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本日のお勉強 マイコプラズマとアレルギーの関係

2009年02月22日 , 

本日のお勉強

日本アレルギー学会雑誌 2008年12月号
「感染症と薬剤アレルギー」
杏林大学皮膚科 塩原哲夫先生

マイコプラズマ肺炎とアレルギーの関連

私は、医学部2年生のときにマイコプラズマ肺炎にかかりました。
肺炎そのものはたいしたことなかったのですが、
その直後から、さまざまなアレルギー疾患が出現してきたのです。
最初にじんましん、次に喘息、さらに花粉症、と。
こどもの頃は、私にはアレルギー疾患はなかったのですが、
今の私は「立派なアレルギー患者」となっているのです。
これはきっと、マイコプラズマ肺炎とアレルギー疾患出現には
何らかの関連があるにちがいない、と体で感じました。
そして、いつかはそれを解明していきたい、
と思い、呼吸器・アレルギー分野を研究対象に選んでやってきました。
(とはいえ、基礎系の研究者に進んだわけではなく、
臨床の呼吸器・アレルギー専門医として今日に至るわけです。)

それがついに、関連がみえてきた、という論文です。
マイコプラズマ感染により薬疹が出る、というメカニズムについて
解説している論文なのですが、これは薬疹以外のアレルギー疾患にも
十分適用できるメカニズムなのだと思われます。
答えの道筋が、見えた!

私の直感は正しかった、という喜び。
私の長年(30年)の疑問を解決し、回答を与えてくださったことへの感謝。
専門の学会誌を読むということ、
最先端の知識に触れるということは、
なんと楽しいことでありましょうか。

在宅医療とがん疼痛緩和勉強会

2009年02月21日 , 

在宅医療とがん疼痛緩和勉強会

2月20日(金)県立広島病院 緩和ケア支援センターで開催された
「在宅医療とがん疼痛緩和勉強会」 に出席しました。
講演1:症例から学ぶ疼痛緩和の実践
大阪府立成人病センター 緩和ケアチーム 目黒則男先生
講演2:治療期から終末期にいたる切れ目のない在宅緩和ケアの実際
かとう内科並木通り診療所(岡山市) 加藤恒夫先生

現在、在宅緩和ケアのシステムについては
どこの地域でも いろいろと試行錯誤をしているという状態です。
そのなかで加藤先生たちの岡山方式というのは、在宅医療の分野における
「コンサルテーションチーム」の存在を柱に動いていました。
病院の中での緩和ケアチームのような役割ですね。
コストをどうするか、など いくつか解決すべき問題点はありそうです。
また、
加藤先生はかなり早い段階で「ホスピス」を設立されましたが、
5年後にはホスピスを閉鎖されました。
在宅医療にとっては、ホスピスはむしろ「足かせ」になる場合がある。
ホスピス閉鎖は 撤退 ではなく、 発展的解消 だったわけなのですが、
そのあたりのお話も非常に興味深いものでした。

当院からは院長と薬剤師の2名が参加。
訪問薬剤指導をおこなってくださる薬局の薬剤師さんなど
顔見知りの方も何名も参加されていました。
「広島方式」をどのように組み立て、運用していくのがよいのか。
緩和ケア支援センターとも連携しながら進めていきましょう。

中川大臣の失態2 かぜ薬

2009年02月20日 , 

中川大臣の失態2

やはりアルコール飲んでいたようですね。
お付きの官僚が、
「ホテルのレストランで食事のとき
大臣がワインを注文して飲んでおられた」
ということを国会で証言していました。
マスコミの論調も 「やっぱり酒じゃないか!」
ということになっていますね。

辞任もしたし、アルコール飲んだことも確認されたので
本人追求の騒動は一段落でしょうが。

でも、このさい、「かぜ薬」の免責はしてほしくありません。
抗ヒスタミン薬の鎮静作用は
「水割り3杯分程度」とされています。
欧米では、抗ヒスタミン薬をのんで運転すると処罰されますが、
アルコールに匹敵する害悪作用があるためなのです。
国民の皆さまが 「市販カゼ薬は安易に服用するものではないな」、
と思っていただくために、
この論争がもっと続いて欲しかったなあ、というのが感想です。

中川大臣の失態 薬とアルコール

2009年02月19日  

中川大臣の失態

もうろう状態での記者会見は大失態でした。
本人は アルコールは口をつけただけで飲んではいない、
と釈明していましたが、どうみても酩酊状態に見えました。
「酩酊状態に見えた」というだけで大臣失格です。

ここで冷静に分析してみます。
同情の余地があるとすれば
・時差ボケもあり、連続する会談の強行軍で
眠かったことが原因の一つかもしれません。

同情の余地ないものとしては
・時差ボケ解消するくらい早めに余裕をもって現地入りすべき。
とくに重要な会議であればあるほど 用意周到でなければ。
・カゼ薬をたくさん飲んだ、という発言。
規定量以上を服用するのは大バカ者です。
用量用法を守るのは基本中の基本です。
・眠気のくるカゼ薬を 昼間に服用したこと。
鼻水を止める成分として抗ヒスタミン薬がはいっていたのでしょう。
抗ヒスタミン薬は眠気がきます。鎮静状態となります。
当院HP 「運転してはいけない薬」 を御覧ください。
この薬を服用するのであれば、寝る前にすべきでした。
・眠気のこない鼻症状薬もありますのに、なぜ重要な会議日に
眠気のくる薬を服用した?
眠気がこない市販カゼ薬としては漢方主体のものがあります。
抗ヒスタミン薬のなかにも眠気がこないものも2つあります。
(これは市販薬ではありません、処方薬です。)
お付きのスタッフのなかに医療知識のある者は
1人もいなかったのか??
・抗ヒスタミン薬とアルコール 併用はダメ。
鎮静状態が増強されます。
これは「薬をアルコールで飲まないでください」という表現で
誰でも知っているフレーズになっていますね。

つまり、薬の選択と服用に関して、
中川大臣は「全くなっていない」ということです。
正しい薬の選択と使用法を指導できる「医療スタッフ」がまわりに
いなかった、ということのほうが事態は深刻かな。

本日の講演

2009年02月18日 , 

本日の講演
折口内科医院スタッフの高橋裕子です。
本日、学校薬剤師として広島市立の某小学校3年生に
保健の授業で健康についてお話をしてきました。
ウガイ手洗いは自分のために習慣づけよう、
ウンチは毎朝出す努力をしよう、
おしっこはがまんしない、
あさごはんをおうちの人が準備できなかったら
自分でしよう。
早寝早起きが大切。
など、
健康や安全は与えられるものだけではなく、
自分で守る、それのできる子になってほしい。
といったお話をしてきました。

成長ホルモンのことを考えて午後九時半には
寝よう、とよびかけましたが
実際には午前2時に寝ている児童もいるようで
愕然とします。

今後もボランティアで講演していこうと思いますので
よろしくお願い申し上げます。

今週の花

2009年02月17日  

今月の花 ひなまつり

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ノロウィルス 流行中

2009年02月16日 , 
冬になると、下痢・嘔吐が流行しますが、
その原因のひとつがノロウィルスです。
もともと2枚貝(カキ(広島湾の名産)など)の生食による
自然な食中毒として、広島地方ではよくみられていました。
地元の人は、気候が暖かくなってくるとカキの生食はしなくなりますが、
(子どもの頃から各家庭でそういう教育がされてきました)、
ですから昔は転勤で当地にやってくる人が「歓送迎会」などで生ガキ食べて
発病し夜間救急病院へ、というパターンが多かったのです。
(注:カキに火を通せば大丈夫です。鍋やカキフライはOK。)
(注2:現在はカキのウィルス検査もして出荷されており、
基本的には大丈夫です。心配ご無用。
ただし、「加熱用」は 生では食べないようにしてください。)

しかし、最近のノロウィルス感染の原因は、カキや貝類ではありません。
介護施設や病院などに入院している患者および職員の間で
流行がみられるのです。2枚貝とは別なタイプのウィルスです。
嘔吐物や下痢便などの処置をおこなった後の「手指」を通じて
感染が広がる、と考えられます。
あるいは嘔吐物の清掃後などに舞い上がったウィルスによる空気感染
なども感染経路として疑われています。
もともと弱っている高齢者に、下痢嘔吐が生じますので、
脱水をおこし、命を落とすことにもなります。
このため、どの施設でも 「手洗い励行!」となっています。

ノロウィルスの検査もできますが、保険はききません、
自費になります(医師会臨床検査センターで3150円)。
嘔吐下痢の入院・入所患者、施設職員以外は、検査する必要はないでしょう。

うがい、手洗い、マスク という基本を守っていきましょう。
下痢など体調の悪い人は、病院へ患者として受診するのは
かまいませんが、
他の患者・御家族などへのお見舞いに行くことはやめましょう。

本日のお勉強

2009年02月15日 , 

本日のお勉強 というカテゴリを設定してみました。
勉強した内容など御紹介できればと思います。

昨日のサイエンスカフェにしく
あなたの家族が新型インフルエンザになったらどうしますか?
に向けて、ホームページによる最新情報の確認と
単行本を1冊読みました。
「H5N1型ウィルス襲来
新型インフルエンザから家族を守れ!」
著者:岡田晴恵(国立感染症研究所)
角川SSC新書

国は食料等の2週間分の備蓄を勧めていますが、
この著者によると2ヶ月分備蓄しておいたほうがよいそうです。

そうした「国のホームページではわからない内容」なども
情報提供させていただきました。
サイエンスカフェ御参加のみなさま、ありがとうございました。

本日 サイエンスカフェにしく

2009年02月14日 , 

知識のワクチン

本日サイエンスカフェにしく
「あなたの家族が新型インフルエンザになったらどうしますか?」
を14時から南観音公民館にておこないます。
講師は院長、広島市科学技術市民カウンセラー 高橋浩一です。

新型インフルエンザによる世界的大流行がおこれば、
街中がパニック状態となる可能性があります。
正しい知識を身につけておけば、自分と家族、そして周囲の人の
命が助かる可能性が高くなります。
そう、正しい知識は 優れたワクチンのようなものなのです。

サイエンスカフェとは、専門家と一般市民とが対等な立場で
お茶など飲みながら気楽に意見を交わす場です。
まだ参加可能なようです。ぜひ御参加ください。

吉島病院 オープンカンファレンス参加

2009年02月13日  

2月12日、吉島病院でおこなわれたオープンカンファレンスに参加しました。

オープンカンファレンスというのは、院内参加者だけの勉強会ではなく、
外部、主に近隣の医療機関の方々も参加できる、開かれた勉強会のことです。
いつも同じメンバーで勉強するよりも、多くの方に参加していただいたほうが
さまざまな見方・意見が出てきて、お互いに参考になります。

今回は、CPCでした。
CPCというのは、治療の甲斐なくお亡くなりになった方で
病気の診断や程度、死因などについて「病理解剖」をさせていただいた
事例について みんなで検討してみよう、というものです。
聖路加国際病院の日野原先生は、自分の受け持ち患者のほぼ全員に
病理解剖をさせていただいていた、と著書に書かれています。
私も勤務医時代には かなりの数の病理解剖をさせていただきました。
名医と呼ばれる方たちは、みんなこうやって育ってきたのです。
現在では血液検査や画像診断検査が進歩したため、
必ずしも病理解剖を必要とはしない時代になってきてはいますが、
それでも若い先生、とくに研修医の先生には非常に勉強になるものです。
教育、という視点でみると、病理解剖はとてもとても重要なものなのです。

もし、研修医のいるような「教育病院」に入院され、
残念ながらお亡くなりになった場合には
「病理解剖をお願いできませんか?」というお話があると思います。
その時には、亡くなられたばかりで とても悲しい時ではありますが、
ぜひ病理解剖を御承諾いただけませんでしょうか。
3~4時間ほど、お時間をいただけませんでしょうか。
10年後、20年後の名医を育てるために。

082-241-6836(代表)

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