卵かけご飯 おすすめしません。 前編
最近、卵かけご飯 が流行になっているようです。
テレビCMでも見かけますね。
スーパーでは 「卵かけご飯用のしょうゆ」 も売っていたりします。
卵かけご飯 を売り物にする飲食店も出てきたそうです。
4月6日中国新聞 朝刊9面には かーつ・さとう氏の
「不況に負けない 満福夢ゴハン」 連載第1回として
卵かけゴハン が取り上げられていました。
しかし、ちょっと待った!!
「十分に加熱されていない卵」はサルモネラ食中毒の原因となります。
これまで院長が舟入病院の夜間休日救急診療に従事した体験から、
卵かけご飯はおすすめしません。
サルモネラ食中毒という食中毒があり、その原因のひとつが、卵です。
鳥(ニワトリ、うずら)はサルモネラ菌を一定の比率で保有しており、
卵は一定の率でサルモネラ菌に汚染されていることになります。
おおざっぱに 1/2000 程度でしょうか(統計による違いはある)。
サルモネラ菌による食中毒事件は、しばしば起こっていることなのです。
こわいのは、サルモネラ食中毒は重症になりうることです。
例年のように死亡者が出ているのです。
私が担当した患者さんでも、かなりの重症となり
「これは助からないかも」と覚悟したケースもありました。
卵によるサルモネラ食中毒を、軽く考えてはいけません。
実際に、アメリカ等では生卵をレストランなどで客に出す
ことは認められていません。
生卵を食べているのは日本くらいです。
その日本でも、以前は旅館の朝食で生卵が出ていたと思いますが、
最近 生卵はほとんど見なくなりました。
旅館側としては、食中毒事件を起こせば大変なことになるため
生卵の提供をやめてしまったからです。
厚生労働省の「卵によるサルモネラ食中毒の発生防止について」
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1007/h0722-1.htmlにおいても、
「老人、2歳以下の乳幼児、妊娠中の女性、
免疫機能が低下している人等に対しては、
生卵(うずらの卵を含む。)は避け・・・(以下、省略)」
と書いてあります。
健康な若い人以外はやめておけ、ということなのです。
生卵を食べるのは「自己責任」ですが、当院としては おすすめしません。
卵かけご飯のCMや飲食店は、いずれ消えていくと考えています。
後編では、生卵取り扱いの注意点を御紹介します。