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インフルワクチンの接種順位

2009年08月5日 ,,

インフルワクチンの接種順位

新型インフルエンザH1N1ワクチンを接種するとして、
当然ですが、全員に一度に打てるわけではありません。
また、全員が打てるわけでもありません。
優先順位を決め、スケジュールを決めて接種していかないと いけません。
日本でも、この論議をしないといけない時期です。

アメリカ、イギリスでは、優先接種する対象が決まってきました。
・米国CDC ワクチン諮問委員会
-妊婦
-6ヶ月以内の乳児と生活している人々
-保健医療従事者および救急医療従事者
-6ヶ月以上の小児から24歳までの成人
-インフルエンザ合併症を呈する危険性のある基礎疾患を有する成人(例:糖尿病や肺疾患)

・イギリスの接種優先対象
- 医療従事者
- 妊婦
- 5歳以下の子供
- 慢性疾患合併の65歳以下の成人
-18歳以下の若年者
-他の合併症を有し、上記に当てはまらない者
http://www.medicalnewstoday.com/articles/159508.php

いずれも妊婦、小児・若年、基礎疾患を有する成人 が優先されます。
しかし日本では、妊婦と小児と18歳以下だけで 国内生産量では足りません。
輸入すると言っていますが、本当に輸入できるのだろうか?
(舛添大臣が言ったように、国家間でワクチンぶんどり競争になっていれば確保できないかも)。
輸入できるとして、その後の安全性検査など審査はするのでしょうか?
(審査していればシーズンには間に合わない。安全性検査をしないで打つのでしょうか?)

輸入できた場合と、できなかった場合 それぞれのケースの対象者・優先順位について国民合意を作らねば この秋ワクチンパニックになります。
健康な成人や健康な高齢者には新型インフルワクチンはない、と 早く情報を出すことが必要です。
その上で、咳エチケットの普及PR、手洗いうがいのPR、マスク(咳のある人)のPR、正しい受診方法のPR、症状があれば会社や学校を休みなさいというPR を今のうちから繰り返しておかねばなりません。

暑いなあ~ の ジャムくん。
食欲が少し落ち、食欲を出すためいろいろ工夫が必要となっています。
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★広島星まつり8月15日 廿日市市 佐伯総合スポーツ公園で開催。
ぜひ御参加ください。星がきれいですよ。
ボランティアも募集。日本宇宙少年団広島分団HPのブログをごらんください。
http://www.saiki-sportspark.jp/polano-data/hosi-2009.pdf
http://sesn3.sblo.jp/

アレルギー性鼻炎の免疫療法

アレルギー性鼻炎・花粉症は、成人の4人に1人以上は患者がいて、国民病となってきました。
抗アレルギー薬も進歩しましたが、アレルギー反応を抑える「免疫療法」が 理論上は最も有効な治療となるはずです。
しかし、どこの医療機関でも安心して受けられる治療法ではありません。
新しいガイドラインが作られましたが、少し問題が指摘されています。

特集:アレルギー性鼻炎の新ガイドラインから
特異的免疫療法-ガイドライン記載上の問題点
アレルギーの臨床 2009年4月
日本医科大学 後藤穣先生

要点
免疫療法は専門家だけがおこなうのか、
非専門家にも実施できるように啓蒙するのか、
新ガイドラインでの免疫療法の部分は課題が多い。

ガイドラインというのは、非専門家や初心者にも一定レベルの医療ができるように設定されることが普通です。
免疫療法というのは、
・手順が非常に煩雑であること、
・時に重大なアレルギー反応をおこす危険性があること、から
専門家が実施すべき治療法であると考えられます。
しかし今回の新ガイドラインでは、まだ試験中の療法である「舌下免疫療法」も記載されています。
今の時点では、専門家の中のごくごく一部にしか必要がない情報です。
これはいったい誰を対象にしたガイドラインなのですか?
という指摘を受けています。

もし舌下免疫療法が実施可能になれば、
免疫療法が手軽に実施できるようになります(従来は注射でした)ので
希望される患者さんの数は非常に多くなると思われます。
でも、実用化はまだ先の話です。
実用化する日が近づいてきたので、予告編としてガイドラインで取り上げた、ということなのでしょうか??
もし実用化されれば、当院でも取り組む予定です。
期待して、もう少し待っていましょう。
(すでにアメリカでは、インフルエンザワクチンなど注射ではない舌下や鼻噴霧などの投与方法が実用となっています。)

ゴーヤの実は、熟してくると黄色になります。
こうなると、もう苦みはありません。
さらに完熟がすすむと、実が破裂します。
タネは赤く甘い粘膜のようなものに包まれています。
このタネは来年植えるのに使用します。
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新型インフルエンザH1N1情報
大きな動きはありません。

日焼けマシンで皮膚癌

2009年08月3日

日焼けマシンで皮膚癌

【パリ共同】世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC、本部フランス・リヨン)は29日、人工的に肌を日焼けさせる「日焼け用ベッド」の発がんリスクを5段階の危険度で上から2番目の「高い可能性がある」から「人間に対する発がん性がある」との最高レベルに引き上げると発表した。

皮膚癌(メラノーマ:悪性黒色腫)の発生率が75%上昇する、とのこと。
http://www.asahi.com/national/update/0730/TKY200907300398.html?ref=goo

日焼けサロンには行かないことをおすすめします。

紫外線には発ガン作用があり、日焼けを防ぐことが重要です。
こどもの時から、です。
小麦色に日焼けした肌 が健康的とかカッコイイという時代ではなくなりました。
夏休みですので、子どもにも日焼け対策が必要です、気をつけましょう。

正しい知識を身につけましょう。
知識のワクチン=正しい知識が自分や社会を守ります。

写真はゴーヤの花。
雌花には最初から赤ちゃんゴーヤがついていますので、雄花と雌花の区別は簡単です。
ほとんどの雌花は、そのまま成熟するようです。
花にはアシナガバチ、クマバチ、ハエ、チョウ(シジミ類とタテハチョウ。どちらも正式名称不明。)、珍しいものとしてはイトトンボの仲間(正式名称不明)も1回見ました。
イトトンボなんて、清流にいるものと思っていたのですが、どこから来たのでしょうね?
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新型インフルエンザH1N1情報
ニュージーランドでは30歳代の看護師が死亡し、医療関係者の調査をおこなうなど、困ったことになっているようです。

医師は民主党支持58.3%

2009年08月2日

医師は自民を支持しない、という具体的情報をお知らせします。
なぜ医師は自民を見放し、今回民主党を支持しているのか、
その理由をご理解いただきたいと思っています。

8月から高齢者医療の保険証が変わります。
受診の時には、必ず新しい保険証を御持参ください。

なかには、8月から自己負担が3割に増えている人もあります。
また、
来年4月から、現在1割負担の暫定措置が終わり、
2割負担になる人がほとんどです。
御確認ください。
来年4月から自己負担が倍に増えるという話、御存知でしたか?

政府は、都合の悪い話は直前まで出してきません。
このまま自公政権が続けば、自己負担が増える人がたくさんでます!!

それやこれや、また後期高齢者医療制度への医師の反発は強いものがあります。
現場の医師は、もはや自民・公明は支持しません。

具体的ニュース報道:
★兵庫県医師連盟も自民党離れ鮮明に。
兵庫県内の自民党公認候補10人のうち、医師政治連盟の推薦は3人にとどまった。
前回の半分以下。
1選挙区では、はじめて民主党候補の推薦も決めた。
県医師連盟の山中弘光委員長は、各選挙区内の会員の意思を踏まえた対応であることを強調。自民党候補への推薦が減ったことに関しては「小泉政権以来、医療費削減が続き、医療が崩壊した。失望感が広がっているのだろう」としている。
(会員の意思、というところがこのニュースの重要なポイントです。
兵庫県医師連盟でのアンケート結果では支持政党は自民党22.5%だったのに対し、
民主党は58.3%だったそうです。)
yahooニュース 7月31日11時39分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090731-00000058-jij-pol
★青森市医師連盟 青森1区で民主党推薦へ
(青森1区は、もと厚生労働大臣 津島氏の地元です。もと厚生労働大臣の地元、津島派という派閥ボスの地元で自民に見切りというインパクトは大。)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aomori/news/20090729-OYT8T00142.htm
★茨城県医師連盟 県内7選挙区すべてで民主党推薦を決定
(医師会が自民党の支持団体とは、もはや誰も言えないでしょう。)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080918-OYT8T00223.htm

私たち医師は、
1:2200億円の社会保障費削減(=ほとんどが医療費)の撤廃
2:後期高齢者医療制度の廃止
を求めています。
7月31日に自民党マニュフェストが発表されましたが、後期高齢者医療制度につき、自民党は存続、民主党は廃止を打ち出しております。
(他の党のマニュフェストも御確認ください。)
日本の医療制度がこのまま崩壊するか再生するか、今回がヤマ場です。
みなさん、衆議院選挙では必ず投票に行きましょう。

写真はゴーヤ。
太れいし という品種で、実は長さ18cm程度までしかなりません。
お店で売っている普通のゴーヤは30cmくらいありますね。
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新型インフルエンザH1N1情報
大きな動きはありません。

感染症対策と感染症治療

2009年08月1日

研修会 感染症対策と感染症治療

7月28日(火)舟入病院で開催された講演会に参加しました。
感染対策と検査について
長崎大学 検査部 柳原克紀先生
感染対策と感染症診療について
佐賀大学 感染制御部 青木洋介先生
TV講演会だったのですが、残念なことに回線が不調で、配付資料で一人で勉強しているようなものでした。
まあ、こういうこともあります。
そういうわけで、講演会で得た感想・要約は特になし。
でも、
舟入病院は以前勤務していたことがあり、いろいろなつかしい顔を拝見でき、ご挨拶もでき、よかったです。

今週の花 アジサイ、カンゴンソウ、ユキヤナギ
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新型インフルエンザH1N1情報
大きな動きはありません。
新型インフルエンザは、日本ではまだ死亡者は出ていません。
しかし、みんながみんな 軽症 というわけでもありません。
入院治療になっている人もいます。(現在入院中の人もいます)
次に大きなニュースになるのは、
「新型インフルで日本初の死亡」 のニュースでしょう。
その時点で 再度パニックにならねばよいですが。

医療崩壊の原因は小泉改革

2009年07月31日

医療崩壊の原因は小泉改革

選挙を前に各党の公約、マニュフェストが出てきており、
自民党は民主党の公約を批判しています。
いわく、
バラ色の造花で、バラマキである、財源が示されない、と。

つい先日のできごとをお忘れなのでしょうか?
定額給付金 という、お金持ちにも国会議員にも首相にも配られる
バラマキをおこなったのは、いったいどなただったでしょうか??
費用は2兆円程度かかりました。

小泉政権骨太の方針2006にて医療介護福祉の予算が削減され続けています。
「毎年2200億円ずつの削減」 です。
「毎年2200億円の削減」  ではありません。
これはどういうことかと言うと、
1年目は2200億円ですが、
2年目は2200億円削減状態から、さらに2200億円削減します。
つまり2年目には2200億円x2 =4400億円の削減です。
2年間の累計では、2200×2 + 2200 =6600億円の削減額です。
同様に
3年目には、2年目状態からさらに2200億円削減します=2200億円x3
自公政権は骨太2009を了承し、大筋の継続が決まりましたので
4年目には さらに削減、2200億円x4 の削減です。
4年間の累計では、 2200×4 + 2200×3 + 2200×2 + 2200億円
= 2兆2000億円ほど医療介護福祉予算が失われたわけです。

その結果、高齢者や障害者などの医療費や介護費用等の自己負担額は増え、
医療介護福祉の病医院、施設、会社の収入が削られ閉院・廃業が相次ぎ
医療崩壊、介護士ワーキングプア状態となっています。
その
病弱者・高齢者・障害者や医療介護福祉領域から巻き上げた2兆円で
定額給付金として2兆円をばらまいた。
金額の計算上は こういうことです。

医療介護福祉を従前のレベルに戻すためには
1:2兆円の一括注入
2:2200×4=8800億円ほど来年度以降の毎年の予算に増額
をしないといけないのです。
これでようやく4年前の状態に戻ることになるのです。
医師も、(後期)高齢者も、障害者も、みんな怒っています。
定額給付金をばらまいて、効果の総括もしていないのは、どこの誰???

今回の衆議院選挙、必ず投票に行きましょう。

厚生労働省も、介護認定基準 改訂の誤りを認め
もとに戻す方向の修正をおこなうことになりました。
4月改訂施行の制度を10月に修正する必要があるなんて、
たった半年しかもたない制度を実施するなんて、
現場を知らないとしか言いようがありません。

要介護「軽度化」認める 厚労省 10月、マニュアル修正
7月29日7時57分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090729-00000111-san-soci

今月の花 フラワーリース☆
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新型インフルエンザH1N1情報
国内初の院内感染確認。大阪の水間病院で13名。まあ予測の範囲内の話です。
Nikkei BPニュース 7月30日
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090730/171027/

屋上緑化のテスト

今年の試みはグリーンカーテンだけではなく、
屋上緑化のテストとして、プランターをいくつか設置しています。

以前のブログで御紹介しましたが、水菜はよく育ち、投資費用はすでに回収できるほど。
プチトマトもよく育ち、毎日朝夕、家族で食べています。
完全無農薬で安心して食べられるのがいいです。
でもトマトは新しい花が咲かなくなりましたので、そろそろ終わりですね。
枝豆も、ほぼ収穫終了。今ついている実が太れば今シーズン終了です。

グリーンカーテン用に準備して余ったゴーヤのプランターも屋上に設置しています。

しかし、
カラスにつつかれます。
トマト、枝豆、ゴーヤの実が カラスに半分くらい つつかれ 残骸が散乱します。
腹が減っている、というならカラスに少しくらい分けてやってもかまわないのですが、
食べる目的ではなく遊び半分での仕業のようなので始末におえません。
ひどい奴らです。
農家の御苦労が、実感できます。
カラスにとって、ゴーヤは苦くないのでしょうか?

写真は初収穫したキュウリ。
大小ふぞろいなのが家庭菜園ならでは。
ちょっぴりですが、おすそわけもできました。
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新型インフルエンザH1N1情報
某感染症指定医療機関の関係者の話によると、
この時期広島でのインフルエンザAは、すべて新型インフルである、とのこと。
だいぶお疲れの様子でした。

グリーンカーテンその2

グリーンカーテンその2

昨日のブログで御紹介したように、ゴーヤのグリーンカーテンは大成功です。

じつは、ゴーヤがいいのかどうか、複数のグリーンカーテンを今年試みて比較実験しています。
3階西窓はアサガオ、
3階南窓はキュウリ、でグリーンカーテンをつくってみたのです。
結果は、
ゴーヤが良く伸び良く茂りますので、ゴーヤの勝ち。
手間もあまりかかりません。
来年グリーンカーテンを試みたい方にはゴーヤをおすすめします。
欠点は、
花がたくさん咲き、たくさん落ちるので掃除が欠かせません。
また、ゴーヤは食用ではありますが、あまりたくさん食べる物ではありませんよね。
家族で食べきれないほど実がなる、というのも困ったことになる場合があるそうです。
近隣や知り合いなど、ゴーヤをもらってくれる人を捜すのが大変だそうです。
まあ私が苦いもの辛い物が大好きなので、我が家ではゴーヤがいくら出来てもいいのですが。

アサガオはつるが真上方向に延びて、あまり横に広がりません。
ゴーヤに比べると葉がまばらに分布しますので、「薄いカーテン」というところ。
長所は花が毎日咲いて色とりどりでキレイです。
キュウリは、1枚あたりの葉が大きくなり、下のほうは良好ですが、背丈があまり高くなりません。
低い窓なら十分ですが、高い窓・ドアだと上までカバーできないようです。
(もっと栄養を与えれば背が伸びたのかもしれませんが)
長所はキュウリの実がなり、おいしく食べられること。
昨日からキュウリの収穫がはじまりました。
我が家では当分キュウリは買わずにすみそうな状況です。

写真は今週のグリーンカーテン
昨日のブログ写真と比較すると、短期間(2週間)で上まで成長しているのがわかります。
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新型インフルエンザH1N1情報
大きな動きはありません。

グリーンカーテン大成功

当院は西日が当たるため、ゴーヤのグリーンカーテンに挑戦していました。
現時点では、大成功となっています。
まぶしくないし、午後の暑さを防いでくれます。
待合室にいると緑がゆれて心地よいです。

この数日の雨で手入れができなかったのですが、
その間に次々とゴーヤの実が成熟し、収穫時期にはいってきました。
土曜日に我が家でゴーヤチャンプルーにして試食。
昨日からはいろいろな方にお配りしています。

7月中旬の写真。
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新型インフルエンザH1N1情報
広島市F高校で発熱者が集団発生しているとの情報(公式発表まだありません)。

防府老人ホーム土石流は人災

2009年07月27日

先日、防府市でおこった老人ホームの土石流災害、
被災当日に施設理事長が これは人災である、とTV取材に答えていました。
県が、上流の木を切ったのが原因だ、と言っていました。
その後、県からの災害警戒情報を防府市が理解せず避難勧告を出すのが遅れた、
という指摘もされています。
情報処理・伝達のミス。これも人災と言えます。

しかし、私は別な考えです。
ここに建物を建てた、ということが人災であり、施設側の責任だと考えています。
それを説明いたします。

その前に、当方の姿勢を まず御理解いただこうと思います。
被害について何か言うとき、
「自分は安全な場所にいて、外野から好きなことを言っていやがる」と
いうように思われてしまえば 反発を招くだけなので、
そうではない、ということをまず説明いたします。
1:当方は阪神大震災の時、医療救援チームとして志願して神戸市に行っています。
今後も医療救援チームの必要があれば現地に行くつもりはあります。
また新型インフルエンザ対策の外来診療協力医療機関にも立候補しており、
自らへの感染のリスクは負っていきます。
自分だけ安全な場所にいて発言、というつもりはありません。
2:阪神大震災までは、私は医療機関の 「建物としての安全」 ということは
考えたことがありませんでした。
鉄筋コンクリートの6階建て、8階建ての病院が倒壊・崩壊し使用不能になるとは 考えたこともなかったのです。
このため、医療救援チームとして神戸に滞在した時、
どういう医療施設が倒壊・崩壊したのか、ということを
できるだけ自分の目で見て確かめ、
今後の安全対策について自分の意見を持とうと考えました。
交代勤務での自由時間には、可能な限り市内をあちこち見て回りました。
それにより「危険な医療施設」のポイントは抽出し、自分なりに理解できたつもりです。
某病院で建て替えが話題になったときには、意見を言わせてもらいました。

このとき培われた「施設の安全・危機管理」という観点から 述べる意見です。

今回の老人ホームは、立地選択を誤りました。
断言してよいでしょう。
そこに建物を建てた人間は、オオバカヤロウであり、人災です。
細い沢(谷)が流れてきて、平地になるという まさに典型的な扇状地に立地しています。
山から下りてきた川が2分岐していく、ちょうど分岐部に立っているのです。
ここに建物を立てれば、もし土石流や鉄砲水が発生した場合にはモロに直撃するだろう、というのは 現地を見なくてもニュースでの航空撮影などを見るだけで 容易に理解できます。
扇状地では、山の斜面から離れて家を建てる、というのは常識です。
しかし、この施設は 安全な場所に建てる、という常識から逸脱しています。
今回、複数の原因=人災=が積み重なって被害につながっているようですが、
その最大の原因は 施設をその場所に建てた判断が間違っている、と言えます。
施設長が、他の原因を非難しているのは 見当ちがいです。

昔から、集落というのは安全な場所に形成されています。
逆に、昔から家が建っていない場所、というのは、何かの理由・歴史があるのです。
日当たり、湿気、洪水、土石流、強風など、何らかの理由で 「家には適さない」 と1000年2000年以上にわたって避けられてきた場所なのです。
昔から地元の人は その場所には家を建てないので、土地代は安い。
新しく家なり施設なりを建設しようとした時に、
空き地に建設するわけですが、
・なぜその土地が空いているのか?
・なぜ安いのか?
ということを考えてみることが絶対に必要なのです。

ブルドーザーやシャベルカーで土地を整地し、
建設できるようになったのは、昭和30年代からの話です。
少々の難しい土地にも 建物を建てるのが 「技術的に」 可能になったのは、ほんの最近のことにすぎません。
しかし、「技術的に建設可能」 というのと 「建設して安全」 というのは 違います。

今回の施設を建設する時には、
「広くて安い土地が入手でき、安く建設できてラッキー」
と思われたのでしょう。
民間老人ホームですので、採算性が重視されるのは仕方ないことです。
しかし、安全性は置き去られました。

もし、どうしても この場所に立てる必要性があるのならば、
安全を確保するために、
敷地の周囲、沢の上流側に がんじょうな防波堤のようなもの を建設する必要がありました。
あるいは、上流側に建物本体の壁面を配し、しかも頑丈な壁に設計する必要がありました。
(上流側に広くガラス戸・窓ガラスを配置したデザインは設計ミスとも言えます、これも人災のひとつ。)

安全には かなりのお金がかかります。
安くて広くて安全な土地建物 というのはない、と考えるべきでしょう。

さて、
ここまで防府市老人ホームのお話でした。
教訓を次に生かしていかねばなりません。
で、 広島市にも、ぎょっとする事例はあります。
地層、地震などの専門家の先生方が、みな一様に
「この場所に建設した人、住んでいる人がいるのは信じられない!」
「自分だったら絶対に住まない!」
と言う場所があるのです。
ヒントは 己斐断層。
この話はまたいつか。

またまたOPI新色のグラデーション☆
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新型インフルエンザH1N1情報
H1N1ワクチンの国内製造がはじまりました。
日本はワクチン製造国なのに、2000万人分の輸入をしようとしている、として
世界から非難を受けそうな状況です。
裕福な国は、発展途上国にワクチンや治療薬を提供するべきであるのに、逆に自国のことしか考えていない日本はヒドイ国である、と言われかねません。

082-241-6836(代表)

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