肺癌と在宅死
広島市では2月12日だけで12校の学級学年閉鎖が出ています。
バレンタインデーにインフルエンザで学校を休まねばならなかったり
学級閉鎖だったりすると がっかりですね。
本日のお勉強は肺癌と在宅死について
本日のお勉強
在宅緩和ケアを導入した肺癌患者における在宅死に関連する因子の検討
日本呼吸器学会誌 2012年9月号
大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター肺腫瘍内科 東口将佳 先生ほか
要点
在宅緩和ケアを導入した肺癌91例。
生存期間は病院死と在宅死に差はなかった。
在宅死亡率は39.7%。
生存期間中央値は53日、
在宅期間中央値は44日であった。
***
最後の3行は、このように読みます。
病院に入院している末期の肺癌患者で、
家に帰りたい、と言って在宅療養になる人がいます。
家に帰って1か月ほどすると
そのまま家で過ごすか、再入院するか、
という最終選択の時がやってきます。
その後はおよそ1週間程度で亡くなられます。
家にいても病院にいても生存期間は変わりません。
病院のほうが長く生きられるようなイメージがあるかもしれませんが
けっしてそのようなことはありません。
この論文のデータは
私たち在宅緩和ケア医がいつも講演会などで
お話しするデータと全くいっしょです。
最後の選択をする時点、
亡くなられる1週間前というのは
もうほとんど食べたり飲んだりできなくなった、
もう起きて歩くことも出来なくなった、
という段階です。
不安だ、ということ等で入院を希望される方がおられます。
在宅継続が4割、入院されるのが6割、という選択結果です。
しかし、
入院しても在宅でも生きる期間は同じなのです。
入院のほうが明らかに良い、ということはありません。
だとすれば
そのまま在宅で最期まで生活していただいたほうが
本人にとってよいのではないかな、
というのが我々在宅緩和ケア医の思いです。
入院しても在宅でも治療は同じ、ではありません。
入院すれば心電図モニターの電極を装着され
24時間監視される病院もいまだに多いでしょう。
持続点滴につながれ、導尿の管を入れられることにもなるでしょう。
病院に入院すれば
「スパゲティ症候群」にされてしまう、
ということになる可能性が大なのです。
起きる時間も寝る時間も食事の時間も、
病院だと集団生活なのである程度決められています。
最期の最期は自然に、
がよいのではないかな、と思うのです。