インターネットの調査で1182人からの回答だそうです。
インフルエンザのワクチンについて
受けるつもりはない、と回答した人が33.3%いるそうです。
ちょうど3人に1人の割合ですね。
( 2010年11月22日 18:13 キャリアブレイン )
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/30986.html
「受けるつもりはない」と回答した人に、その理由を聞いたところ、
「必要ない」「かからないだろう」「かかったことがない」などの回答が多く、
このほか「金額が高い」「副作用が怖い」などの意見があった。
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これは、
「癌の検診を受けましょう」、と我々がいくら言っても
がん検診受診率があがらず、
検診を受けない人のセリフとまったく同様のセリフになっていますので
興味深く思いました。
ちょっと以下に考察をしてみます。
写真は交通科学館で展示中のマツダRX500
今年おこなったデモ走行のビデオも見ることができます。
ロータリーサウンドというのは、やはり違いますね。
ワクチンを受けない人の言い分を順番にみていきますね。
1:必要ない ・・・この問題への回答は実は奥深いので、後回しにします。
2:かからないだろう
自分はインフルエンザに感染しないだろう、という、
その楽観論はどこから来るのでしょうか?
今、日本人の2名に1人は癌になる時代なのですが、
がん検診を受けない人たちは、
「2名に1名癌になる」ということは自分は癌にならない
というように思うらしいです。
昔、コンバットという戦争映画で、
敵弾の雨あられの中を走り回っても主人公には弾がかすりもしない。
そういう映画がありました。
検診を受けない、ワクチンを受けない人たちは
自分は映画の不死身の主人公だと思っているのでしょうかね。
主人公以外は、映画でもバタバタ倒れていくものなんですけどね。
統計・調査を正しく思考に反映させることが出来ないと、正しい行動はとれません。
インフルエンザだと人口の2-3割は感染します。
とくに新型2009A/H1が主に流行すれば、
昨年感染していない人は感染する確率は高いです。
3:かかったことがない
これまで癌やインフルエンザにかかったことがない、という人、
それは幸運なことでした。
でも、どんなに体力があり、うがい手洗いに気をつけていても
インフルエンザにかかる時にはかかります。
本日まで交通事故にあったことがなくても、明日事故にあう可能性はあります。
これまで癌になったことがなくても、来年癌と診断される可能性はあります。
「これまでかかったことがない」というのと
「今後もかからないだろう」というのは、つながらないのです。
むしろ、これまでかかったことがない人のほうが
体に抗体がありませんので重症化する可能性がありますね。
4:金額が高い
確かにその通りです。
ワクチン類は全部無料(公費負担)でやるべきだと思います。
ところで、もし感染してしまい医院を受診することになれば金額はいくらかかるか?
を考えてみましょう。
3割負担の人の初診料・処方箋料で1010円(医療機関での支払い)。
インフルエンザの検査をすれば1900円くらいです。
薬品の価格がタミフルでもリレンザでも3000円ちょっと。
3割負担だと薬剤費が1000円程度。
解熱剤など他の薬剤が出ていれば、それも上乗せになります。
これに薬局へのフィーを払いますので1500円程度でしょうか。
具体的価格は知りません(調剤薬局での支払い)。
合計すれば2500~3400円程度になります。
ワクチンは2500~3000円あれば接種できるところがあります。
治療費とは、価格的にはそんなに差がないことになります。
むしろワクチン代のほうが安い。
インフルエンザに感染すれば、職場は休まないといけません。
高熱などで苦しい思いもしなければなりません。
それを考えると、ワクチンが高い、とは言えないと思います。
5:副作用がこわい
たしかに、副作用はいやですね。
この場合、考える順序は3つになります。
ワクチンの副作用。
感染した時の症状。
治療薬の副作用。
ワクチン接種によると思われる死亡が報告されています。
でも、病気が重くて死ぬ人のほうが多いです。
インフルエンザによる脳症や肺炎などです。
治療薬、たとえばタミフルで、興奮して飛び降り死んだ人がいます。
(薬のせいなのかどうか、まだ最終結論は出ていませんが)
つまり、副作用というか、重大な事象の確率が
どちらが高いのか、ということが問題になるのです。
インフルエンザのワクチンは、もっとも安全性の高いワクチンなのです。
やはりここでも「確率」と「事態の大きさ」でもって判断すべきところなのです。
癌検診のレントゲンだって放射線被曝の問題はありますし、
胃カメラや大腸カメラなどで死亡につながる事例もあります。
癌を手術すれば、ときには死亡者が出ます。
でも、
癌を放置し、進行癌でみつかれば手が打てません。
癌を早期に発見して早期に手術できれば、なおる可能性が高いのです。
検診や予防でみられる副作用は、得られる利益に較べるとほぼ問題にならないのです。
ここで
1:必要ない
に戻ってみましょう。
必要ない、という人は、
「もし感染したら、その時に治療すればいいじゃないか」
と考えていると思います。
でも、感染症を流行させない・封じ込めるためには
感染者数・発病者数を減らす必要があるのです。
たとえば麻疹(はしか)のように感染力の強い病気では
人口の95%程度に抗体ができ感染しない人がいれば
大きな流行は防げると言われています。
ワクチンをうつということは、自分のことでもありますが
社会のためでもあるのです。
中には、ワクチンを打ちたくてもアレルギー体質などでワクチンが受けられない人
というのがいるのです。
そうした人々は、弱者です。
感染してから治療すればいいよ、というのは強者(健康者)の理論であり、
弱者を思いやる、あるいは社会全体を見渡せる力のある人のいうセリフではありません。
ワクチンを受ける人が増えれば、大きな流行は防げることが期待できるし
命を落とす人を一人でも減らせる可能性があるのです。
社会防衛、という視点でものを考えることができるかどうか、が問われるのです。