高さにして、もとの場所に住むのか。
それとも
津波の届かなかった高台に住むのか。

昭和初期の津波被害のときに、
漁業者は、海に近い場所に住みたいといって
防潮堤を作ることになったのだそうです。
でも
今の産業構造として、漁業に明るい未来はあるのか。
漁船を失った漁業者たちは、借金をして漁船を新造し
また海に出たいと思っているのか、
漁業を息子に継がせたいと思っているのか。

非常に酷な表現ですが、大金をかけてその地区の漁業を復活させる意義はあるのか、
という状況なのだと思います。

漁業を復活させないのであれば
高台に新しく街をつくればよいし、
極端な話、どこか離れた他の地域に移住しても同じかもしれない。

いずれにしても時間がかかります。
避難所生活が終わるメドが立たないのです。
特に小さい子連れや、高齢者にとって 今の避難所生活はよくない。
ライフラインの整った地域にまず疎開して一息ついて
それから再建方法を考えていけばいいのだろうと思います。

阪神大震災と今回の震災はまったく別だ、ということを
昨夜のNHK特番を見て あらためてそう思いました。
そして
いつか来るであろう東海・東南海大地震は
今回のタイプの震災になるのであろう、その時には・・・う~ん・・・。
これまで私の頭の中にあった東海・東南海地震のシミュレーションとは
まったく違う光景が頭に描きだされました・・・。

とりあえず広島地区も疎開を早急に引き受けてあげなければいけない
支援物資をちまちま送っている場合ではない、と思いました。

RCCラジオ 番組おすすめ全国グルメフェスティバル
本名さんおすすめの
東京「800や」 無添加・無着色の和菓子。
福屋 広島駅前店で開催中。
山形県からの出展予定者は震災のため来られなかったそうです。
http://www.fukuya-dept.co.jp/etc/eki_rccgourmet7kai.html
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★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

ピアノリサイタル

2011年03月20日

萩原麻未さんも出演されたリサイタル、行ってきました。
7パパのブログも御覧下さい。
http://blog.goo.ne.jp/yuusakata

緩和ケア薬剤師はずっと音楽(合唱)をやってきたので
音楽やコンサートについては詳しいのですが、
私のほうは ピアノリサイタルは生まれてはじめて。
(行ったことがあるのは子どものピアノ発表会くらいのものです。)

ピアノって、
こんなに心をこめてひける、心を現せる楽器だということを
この年になってはじめて知りました。
音楽をされている方々にとっては
何をいまさら、というような感想で申し訳ありませんが。

本当に楽しい時間でした。
このような出会いをいただけたことに感謝しています。
また萩原麻未さんのリサイタルがあれば
ぜひ行きたいと思います。

災害派遣 広島チームの活動についての報道
毎日新聞 3月17日(木)16時8分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110317-00000303-mailo-l34
中国新聞 3/19
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201103190019.html
今回は津波の被害のほうがひどくて
生きているか死んでいるか、 そのどちらかが明白だったので
緊急医療チームの出番はなかったようです。
阪神大震災とは状況はちがっており、
緊急医療援助の点でも全く別な災害ととらえたほうがいいようです。

今日は今から出かける用事があり時間がないので
震災関係については明日また書きます。

ナマ@アクティブリング広島 からの花束。
リサイタル会場には、大きな大きな花束が飾られていました。
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★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

フィンランド大使館 広島に移転

2011年03月19日

昨夜は広島市医師会 夜間急病センターで勤務してきました。
どういうわけか患者数は非常に少なかったです。
前日は患者数も多く、インフルエンザも5名出ていましたが
昨日は1名だけでした。
広島では現在B型が流行していますが、
全国的にみるとA香港型が流行の中心となってきています。
もう少し流行が続きそうです。
まだまだ油断できません。

さて
東京の大使館を広島に移転というニュース
【ロンドン時事】ヘルシンキからの報道によると、フィンランド外務省は18日、東京にある大使館を広島に移すと発表した。福島第1原発事故の拡大を懸念した措置とみられる。
jiji.com(2011/03/18-20:12)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011031801081

福島原発事故、それに引き続く輪番停電、物資の買い占めや混乱
などを考えて安全な地域に移転ということなのでしょう。
一時的移転なのか永続的に移転するのか、わかりませんが。

理由はともあれ、
広島に大使館が来ることを、歓迎したいと思います。
大歓迎して、その歓迎ぶりをフィンランド大使が他国の大使にも口コミでひろげ
世界中の大使館が広島に来るといいですね。
デパートなどで緊急企画 フィンランドフェア なんて
いかがでしょうか?

今週の花 ボケ、ツバキ。
konsyu tubaki.jpg
★インフルエンザ情報
広島市では16日、17日ともに学級閉鎖が6校ずつ出ています。
広島県14保健所別にみると、
これまで5週間連続で 7保健所管内で警報レベルでしたが、
最新版では 8保健所管内が警報レベルとなり増加しています。
これを見ると、流行のおさまる気配はない、という状況です。
https://hasseidoko.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/2010_2011/2011_10/34_hiroshima.html

全国では、A香港型が多くなっています。
(広島では現在B型が8割となっていますが。)
今シーズンの最初はA香港型からはじまり、
A香港型 → 新型(2009A/H1) → B型、と移り変わってきています。
シーズン中盤もすぎて再度 同じ型の流行がぶりかえすとは。
流行を予測することは難しいです。

東京方面から広島に帰ってきた人の話によると
新幹線はぎっしり満員。咳をしている子どもも多かった、とのことです。
広島にも他地区からA香港型が持ち込まれるのは確実と思います。

A香港型は重症化することがあり、とくに高齢者は命取りになります。
体調の悪い人は病院や施設へお見舞いには行かないでください。
うがい手洗い咳エチケット、よろしくお願いいたします。

奇跡の海を守ろう

2011年03月18日

節電報道に関連して。
日本という小さい国なのに
東日本と西日本で50Hz、60Hzと周波数が異なっているのは
変だし、ムダだと思います。
早い段階でどちらかに統一すべきだったし、
今回をきっかけに今からでも統一すべきでしょう。
統一できていれば東日本に電力を送る問題も
もう少し簡単だったかもしれません。

どちらにしても復興には時間と多大なお金がかかります。
現在の機器は周波数を問わない物がほとんどです。
統一することにより電気製品の買い換えが必要になる人も出るでしょうが
国が補助するとしてもそんなに費用はかからないと思います。
発電施設の更新にかかる費用が主になると思いますが、
ここは一つインフラ整備ということで実施しておきたいものです。

さて、
地震の前から企画されていた国際シンポジウムです。
上関は、生物、とくに鳥類や海の生き物にとっては奇跡の海なのです。
中国電力は、上関近辺には保護すべき希少生物はいない、とウソを言っていますが
研究者は いる と言っています。
貴重な環境を守ろう、と言っています。

奇跡の海を守ろう
~カンムリウミスズメと上関の生物多様性 国際シンポジウム~
瀬戸内海で最後に残された生物多様性のホットスポット「上関」。
ここは国の天然記念物で国際的な保護鳥でもあるカンムリウミスズメが
世界で唯一、1年を通じて生息する「奇跡の海」です。
ところが、上関では原子力発電所計画が進行しています。
本シンポジウムではカンムリウミスズメと上関の生物多様性保護について
海外からのパネリストもお招きし、
国際的な視点から考えます。

4月10日(日)10-17時
広島市 国際会議場「ヒマワリ」
入場料 前売り1000円、当日1200円
大学生500円、高校生以下無料
後援:日本生態学会、日本鳥学会、日本自然保護協会、パタゴニアほか
ホームページ
https://sites.google.com/site/nagashimanoshizen/

今週の花 バラ、ストック
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★インフルエンザ情報
被災地でインフルエンザ患者が出始めています。
睡眠不足、ストレス、寒さ、食糧事情など、感染がひろがりやすい環境です。
水不足でうがい手洗いなんかも不可能でしょう。
タミフルなどの医薬品が十分にあればよいのですが・・・。
msn産経ニュース 2011.3.18 02:20
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110318/myg11031802210001-n1.htm

医薬品への影響

2011年03月17日

広島市中区、今朝も雪です、寒いです、

さて、
被災地以外でも医薬品への影響が出ます。
たとえば
アルツハイマー認知症に期待の新薬、発売日が延期となりました。
工場が被災したためだそうです。
アルツハイマー認知症に、これまでと違う作用機序の薬で
これまでの薬と併用も可能な薬でしたので
期待して待っておられた方も多いと思いますが、
仕方ありません。
発売日がいつになるか、わからないそうです。

あと、
高齢者に患者の多い内分泌疾患の治療薬、
これも欠品になるのが確実で、
代替品を緊急輸入する方向で動いているようです。
間に合えばいいのですが。

酸素療法のボンベが、現地で不足しています。
在宅酸素の患者で、「念のために」 予備のボンベを保管されていた方については
予備ボンベを回収させていただき現地に送る、
という方向で動くしかない状況だそうです。
御協力を御願いいたします。
在宅酸素会社の救援隊 第二陣が出発するそうです。

銀蔵さんがブログに書かれています。
東日本に電力を送るために西日本でも節電を、
というのはニセ情報、チェーンメールで腹が立つものでしたが
それでもやっぱり節約は大切だ、オレは節約をする、
という御意見。
まったく賛成です。
みんなで取り組めればいいな、と思います。
銀蔵さんのブログ ドアを開けろ
http://ginzo427.blog14.fc2.com/blog-entry-653.html

今週の花 カラー、スイセン
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★インフルエンザ情報
広島県内の患者数は増加しており、
2回目のピークをむかえようとしています。
こういうふうに大きな2つのピークのある流行は珍しいのですが。
警報レベルに近い流行状況です。
広島市西区、尾道市で幼稚園の休園が出ています。
8割がB型インフルエンザです。

気の重い支援

2011年03月16日

広島市中区は朝8時、雪です。
薄日がさしていますので、すぐやむと思いますが、非常に寒いです。

先週の土曜日、第2回ナナパパ勉強会に参加しました。
内容については、多くの方がブログにアップされていますので、そちらを御覧ください。
本当に知らないことがいっぱいです。

現場でがんばっている人が、支援してもらってありがたいものとしては やはり現金。
しかも使い道に制限がなく自由に使えるお金が、一番効果的な援助となります。

東北地震被災地へ何か支援したい、と思っておられる方は
ぜひ 「支援金」 でお願いします。
いろんな方面で募金がおこなわれていますが、我が家は日本赤十字にしています。
くれぐれも 「物」 の援助は考えないでください。

医療関係については、
緊急医療チームDMATのことは すでに御紹介しました。
DMATは任務を終えて次々と各病院に帰ってきています。
今回は、救命のためにあまり活躍できる状況になかったみたいです。
津波はおそろしい・・・。

で、
昨日、広島市医師会を通じて仙台市からの医師派遣要請がまわってきました。
「検視」をする医師派遣の要請です。
これは、死体検案をおこない死体検案書を書くという作業に
現地の医師だけでは足りない、ということです。
それだけ膨大な死亡者数だということなんですね。

私は2泊3日も広島を留守にできませんので手を挙げることはできませんが、
これは実に気の重い支援です・・・。

そごう本館の 波奈。金目鯛の煮付け
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★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

災害現場で重症者の治療はするな、の法則

今回の東北大震災で、宮城県からの発表だったと思いますが
酸素療法、透析治療の資材が不足している、
という報道がありました。
当院を担当している在宅酸素療法の担当者は
いそぎ被災地に派遣されていっています。

災害現場の病院(あるいはそれに近い病院)では透析はするな、
というのが鉄則です。
血液透析には、電気と水を大量に必要とするのです。
被災地、とくに地震の場合だと、水・電気などの供給が不安定なので
はやく被災地以外に移送すべきなのです。
さいわいなことに透析治療は毎日必要なわけではありませんので
移送する余裕があることが多いのです。

酸素療法でも同様のことが言えます。
酸素濃縮器は停電だと動きません。
停電が続き、予備の酸素ボンベがなくなれば終わり、という状況では
被災地から一刻も早く移送させたほうが安全なのです。
計画停電の地域についても
停電期間中だけでも一時的に入院するという選択肢、
(病院には酸素配管もあり自家発電装置もあります)、
あるいは停電のない安全な地域に一時避難するという選択肢もあります。
ずっと同じ場所(在宅)で治療しなければいけない、ということではないのです。

本日のお勉強は、在宅酸素療法に加湿器は不要、というお話。

そごう本館の 波奈。えびチリ
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★インフルエンザ情報
3月14日付け、広島市では15校で学級閉鎖が出ています。
数は減ってきませんね、まだまだ用心が必要です。

本日のお勉強
吸着式酸素濃縮器に組み込まれた加湿水が不要な加湿器の臨床的評価
日本呼吸器学会雑誌 2011年2月号
鳥取大学医学部 鰤岡 直人 先生ほか
要点
在宅酸素療法には吸着式酸素濃縮器が主に使用されている。
吸着式では水蒸気も除去するため酸素ガスは乾燥している。
近年、加湿水が不要な膜式加湿器が開発され、それを装着した酸素濃縮器も使用がはじまっている。
膜式加湿器では酸素2リットル/分の流量では室内気の85%に加湿が可能である。
壁配管の酸素を鼻カニュレで吸入していた17名中5名が慢性的な鼻腔乾燥感を訴えていた。
その5名に膜型加湿器を使用したところ3名で改善した。
加湿水の交換が不要で、在宅酸素療法に有用である。

乾燥ガスによる鼻腔など気道粘膜の障害を防ぐため、
酸素吸入の時には加湿が必要である、
と昔は何の疑問もなく実施されていました。
入院ベッドの壁際にある酸素配管から加湿瓶をとおして酸素がボコボコいっている
という場面を思い出される方も多いでしょう。

でも、最近では、例のボコボコを見かけない人もあると思います。
加湿瓶のセットを忘れているわけではないのです。

現在では、鼻カニュレでの吸入の場合、
日本呼吸器学会ガイドラインでは3リットル/分まで
米国呼吸療法協会ガイドラインでは4リットルまで、
米国胸部学会ガイドラインでは5リットルまで
あえて酸素を加湿しなくてもよい、とされています。
少量の酸素であれば、あえて加湿する必要はない、ということになっているのですね。

病院の酸素だけではなく
在宅酸素の場合でも加湿瓶は不要になってきています。
加湿水を清潔に取り扱うことが とくに在宅では難しいのですね。
高齢者だと、入れ替え作業が困難だったりします。
そういう点でも、メンテナンスのいらない方式は良いですね。

基幹病院への受診を控えてください

2011年03月14日

昨日の当地は良い天気で、東北地震の方々に申し訳ないほどでした。

昨夜は広島市医師会夜間急病センターで勤務してきました。
インフルエンザの流行は下火になっています。
まだ毎日ポツリポツリと陽性の方が出ますが、
昨夜も陽性は1名だけでした。

さて、
本日は、大病院への受診は当分のあいだ控えて下さい、
それが震災への助けになります、
というお話をします。

基幹病院には、大災害時に派遣される緊急医療チームがあります。
DMATと呼んでいます。
医師1名、看護師2名、事務(渉外担当)等による4-5名のチームです。
大きな病院では複数のチームが編成されています。
今回の東北地震でも、すでに派遣されて現地で活動しています。

全病院の全チームが同時に派遣されるわけではありません。
今の段階では広島県からの派遣は3-4チーム程度だと思います。
救命が期待できる段階の救命救急チームです。
さらに長期化した場合、
都道府県、政令市は、それぞれお互いに助け合う仕組みを持っています。
医療班の派遣先は都道府県としては福島県、宮城県、
政令市としては仙台市ということになるでしょうか。
1班あたり2チームで編成していきます。
つまり、
3カ所だとすると6チームが常時派遣されることになります。
(1週間程度で交代していきます。
交代期には12チームが現地にいることになります。)

その人材は、市内・県内の病院から出て行くのです。
当然その病院からは医師・看護師が減ります。
派遣される医師の外来診療は当然 臨時休止となりますし
入院患者の担当も他の医師に代わってもらわなければなりません。
当直や休日診療の当番などもふくめ、
医師や看護師の勤務シフトが非常にきびしくなるのです。
通常の状態でも過酷な勤務状態ですのに、
非常事態だから、短期間だから、
ということで病院に残って働く職員は負担増を受け入れてくれるのです。

また、被災地の重症患者は
被災していない地域の基幹病院に移送して
そこで治療をおこなう、という段階にはいります。
とくに広島では 原発事故の被ばく者治療を受け入れる発表もしています。

みなさんにお願いします。
今から当分の間、おそらく1ヶ月程度の間、
基幹病院は非常に厳しい勤務状況が続きます。
軽い症状で基幹病院を受診するのはやめてください。
近所のかかりつけ医を受診するようにしてください。

これも 「震災への貢献」 になるのです。
よろしくお願いいたします。

そごう本館の 波奈。小イワシ天ぷら
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★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

082-241-6836(代表)

和平会・診療についてのお問い合わせはこちら
平日午後(診療時間内14:30~18:00)