寒いですね。
中区の家々の屋根には、うっすら雪があります。
すべって転倒や事故など されませんように。
さて、胃ろうのお話。
今日は長文です。
お時間のある時にお読みください。
急性期病院の医師は
「このままじゃ死にますよ」と
胃ろうの作成を勧めますが、
胃ろうを作った後の患者の姿を知りません。
どういう経過をたどって死んでいくのか、知りません。
それを知っているのは、施設の職員・施設の医師です。
胃ろうを作る前に、
ぜひ施設の医師・職員の言うことにも耳を傾けてみてください。
認知症の末期が近くなると
食べる量が減ってきたり、
食べることを自ら拒否する認知症の方もあります。
口をぎゅっと閉じて、開けようとしないのです。
また、
誤嚥性肺炎をおこして
病院の医師から「食べるのは無理」と言われたりします。
そういう状況で胃ろうを作ると、どうなるか。
胃瘻は誤嚥性肺炎の予防としては推奨されない、
というお話はすでに書きました。
誤嚥性肺炎で胃ろうを作ったところで
3か月から半年程度で誤嚥性肺炎の再発を繰り返して大半は亡くなられます。
じょじょに食べなくなった人については、どうでしょうか。
ここでは、
食べるとき、食べさせるとき、
どうしているか、を考えてみてください。
施設では、
食事時になると
みなさん食堂に集まってきます。
自分で食べられる人は自力で食べます。
自力で食べられない人には、食事介助がされます。
車いすに座らせ、職員が横に座って、
「どうですか?おいしいですか?」
「はい、おかゆですよ、アーンして」
など声掛けをしながら、スプーンですこしずつ口に運びます。
これに対して声を出される方もありますし、
無言だけれども表情で「おいしい」「満足」など表現される方もあります。
次のスプーンを態度で(口を開けて)催促される方も多いですし、
満腹になると、次のスプーンは首を振ってイヤイヤをされたりします。
声の返事はなくても、コミュニケーションはあるのです。
坐ること、声掛けすること、口を動かすこと、
自分の口で食べる人は、こういう環境にあります。
胃瘻の人の食事時はどうでしょうか?
食堂には行かず、自分のベッドで寝たままの状態で
栄養バッグを接続します。
(胃ろうの方も食堂に集める施設もあるでしょうが、
それは例外的な、恵まれた環境です。
胃ろう患者の数が多ければ、とうてい食堂対応は困難です。
また、上半身を少し起こす場合もありますが、角度は少しだけです。
坐る、というほどの角度にすることは例外的です。
ずり落ちたり、前のめりに頭から落下されるという事故になりますから。)
注入開始の後は、注入終了頃まで職員は来ません。
横にずっといても、することはないですから。
ベッドや車いすに坐ることもなくなり、職員からの声掛けもない。
食べないので口を動かすことはない。
声掛けもないので、返事をすることもなくなりますし、
ますます口を動かすことがなくなる。
使わない筋肉、機能はどんどん失われていきます。
で、どうなるかというと
胃瘻を作るまでしゃべっていた人も、しだいにしゃべらなくなります。
声掛けにも返事をしなくなる。
口をあける、口を動かすという必要もない、その機会もないのです。
食べる機能が落ち、話す機能も失われていきます。
かつては、おやつや好物の差し入れを持ってきた家族に
返事や喜びの意思表示をしていた人が
声をかけても返事をしなくなり反応しなくなりますので
家族はお見舞いに次第に来なくなってしまいます。
何をしていいのかもわからないので、
面会に来ても短時間でそそくさと帰られていくことになります。
坐ることもしなくなり寝たきりになりますので
手足、体の筋肉・能力も落ちていきます。
次第に手足の拘縮(こうしゅく:関節が曲がったまま固まってしまう状態)が
すすんできます。
見るも痛々しい姿となってきて、これも家族の足を遠ざける理由につながります。
誰しも、家族のそんな姿は見たくないのです。
見れば、家族の側に「罪悪感」が生じる場合もあります。
こうして家族の見舞い回数が減り、ついにはほとんど施設に来られなくなります。
施設に預けっぱなしとなり、すべてお任せ、
健康状態などへの関心もなくなっていきます。
そしてまた、
この段階では、言葉は悪いですが
「寝ころがっている物体」 として扱われることになります。
時間が来たら体の向きを変え、
時間が来たら栄養剤をつなぎ、
時間が来たらオシメを代える。
毎日毎日、時間通りの対応をされる生活。
本人の尊厳なぞ、もうどこにもありません。
はたして、それで自分らしく生きていると言えるのか。
本人はそんな状態で「生かされている」ことを望んでいたでしょうか。
認知症末期で食べられなくなった人に胃瘻を作ることによって
本人の食事の楽しみを奪うことになる、
ということは胃ろうについての前回ブログでお伝えしています。
おそらくこの段階では食べることくらいが毎日の楽しみのはず。
その楽しみが無くなる。
でも、それだけではなく
次第に寝たきりになり、しゃべれなくなり、
話しかけてくれる面会者・職員もいなくなり、
ついには家族も面会に来なくなる。
尊厳は失われ、一個の物体と化していきます。
それが一般的な認知症末期の胃ろう造設者のたどる姿です。
老人ホームの現場で働いている人々は
みんなそのことを知っています。
老人ホーム医師である石飛幸三先生や中村仁一先生だけではありません。
特定非営利活動法人「特養ホームを良くする市民の会」が
全国の特別養護老人ホーム6772施設から無作為に1008施設を抽出してアンケートを送付し、
うち509施設から回答が得られ、それを発表しています。
看護師、介護士、施設長が回答されています。
老人ホーム職員の目から見ても、
胃ろう患者のたどる道は悲惨なものだということがよくわかります。
『特養ホームにおける「胃ろう造設者」のQOLに関するアンケート調査報告書』。
公益財団法人 太陽生命厚生財団平成23年度研究・調査事業報告書
これは有料頒布品ですので
コピーしたり無断引用は出来ません。
もし御希望があれば当方所有のものを貸出いたします。
三越に行ったら、全国味めぐり・にっぽん をやっていました。
最終日だったそうで。知りませんでした。
銀座福つち トロ鉄火丼
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