市販薬にも副作用はある
病院でもらう薬には副作用があってこわい、
市販されている薬や漢方薬には副作用はない、
と思っている人が ときどきいます。
でも、そんなことはありません。
どんな薬にも、漢方薬にも、副作用はあります。
先日、
副作用のない胃薬をください
という高齢婦人が来られました。
新しい薬は副作用が強いのではないか、と
思い込んでおられるようでした。
(まあ、それについては一理あるかもしれませんが)。
いろいろ相談し、50年以上前から使用されている薬を処方しました。
医療関係者ならおわかりですね、
例の、苦い粉薬です。
これでも副作用はあるんですけどね。
本日のお勉強は市販薬と副作用について
今週の花 シュウメイギク、アメジストセージ、トウワタ、ノコンギク。
★新型インフルエンザ情報
北海道 稚内で野生のカモのふんから強毒性鳥インフルエンザH5N1を検出。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101026-00000155-jij-pol
今後の動向に注意が必要です。
養鶏場業者や農林水産省関係者などは厳戒態勢にはいっていると思います。
今すぐ一般の市民がこわがる必要はありませんが、
死んだ鳥(野鳥)には、うかつに触らないようにしましょう。
本日のお勉強
市販の総合感冒薬「新ルルA錠(R)」による薬剤性肺炎が疑われた1例
日本呼吸器学会雑誌 2010年8月号
名古屋第二赤十字病院 呼吸器内科 加藤久明 先生ほか
要点
84歳女性、感冒様症状に対し新ルルA錠(R)を3日間服用したところ
発熱、咳嗽が出現し受診した。
著明な低酸素と、CTにて両肺びまん性すりガラス陰影を認めた。
治療はステロイドパルス療法を施行し改善。
DLST(リンパ球刺激試験)では新ルルA錠(R)で陽性であった。
各成分ごとのDLSTではいずれも陰性であった。
新ルルA錠(R)による薬剤性肺炎は本邦2例目である。
呼吸器・アレルギーを専門にする者にとって
薬剤性肺炎というのも大きなテーマの一つです。
私も何編かの論文も書いています。
ふだん使用して安全と思われる薬でも薬剤性肺炎をおこす可能性はあります。
この領域では広島市民病院呼吸器内科 北口先生
(いくつかの病院を転勤され、現在は再び広島市民病院)が
筆頭著者となり書かれた1992年の論文が有名で、
薬剤性肺炎の論文によく引用されています。
(私もこの論文の共著者として名前を連ねています)
今回のお勉強の題材論文にも北口先生の論文が引用されていますよ。
副作用ゼロの薬、というものは存在しません。
水だって 「水中毒」 をおこす人はあるし
パンやお米だって食べ過ぎれば腹痛嘔吐はおこすのですから。
利益と不利益のバランスの問題、
リスクをどう評価するかという問題
なんです。
リスクがゼロ、なんていうものはありません。
リスクゼロは幻想の世界です。
リスクゼロを要求したり、追い求めてはいけません。
それは自分や他人が、不幸になるだけです。