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救急車とオオカミ少年

2010年02月10日

2月5日、広島市中消防署との意見交換会に出席しました。
たくさんのデータが報告されましたが、一点だけ御紹介します。
救急車の 不搬送 について。

広島市消防局の救急出動は平成21年は48189件でした。
その前年は48048件で、出動件数は増加しています。
このうち、搬送人員は 42210でした。
およそ6000件、約15%は、
救急出動したが患者を病院へ搬送していない、
ということになります。
(1回で患者1名を搬送するとした場合。ふつうは救急車1台では患者1名です)

この6000件は、「不搬送」と呼ばれるものです。
なぜ不搬送という状況が生じるのか?

たとえば、
路上に誰か倒れている、という119番。
救急車が行ってみると、よっぱらいが寝ているだけで、
呼びかけてゆすると目をさまして、起きて歩いてどこかへ行ってしまった、
(つまり救急車は必要なかった) という場合。
まあ、倒れているのが病人かどうかわかりませんので、
この119番通報や出動は仕方ないです。

困るのは、119番をかけてくる常習者がいる、ということなのです。
よっぱらって119番通報してきて、
行ってみると、体がしんどいだの、あそこが痛いだの、いろいろ言って
「病院に連れて行け」と言います。
で、連れて行った病院では 「入院させろ」 と騒ぎます。
病院というのは3食・風呂つき・冷暖房完備・昼寝付きなので
自宅にいるよりよっぽど居心地がよい、という人がいるのですよ。

でも、診察しても単なる酩酊者=いわゆるアル中=ですので、
入院させる必要性はないので、帰っていいですよ、ということになります。
そうしたら対応した医師や看護師にあたりちらしはじめ、
ヨッパライ特有のカラミもあり、
みんな時間の無駄、さらには身の危険を感じます。
どなったり、脅かしたり、ひどい言動をする人もいるのです。
そのうえ点滴や検査のお金も払わずに帰っていきます。
以前に入院したことがあれば、その入院費も踏み倒しています。
病院にとっては未収金となり、病院赤字の原因にもなるわけです。

職員が身の危険を感じ、金も払わず赤字になるアル中を、あえて引き受ける病院はありません。
ブラックリストに載るわけです。
どこの病院でも同じことを繰り返しているので
どこの病院でもブラックリストに載っており、
どこも救急隊からの搬送受け容れ要請を引き受けてくれません。

こういう時にも救急隊は通報者宅から帰ってはいけないのだそうです。
可能性のある病院に全部連絡し、救急車引き受けを依頼しないといけないそうです。
でもどこも受け容れてくれませんので、
そのまま救急車は動けないまま何時間でも経過します。
そうして時間がたち酔いがさめて、本人が「もういい、帰れ」 と言って
それではじめて救急隊は帰れるのだそうです。

この間、数時間、救急隊が1チーム そのアル中にかかりきりになります。
その場所から動けないのです。
その時間帯に事故や急病が発生すれば、
他の救急隊がカバーするしかありません。
遠方の救急隊がカバーすることもあります。
救急隊の現場到着が遅れれば遅れるだけ、重症患者の命が助かる可能性は減ります。
救急隊到着が遅れる原因を、こうしたアル中、「119番常習者」が作っているという実状があります。

救急車は有料にすれば良いのではないか、という議論も
こうした背景から出てきます。
救急車が有料になれば、不要不急の119要請は減るのではないか、と。
(→ でも、どうせ「確信犯」の人は 救急車料金も払いやしません。踏み倒すでしょう。)

大嘘つきのことを「千3つ」と言います。
千の話のうち本当のことは3つしかない、という意味です。
こうした119常習者が毎日毎日電話してきて、1000回のうち3回本当の病気があった、としますと、333回に1回、ほぼ年間に1回は本当の病気のことがあるかも、ということになります。

119常習者からの電話は無視すればいいのではないか、とも思いますが、
もしかしたら年1回くらいは本当に病気かもしれない。
ウソだろうとは思いつつも行ってみるしかない。
まさにオオカミ少年の世界です。
救急出動の約15%は、「不搬送」。
このオオカミ少年問題、みなさんは どう考えますか?

私の思う一つの解決策は、
不払いの人は逮捕してはどうか、ということです。
無銭飲食の人が逮捕される、ということと同じような状況のはずなのに
医療費踏み倒しの人は逮捕されていないのです。
広島市民病院クラスの規模の病院では、
年間2億円程度は「医療費不払い」による未収金が発生しており、
病院赤字の原因にもなっています。
逮捕されるとなれば不払いが減り、119常習犯も減るでしょう。

もう一つは、
こんな119番に付き合わなくてよい、
もし本当に病気のことがあっても それは本人の自業自得であって市や消防局は責任とらなくてよい、
と 市民みなさんが認めて、文書化(=条例)することです。
1名の人間が救急車を何時間も不当に占拠することは、
他の大多数の市民にとっては 「公共の利益に反する」 わけです。
公共の利益に反することは、止めていただくしかありません。
止めていただけないのならば市として対応しなくてもよい、ということを条例で定め、
しかも憲法違反ではないという保証が得られたならば
オオカミ少年に振り回されることはなくなります。

消防局も病院もみんな困っています。どうしたもんでしょうか・・・。

頂いたお花~その2
ツバキ、シュロチク
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★新型インフルエンザ情報
予防接種法の改正が検討されています。
現在は高齢者に限定されている「インフルエンザ定期接種」ですが、
新型については高齢者限定をはずしてしまおう、
という方向のようです。

よいことだと思います。
来月くらいの国会で審議される見込み、とのことです。

天皇陛下、ノロウイルスに感染…経路は不明

2010年02月9日 ,

天皇陛下、ノロウイルスに感染…経路は不明

各社が報道しています。
2月5日19時42分配信 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100205-00001056-yom-soci
宮内庁は5日、腹痛などを訴え、体調を崩して静養されている天皇陛下が、ノロウイルスによる急性腸炎と診断されたと発表した。
皇后さまや、身の回りのお世話をする職員らに感染者はなく、感染経路は不明としている。

宮内庁は、当然食事には細心の注意を払っているはずです。
一般のレストランや施設とは比べものにならないくらいの細かい注意を。
手洗いも消毒もしっかり実行されていたはずです。
それでもノロ感染はおこる、ということなのです。
原因についても、おそらく徹底的に追及したに違いありませんが、
それでも経路不明であった、とのこと。

まして、一般の家庭、病院・施設、レストランなどでは
ノロ感染を完全に防ぐのは無理だ、ということが
おわかりいただけるでしょうか。

病院や施設で集団感染がおこった時など
原因は何だ? 原因は誰だ?
と厳しく追及するマスコミや家族がおりますが、
わからないものは わからない、としか答えようがないことがあります。
その施設の食事・食材由来とは限らず、
面会者の手について持ち込まれた場合などには
経路を明らかにすることは 無理なのです。

取材者側マスコミにも、
科学の限界、医学の限界については知っておいてほしいと思います。

まあ、何にせよ せっけん手洗い励行ですね。
アルコール消毒が無効なことは知っておきましょう。

マツなどに頂いたスイセンを合わせました。
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★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

新型インフルエンザも、これから流行してくるB型インフルエンザも
あまり高熱が出ず、消化器症状(嘔吐や下痢)が中心のことがあります。
これだと、ノロウィルス感染と 区別はできませんね。

念のためインフルエンザ検査しておきましょうか?
という状況もあると思います。
下痢してるのになんでインフル検査? と思わないで下さいね。

インフルB型患者 ではじめる

2010年02月8日 ,

昨日は広島市医師会夜間急病センターで勤務してきました。
患者数はかなり減っており、夏頃とほぼ同程度でした。
新型インフル流行ピーク時の忙しさは まったくありません。

多くは感染性胃腸炎(ノロウィルスか?)でしたが、
インフルエンザ疑いで検査した人が数名、
そのうちA型陽性が1名でした。

その前の日に、B型が1名出ています。
これまでは新型インフルエンザばかりが流行しており、
季節性インフルエンザはほとんどいない、という状況が続いてきましたが、
・香港ではB型流行がはじまっている
・神戸ではB型による幼稚園集団感染がおこっている
(神戸市HPでの公式発表はまだです)
という状況になってきています。
広島でもB型患者が確認されましたので、
これからB型流行がはじまると考えてよいと思われます。

3月の大学入試二次試験には間に合いますので、
受験生には季節性ワクチン接種をおすすめします。
二次試験については、インフルエンザによる再試験はおこなわない、
と発表している大学が多いです。
今年はワクチン返品ができませんので、まだ季節性ワクチンほんの少し在庫あります。
お問い合せください。

ああ、それともう1点。
中学生ですが、
新型インフルエンザの流行ピーク時には舟入病院がパンク状態だったので
夜間急病センター内科でも中学生を診療していましたが、
舟入病院の混雑も落ち着きましたので
夜間急病センターでの中学生診療は終了となっています。
中学生は夜間休日は休日当番医の小児科または舟入病院小児科を受診してくださいね。

胡町の さかい。
とある会合で、本当に久しぶりに行きました。25年ぶりくらい?
昔、私の指導教授の友人の某大学教授が広島に来られて、
どこかおいしい店を教えてほしいのだけど? という場面で
さかい を推薦させていただいたことを思い出します。
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趣味の塗装で肺炎

2010年02月7日 ,

★新型インフルエンザ情報
今回の新型インフルエンザ(2009H1N1)については、
春先の流行の可能性がまだ消えていません。
ふつうはインフルエンザ流行といえば冬場なのですが、
これまでの過去の新型インフルエンザ登場のときに、
(スペインかぜ とか、アジアかぜ といったものですね)
流行の初年あたりは春にもけっこうな流行がみられていたそうなのです。
専門家はこの現象を Spring wave と呼んでいるそうです。
(私も知りませんでした)

ですから、
また流行する可能性はある、
安心するのはまだ早い、
という専門家が多いというわけなんですね。

山口県防府の生外郎(ういろう)。
1月末までは毎月月末三日間、そごう地下で販売されていましたが、
なんと次回から二ヶ月に一回になるのですって。
おいしいので、よく買いに行ってたので、残念。
次回は三月末の三日間だそうです。
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本日のお勉強
趣味の塗装により発症したイソシアネートによると考えられる過敏性肺炎の1例
日本呼吸器学会雑誌 2009年11月号
国立病院機構姫路医療センター 田畑 寿子 先生ほか
要点
趣味で休日ごとに車の塗装をしていた人に発病。
(過敏性肺炎というのは、免疫反応による肺炎です)
イソシアネートによる過敏性肺炎は、過去25年間で28例が報告されている。
これまでは全例において職業が関連していた。
インターネット等でイソシアネート含有の塗料が容易に入手可能になっており
職歴などの聴取に一層注意を払う必要がある。

院長は、日本呼吸器学会、日本アレルギー学会の専門医であり
(勤務医のあいだは「指導医」でもありました)、
日本医師会の認定産業医でもあります。
つまり「職業病、職業アレルギーとしての肺疾患」には かなり詳しい。
イソシアネート等による肺病変の予防に、十分な換気が勧められています。
職業としての塗装には、かなり注意が払われてきています。

ですから、今後の問題はむしろアマチュア。
趣味で塗装をする人たち、というのが います。
自動車、バイクのほかにも、フィギュア・プラモデルといった世界です。
換気の良い環境で塗装をしている、とは限りません。
健康被害を防ぐためのポイントを知らないのです。
というより、健康被害が生じる、ということを知らないのです。

換気が重要、ということについて、
私の例をあげてみます。

以前、新幹線の車内でマニキュアをはじめた人がおりました。
1列ちがい、私の前だったか後ろだったかの座席の人です。
私は喘息もちで、悪いことに化粧品の匂いに やられてしまいます。
あわててその車両から逃げるしかありませんでした。

デパートの1階には化粧品売り場があることが多く、
その売り場をまともに歩くと 咳こみはじめて苦しくなります。
ですから私はデパートに行く時には
入口から地下に階段で直行して、
それから目的の階に行く、という注意を払っています。
それができない時には、息を止めて1階を通り過ぎています。
健康な人にはデパート1階は何ということもない場所なのでしょうが、
私にとっては鬼門です。
これだけ用心して避けている人もいる、というのが実態です。
(私だけではないと思うのですが・・・)

塗装あるいは有機溶剤、化粧品の一部には、
健康被害がありうるのだ、ということは
ぜひ知っておいてもらいたい、と考えています。
予防には換気。
簡単なことなんですよ。

介護保険についてのパブリックコメント募集

2010年02月6日

厚生労働省は、2月3日から介護保険についてのパブリックコメント募集を開始しました。
今回はとくに手続きや制度上の問題についてが主なようです。

だれでも意見を書けますので、
御意見のある方はぜひよろしくお願いします。

http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p100201-1.html

我々 在宅緩和ケアをやっている医師からすると、
たとえば訪問看護を指示する場合に、
医療保険だけの場合と 介護保険がある場合とで扱いが違う、
介護保険が優先される、となっています。
ものすごく面倒な迷路のような制度設計になっているのです。
もっと単純にならないかな、と常に思っています。

ぜひ市民の声、介護保険利用者の声を政府に伝えてください。
締切は3月31日です。

今週の花 全体
ネコヤナギ、アルストロメリア、バラ、ドラセナ、シンビジウム、ストック。
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★新型インフルエンザ情報
広島県、インフルエンザ警報解除
2月5日16時1分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100205-00000263-mailo-l34
県は4日、昨年11月に発令していたインフルエンザ警報を解除した。定点医療機関当たりのインフルエンザ患者数が、県内7保健所管内すべてで基準値(10人)を下回ったため。

ピークは過ぎた、ということで 少し安心でしょうか。
でも、当院では昨日も成人2名のインフルエンザA型陽性患者が出ています。
油断しないよう気をつけましょう。

林章敏先生の緩和ケア講演会

2010年02月5日 ,

昨日は広島市民病院で開催された講演会に出席しました。
急性期病院における緩和ケア
~その理念と実際~
講師は聖路加国際病院 緩和ケア科医長 林章敏先生でした。

私は聖路加病院緩和ケア病棟で研修を受けました。
林先生とは久しぶりの再会です。
広島には聖路加病院で緩和ケアを研修した医師が
少しずつ増えてきているのですよ。

ところで、
先日 胃癌の患者さんとお話していると、
癌患者の団体(某病院の 友の会)に参加している人の中でさえ
「緩和ケア病棟は もうダメな人が行くところ、死ぬための場所」
「緩和ケアというのは最後の最後」
と思っている人が いまだにたくさんいる、
ということをお聞きしました。

そうではないのです。
癌と診断された時から、
癌の治療と 苦痛を軽減する緩和ケアとが
車の両輪のように開始されるべきものなのです。
実際に、今回の講演会で、具体的データも紹介されました。
肺癌、大腸癌などで、
ホスピスケア・緩和ケアを受けたグループと受けなかったグループでは
生存期間に違いがみられました。
緩和ケアを受けたグループのほうが長生きだったのです。
緩和ケアは死ぬための医療ではなく、
よりよく生きぬくための医療であることを 御理解ください。

癌になったら緩和ケア。
できるだけ早い段階で緩和ケア医・緩和ケアチームにも御相談ください。

写真は林章敏先生と院長。
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★新型インフルエンザ情報
来年度も新型ワクチン接種で負担軽減―厚労省
2月4日17時6分配信 医療介護CBニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100204-00000006-cbn-soci
新型インフルエンザワクチンの接種費用の低所得者への負担軽減事業を来年度も継続して実施する方針を明らかにした。

とのことです。
来年度も今年と同じように実施する、ということでしょうね。
本来であればワクチンは無料にして国が全部負担すべきと思います。

ハイチで養子縁組装い人身売買

2010年02月4日

ハイチの気になる情報その2です。
ハイチ、狙われる子どもの臓器 養子縁組装い人身売買
1月31日9時54分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100131-00000504-san-int

臓器移植の目的で人身売買をおこなう集団がいて、
孤児支援の養子縁組をする公的機関を装ってやってくる、というお話です。

全ての生き物はそうでしょうが、人間も
自分だけは死にたくない、
自分の子どもだけは どんなことをしても助けたい、
という思いになる人がいるのは、仕方がないことかもしれません。

私も3人の子どもがいますので、
子どもの命が助かるならどんなことでも・・・
という親の気持ちは少しはわからないでもない。
臓器移植を・・・と願う気持ちになる親がいるのも理解できなくはない。

でも、臓器移植というのは、非常に問題点の多い治療法です。
とくに小児の臓器提供は世界でも不足しており、
「鮮度のよい子どもの臓器」を欲しがっている人は
世界中にたくさんいるのです。

「子どものためならどんなことでも」と高額を支払う親がいます。
そこで臓器売買というヤミ商売が成立し、
ヤミ移植をする病院が成立しています。
臓器売買グループは、臓器を得るために誘拐でも何でもやります。
東南アジアなどでは、ホテルやデパート内でも子どもから目を離すのは危険だ
とされているほどです。
まして合法的に養子という形で国外に連れ出せるなら、
チャンスとばかり被災地に群がってくるでしょう。
しかし連れ出されてしまった子どもの運命は・・・。

命が助かるのは、先進国の、大金を払えるごくごく一部の人だけであり、
貧乏な国の孤児は 臓器を切り取られ、切り刻まれて殺され捨てられていく、
そういう世界が現実にあるのです。

私は、臓器移植には基本的には反対です。
「科学的・医学的には可能な技術」ですが、
「可能な技術は全て適用してもよい」とは思えないのです。
他人の命の犠牲の上に自分が生き延びる
(注:私の頭のなかでの移植医療のとらえ方の表現として)、
という治療にはうなづけないのです。
私にはどうにも違和感があるのです。
日本や韓国などは、こうした考えの人が多いと思います。
(注:臓器移植を選択した人を非難するつもりは全くありません)

臓器移植がなければ、臓器売買はなくなり、子どもの誘拐は減ると思います。
でも、アメリカなどのキリスト教圏の一部では、臓器は単なる部品 という考え方もあります。
東南アジアなどの一部では、金をもうけることが勝ち、という価値観もあります。
宗教や価値観の違いがあり、
こうしたものは他人に強制できるものではないので、
臓器移植の問題は簡単なことではないのです。

ですから、非常に問題点の多い治療法です、と申し上げました。
生きること、死ぬこと、を考えていただければと思います。

今週の花~一部 紫色のストック!
い~い匂い☆
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★新型インフルエンザ情報
タミフル輸入代行業者逮捕へ 大阪府警、薬事法違反容疑で
2月4日7時46分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100204-00000500-san-soci

個人輸入が手軽にできる時代になっています。
しかし、医薬品の輸入については、いくつか問題点があり、
個人輸入はおすすめできません。
ニセ薬をつかまされる、
健康被害が生じても国や製薬会社からの補償が受けられない、
などなど。
場合によっては今回のように法律違反で逮捕となる場合もある、ということです。

この業者は、きっと新型インフルエンザが大流行して、
タミフルが品不足になる、価格が高騰する、と思ったのでしょうね。
タミフルもリレンザも、国内には十分な備蓄があるので、
大丈夫、価格が高騰することなどありませんよ。
(小児用ドライシロップは一時不足しましたが)

もし今後 新型インフルエンザの大本命H5N1が登場することがあっても、
治療薬の個人輸入は考えないほうがよろしいと思います。

広島県内で食中毒1名死亡

2010年02月3日

NHK広島ニュース 2010年2月3日 7時34分更新
http://www.nhk.or.jp/hiroshima/lnews/06.html
以下、抜粋。
世羅町の診療所で給食を食べた入院患者などが食中毒の症状を訴え、持病のあった80代の男性1人が死亡しました。
県東部保健所が調理施設を調べたところ、患者や調理の担当者からノロウイルスが検出されました。

食中毒による死亡は全国で年間4名程度なのですが、
早くも広島県で1名出てしまいました。
高齢者が下痢すると脱水になり、
循環不全(血圧が保てなくなる)を引き起こすことがあり、
命取りになります。

ノロウィルスによる食中毒は軽症で終わることが多いのですが、
高齢者では油断禁物です。
対策としては手洗い、手洗い、手洗い。それに尽きます。
ノロウィルスは、下痢がおさまっても まだ体に残っていることがあり、
けっこう長期間残ると言われています。
下痢がなおっても 厳重な注意が必要なのです。

インフルエンザが下火になってきましたが、
手洗いうがいについて
油断しないようにしてくださいね。

今週の花~一部
バラ
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★新型インフルエンザ情報
とくに目新しい情報はありません。

ハイチに千羽鶴運動、ネットで炎上

2010年02月2日

ハイチ地震関連で気になる記事を御紹介します。

ハイチに千羽鶴運動、ネットで炎上
izaニュース 2010/01/29 12:05更新
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/household/351552/

被災地を支援しよう、という時に、
緊急支援物資を集めることがあります。
医薬品、水食糧が第一ですが、毛布・衣服・テント類などを集める場合もあります。
このとき、重要なポイントがあって
医薬品や水食糧は、早く届けることが大切。
下着類などの援助物資は新品であることが大切。

つまり、使わなくなった古着やボロを集めているわけではない、ということなのですが、
ゴミとして捨てるしかない古い下着などを被災地に送りつける人が大勢いて、
被災地の役場など現場は いつも迷惑してしまうのです。

被災地はどんな状況なのか、
どんな支援が有効で どんな支援はありがた迷惑なのか、を
情報を集め想像すればよいことなのです。
一番よいのは皆でローテーションを組んで現地支援に行けばいいのでしょうが、
これは全員が可能なことではありません。

院長は阪神大震災の医療救援に広島市チームとして神戸に1週間行きましたが、
全国から善意で送られた物資のなかに 絶対使わない医薬品などが保管場所に山積みとなっているのを見て、
現地のニーズに合わせた支援活動というのはむつかしいものだ、
ということは経験してきました。

とくに国外の支援は、現地事情がわかりにくいですので、
「支援団体を支援する」、「支援団体にゆだねる」という方法が確実だと考えます。
日本赤十字、国境なき医師団 などに募金するのが現実的で良いでしょう。
千羽鶴?
残念ながら ハイチに千羽鶴を贈る運動には 落第点しか与えられません。
ヒロシマに千羽鶴が贈られてくるのとは、わけがちがいます。

それにしても、
自衛隊の緊急医療チームの出動は遅かったです。
24時間以内にとりあえず出発してほしかった。

写真は 赤外線式の体温計
インフルエンザ患者が多数来院して外来が混み合った時のために
シーズン前に購入していた新兵器です。
おでこにピッとするだけで、2秒で体温が測定できます。
直接おでこに触れるわけではなく、離れて測定しますので(非接触型)、
体温計を消毒したりする手間もありません。
欠点は、乾電池の消耗が非常に早い、ということですかね。
今シーズン、ずいぶん活躍しました。
訪問診療先のご家庭でも、活躍しましたよ。
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★新型インフルエンザ情報
薬事審不承認でも解約できず=新型インフルの輸入ワクチン
1月31日(日)2時34分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/cm/main?d=20100131-00000005-jij-soci&s=created_at&o=desc

日本政府は昨年6月に新型ワクチン輸入の契約を結びました。
非常に不利な契約条件であることは、すでにさんざん報じられてきましたし、
当ブログでも御紹介してきました。
(たとえば1月26日ブログなど)

今回、時事通信がなんで今になってこんな記事を配信したのか、よくわかりません。
しかも、30日にわかった、と記事には書いてあります。

薬事審議会で承認されようが承認されまいが、
それは日本国内の手続きのお話であって、
輸入契約の解約とか返品とかにつながらないことは当たり前のことです。
ニュース記事にする価値は まったくありません。

新型インフルエンザ関連ニュースでは、
輸入ワクチンをどうするのか、解約が成功するのか、だけが今の焦点です。
関連記事もめっきり少なくなりました。
それで時事通信さん、無理してニュースを作ろうとしたのかな?
かなりトホホなニュースでした。

まあ、ワクチンというのは国家安全保障のようなものです。
余るくらいの発注でよい、と思います。
次は5月6月頃に、来シーズン用の新型ワクチンをどうする、季節性ワクチンをどうする、
というのが話題になってきます。
次の輸入契約からは 不平等契約にしないで下さいね。

広島県が食中毒最多の理由

まずはこちらのニュースから。
CBニュース
https://www.cabrain.net/news/regist.do
以下、記事より抜粋。
平成20年度の全国の食中毒発生件数は1369件で、2万4303人の患者が出ていたことが、厚生労働省の調べで分かった。死者は4人だった。 都道府県別では、広島が273件で最も多く、東京の106件、大阪の96件、神奈川の69件がこれに続いた。患者数は、多い順に大阪2071人、広島1602人、東京1442人。

もとネタは厚生労働省データです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/04.html#4-2

なんだ、広島って、食中毒が全国で一番多いのか
やっぱりカキの本場だからな、
などと単純に思わないで下さいね。
ここに出ているデータは、
「保健所に届けられた件数の集計」なのです。

広島県の食中毒件数は、平成11年から全国でも飛び抜けて1番多くなりました。
しかも、そのほとんどは広島市の件数です。
平成11年度についていえば、広島市だけで全国の食中毒の1/3の件数です。
はっきり言って、異常なデータですよね。
ありえません。
おひまな方は、平成11年度の食中毒データをダウンロードして御確認ください。

では、なぜ、広島市だけが特別に食中毒件数が多くなっているのか?
それは、とある事件がきっかけです。

ある一家が食中毒で入院されました。
マスコミ関係の方で、自分たちの食中毒事件について調べていくと
なんと病院から保健所に食中毒の届けが出ていなかったのです。
その後、地元ニュースなどで取り上げられ問題となったのでした。
法律どおりに運用されていないのではないか、と。

それまでは、食中毒の届け出は、人数の多い「集団食中毒」だけ届けておけばよいだろう、
と 現場では運用されていたのでした。
しかし確かに法律上は、
食中毒と診断すれば患者1名であっても保健所に連絡しなければなりません。
その一件以降、広島市では、
集団食中毒でなくても届け出をするよう
周知徹底されてきたわけです。

これに対して、他の都道府県・政令市では、従来と同じように
集団食中毒、原因が明らかな場合、または原因食品が明らかな場合のみが主に届けられて集計されています。
1人だけ、とか、家族だけの食中毒は集計に上がってこないのです。
これでは広島市・広島県の届け出件数が目立ってしまうのは仕方ありません。

けして広島市が「全国有数の不潔地域」というわけではありません。
広島市の医師・保健所が法律通りきちんと仕事をしている、ということなのです。
どうか御安心ください。
ある時からデータが飛び抜けて変動している場合には
登録方法・集計方法などが変更になっていることも多いです。
額面どおり受け取らず、事情を調べることも必要なんですね。

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先着15名様でした。
迷わずゲットしました~☆
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★新型インフルエンザ情報
広島市医師会、インフルエンザ集計システムの終了。

広島市医師会では、今回の新型インフルエンザに対応して、
リアルタイムに患者数を把握できるシステムを運用していました。
各医療機関からインフルエンザと診断した患者の住所(区)、年齢をFAXで報告し、
翌日には全医療機関に 集計した情報を流す、というものです。
こういったシステムの運用は全国でも広島市医師会くらいのものです。

県・市や国からの患者数動向は、1-2週間遅れで公表されます。
これに対し、広島市医師会のデータは前日の状況が発信されていますので
今うちの地区の流行はどうなっている?
という疑問に対応でき、患者さんの診療にかなり有用でした。

もう流行が下火になりました。
全市で100名を下回る報告数の日も多くなってきたので、1月末日で終了です。

当院では情報を非常に有効に活用させていただきました。
御協力くださった医療機関のみなさん、ご苦労様でした。

082-241-6836(代表)

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